翔のあぶない冒険 外伝
ANOTHER SISTER MEMORIES



ぴぴぴ、ぴぴぴ、ぴぴぴ


カーテンの隙間から入ってくる朝日の光と、目覚ましの音で僕は目覚めた。

「おはよう翔くん。今日はずいぶんとすっきりした目覚めかな?」
「あ……ふ……おはよう、ポッティ。…うん、なんだろ。変な夢みなかったのかな」

枕元に小さなてるてる坊主が浮かんでる。ポッティという神様がこのハンカチのてるてる坊主に宿ってて、僕のことを見守ってくれてる。いま、僕は悪魔カリギューラに狙われていて、精子を奪おうといろんな目にあわされてる。それから一緒に戦ってくれるのがこのポッティ。カリギューラの魔力は凄まじくて、夢の中にまで侵入してくる……のだけど、今日はなぜかそれはなかったみたいだ。

「これは好都合だったね。時間は貴重だし、とにかく時間が経つのはこちらに優位だ。それなら……はやく学校に行った方がいいだろう」
「うん、わかった」

てきぱき着替えて、ランドセルも準備して。ハンカチとちり紙をポケットにいれてから、そのランドセルの中にポッティを隠し入れた。準備を終えてご飯を食べ終え、お父さんに「いってきます」と挨拶して出て行った。なんだろう、カリギューラに目をつけられてから一番体の調子がいいみたい。

とことこ登校ルートを歩いて行く。本当ならいつカリギューラの魔力のおかげで、近くにいる女性がエッチに誘ってくるかわからない。けれどそれにビクビクしていたらなんにもできなくなる。胸を張って学校へいって、普段と同じようにすごすんだ。前向きにならなきゃ、悪魔だって倒せない。ポッティからそう教えて貰ったんだ。

学校の近くに来たとき、低学年の男の子が、高学年の女の子に手を引かれて一緒に登校するのを見た。たしかあの二人は姉弟なんだっけ。

「翔くん、キミは一人っ子だが……姉弟にあこがれたりするのかな」

なんだか僕がその二人を見てる目が、うらやましそうになってたみたい。思わずランドレスの中のポッティが声を出した。

「小さいころは憧れてたかな……。うん、でももう大丈夫だよ」

もしお姉ちゃんがいたら……大変なことになっちゃう。毎日同じ家に年の近いお姉さんがいるんだから、カリギューラにいいように扱われてしまうし、きっとその後、カリギューラをやっつけても、変な目でみるようになっちゃう。だから、きっとお母さんとお姉ちゃんがいないのは良いことなんだと思う。そんなことをポッティに伝えたら、少しポッティは驚いたようだった。

「キミが前向きになってくれて嬉しいよ。それならきっと、カリギューラに打ち勝てる。頑張れ、翔くん」

カリギューラの前に、まずは学校かな。そう僕はポッティに言って校門をくぐった。



授業はなにごともなく終わった。不思議な気持ちだった。もちろん前はずっとこういうことをしてたはずなのに、今はなんだか凄く貴重なことに思える。

「いや……おかしいな」
「どうしたのポッティ?」
「とっくにカリギューラの魔力は溜まりきっているはずなんだ。24時間以上経っているしね。しかし……来る気配がない。何かを企んでいるのかもしれんが……それにしても、こうインターバルが開くのは不自然すぎる。いや、もちろん我々にとってはありがたいことなんだが」

学校から帰る手前、ポッティが悩みつつそう漏らす。

「もしかしたら諦めちゃったとか?」
「カリギューラの執念深さを甘く見てはいけない。なにせ3000年かけてこの計画を練り上げたのだから。だからそんなすぐに諦めたりするはずはないのだが」

それにしても、説明が付かない。そんな様子でポッティは声を出さないまま悩んでいた。僕はとりあえず帰ることにした。家にいたほうがまだ学校よりは襲われたときのことを考えたら楽なんだもの。

その日は結局カリギューラの魔力が襲ってくることがなかった。帰ってからご飯をたべて、お風呂にはいってピカピカになってパジャマにお着替え。そしてベッドに入るまで何事もなかった。ポッティは何回も「おかしい」と漏らしてたけど、やっぱりカリギューラは諦めちゃったんじゃないだろうか。

「すまないな。ずいぶんと心配性になってしまったな。襲撃がないことはいいことだし……明日もこんな日であることを願おうか。おやすみ、翔くん」
「うん、おやすみポッティ」

灯りを消して目を瞑る。昨日みたいに夢もなにごともなく、楽しい夢でおわりますように、ってお願いしながら。



んっ……うぅ……ん、何かくすぐったいような、気持ちよいような感覚がぞわぞわ上がってくる。あふ、と息が漏れた。一秒ごとに現実感が増していく。そのたびにくすぐったい感覚は消えていって、かわりに純粋な快楽が勝っていった。あ、あっ、これは……? 気持ちよさと生ぬるい熱さ、そして少しすーすーする感覚……。

意識が一気に覚醒する。「わわぁっ!?」へんな声をあげて上半身を起こし、かかっていた毛布をめくりあげた。









「んむっ、んっ……んっ……んふふ、やっと起きた。おはよう、翔くん♡」

わけがわからなかった。僕のベッドに見知らぬお姉さんがいる。多分年齢は高校生くらい。さらさらの黒髪はずいぶん長くて肩から下まで伸びていた。その、凄く綺麗な人で……しかもそのお姉さんは、寝てる僕のズボンと下着を下ろし、僕のおちんちんを舐めていた。そのおかげで僕のおちんちんは勃起しきっていて……お姉さんが舌で先っぽのほうをくすぐると、蕩けるような気持ちよさがまたかけあがってくる。

「あっ、う、はっ……だ、だめだよ『お姉ちゃん』……!」

えっ、今僕はなんて言った? お姉ちゃん、お姉ちゃんって? すぐその後頭が追いついた。そうだ、この人は僕の実の姉じゃないか。お姉ちゃんが、僕のおちんちんを舐めてくれて起こしてくれたんだ……。やけに安心できる感覚が体を包み込む。お姉ちゃんに舐めて貰えると身も心も安心できるんだ……。

「駄目じゃないでしょ。こんなにおっきくして……。いいよ、お姉ちゃんの体で最後まで気持ちよくしてあげる」

お姉ちゃんも僕とおなじように真っ白いパジャマを着ていた。そのパジャマの上のボタンを外していくと、ブラもしてなかった胸がふるん、と飛び出した。すごく……大きい! Eカップはあるんじゃないか、っていう大きなおっぱい。見ているとなんとも言えない感覚が思い出してくる。ムラムラして触りたくなるような感覚と一緒に、あのおっぱいに甘えて、くっつきたい、っていう思いと両方。そういえば……子どものことから、ずっとお姉ちゃんに甘えて、あのおっぱいに触ってたはず。そんな記憶と思い出がどんどんと蘇ってくる。

「翔くん、お姉ちゃんのおっぱい大好きだものね。今日も、おっぱいで……ね♡」

お姉ちゃんはパジャマを脱ぎ終えると、上半身裸で僕の体に密着する。おっぱいの谷間にすっぽりおちんちんが収まる。ふぁぁ……。気持ちいい……。
おっぱいが左右から包み込んで、それでいて上下に擦れていく。お姉ちゃんが膝立ちになって体を揺すってくるからだ。擦れるたびに甘い感覚が湧き上がってきて、身も心も委ねたくなっちゃう。あっ、も、もう、だめだ……。あまりにすぐさま射精にまで持ち込まれようとしている僕の体。その原因もすぐにわかった。眠っている最中から、お姉ちゃんは延々と舌でおちんちんを攻め続けていたんだ……。そんなの、反則、なんて抗議することもできなかった。だって、お姉ちゃんは凄く優しくて……いつも気持ちよくしてる。僕のことを身も心も癒やしてくれるんだ。

「ほぉ、ら、ほぉら……きもちよくなーれ、きもちよくなーれ……翔くんのおちんちん、お姉ちゃんのおっぱいできもちよくなーれ……」

呪文のように繰り返すお姉ちゃん。その言葉が耳に入るたびに、頭の中がどんどん考えられなくなっていく。我慢しなくていいんだ。お姉ちゃんが全部受け止めてくれる。そんな甘い安心感に身を委ねて、ついにぞわぞわ、っとこみ上げてくる射精感に抵抗しないまま出そうとしてしまった。

「あっ、あうっ、おねえちゃん、だめ、でちゃううっ……!」
「んっ、いいよ。そのまま受け止めてあげる……」

どくんっ! どくんっ! どくんっ!
耐えきれなくなった精液が一気に放出される。それは一瞬お姉ちゃんの顔を汚したあとで……しゅうしゅうと音をたてて、まるで蒸発するように消えていく。お姉ちゃんは体を起こして胸からおちんちんを離したけれど、今度は手で扱きながら、射精を続ける僕のおちんちんを攻め続けた。連続してこみ上げる射精感! 僕はうめきながら何度も、何度も精液を放ってしまった。だけれど絞られてる感覚はまったくない。優しいお姉ちゃんに見守られながら、安心して気持ちよくなれた……そんな至福の感覚で満たされてしまった。

「いっぱい出したね……。えらいえらい。いいこいいこ……」

お姉ちゃんがようやく小さくなったおちんちんから手を離し、頭をよしよし、と撫でてくれた。はぁ、はぁ、と弾む息。ようやく頭に冷静さが戻ってきて、思考回路が回り出す。その事態の異様さがまたわかるようになりはじめた。

「……くん! 翔くん!」

はっ! と意識が戻す!? ポッティの声だ! ちょっとまって、今までポッティはどこに!?

「気がついたか! これはカリギューラの罠だ! 今君はカリギューラの作った魔力の膜の中にいるぞ! 気をしっかり保て! そうじゃないと一気に引きずり込まれてしまうぞ!」

目の前のお姉さんはいそいそとパジャマを着替え直していく。その後、ちゅ、っと僕の額にキスをして手を振って部屋からでていってしまった。あまりの様子に目を丸くしていたのだけど……いったいどうして? 一度の射精では離してくれなかった今までの「敵」とは、様子が違う。それに、それに僕はあの人のことを「姉」だと思い込んでいた!
それに射精したあと、へんにけだるい感覚でずーんと体が重いまま。おちんちんも勃起しきらず、性欲は一気に小さくなってる。この状態なら優位に戦えるかもしれない……。あ、でも、さっきのお姉さんは出て行ってしまったし。

いったい何なのかわからない。ポッティに聞かなきゃ。そういって枕元にいるポッティを再度見ると、どんどん色が薄くなって、透明になっていった!

「ポッティ!? どうしたの、体が透けて見える!」
「違う、これもカリギューラの罠なんだ! いいか翔くん、あの女性に打ち勝たないとこの罠から抜け出せないぞ! 気をしっかりもって、戦うんだ! いいな……」

ポッティの声がどんどんと消えてなくなっていったのとあわせて、姿が完全に透明になって消えていった。カリギューラの罠? いったいどうして……。わけがわからなくなった僕の体から、どんどんと倦怠感が消えていく。それと同時に性欲も戻ってきてしまう。ああ、おちんちんがまたおっきくなってきちゃった。せっかく「お姉ちゃん」があんなに出してくれたのに……。

いけない、僕はまた「お姉ちゃん」への思いに囚われだしている! なんだかよくわからないけれど……あの人は、戦う相手なんだ!



地獄の底に高笑いが響き渡った。

「はっはっは! 見たか私の魔力を! 奴の精を放出し尽くすに一番相応しい方法。それはもっとも身近にいる肉親を使うこと。しかし奴に異性の肉親はいない。……ならば、”つくってやればいい”のだ!」

カリギューラの恐るべき魔力は、いないはずの存在を作りだすことに成功していた。しかしこの架空の存在をそのまま送っても空間に固定することができず、四散してしまう。架空の存在故に非常に不安定なのだ。そこでカリギューラは翔自身を巨大な魔力の膜で包み込んでしまった。この膜を形成するのに莫大な魔力が必要となった。かわりに架空の存在は膜の中ならば自由に動かせる。膜は翔の家からご近所までまるまるすっぽり覆い隠してしまえるほど。そしてその膜の中ならば、周囲の人間もその存在を当然と思い込ませることができる。

しかも膜の中にいる状態ではポッティの声を聞くこともできない。姉の存在を否定できないまま、誘惑に負けるように組まれている。射精をすればするほどその思いは不安定だった姉の存在は固着していき、いずれは本当の姉となって、甘えて射精し尽くすことだろう。

ただしその魔力にはデメリットがあった。あまりに魔力を放出する必要があるため、普段よりも長いインターバルが必要になってしまった。
それと夢幻時空とは違い、射精後にどうしても男性器が萎える事象が発生してしまう。これは何回も繰り返していればいずれ克服できる要素だろう。そのうえ放出された精は蒸発して拡散するものの、膜をやぶるまではその膜のなかに留まってしまうのだった。膜を破ってしまえば、この姉の存在も消えてしまう。だから精を拡散させるのは最後の最後でしか駄目なのだ。

大きな問題は次だ。大量の射精後にはどうしても魔力に隙がうまれ翔の性欲は沈静化してしまう。そこにポッティが入り込む余地がうまれてしまうのだ。そのときだけは翔は相手を、姉と思い込むことができなくなる。その上、冷静さと思考の高速化を生じさせてしまう。この、いわゆる賢者タイムの存在が、カリギューラにとっては隙となり得るのだった。もし、そこで下手に作戦を打たれたら……。

しかしカリギューラはそこでもう一つ手を打った。魔力の膜を作り上げたのは、金曜日の夜だったのだ。今日は土曜日。明日まで延々と、この姉と一緒に暮らすハメになる。その誘惑で抵抗できなくなることは必至。現に今もなにもできずに射精してしまったではないか。
膜の中で大量の精子を放出し、カリギューラの復活に足りるまで吐かせ続け、いよいよ満ちたときを見計らってその膜を破ればいいのだ。

「さぁ、どれくらいで精を吐ききるか見物だな。……せいぜい頑張ってみるがいい、ポッティ」



着替え終えて下に降りると、お父さんの姿はなかった。電話機の隣にメモ紙が置かれている。「ちょっと遠くにいく。話はお姉ちゃんにしてあるから週末は二人で過ごしてくれ」って書いてあった。お姉ちゃん……! やっぱりお父さんも、姉がいると思い込まされている。僕も、ちょっとでも気を緩めたらお姉ちゃんだと思い込んでしまう。
キッチンからじゅうじゅう、ってベーコンの焼ける音と、良い匂いが漂ってくる。ぐぅ、とお腹がなった。戦うにもとりあえずご飯は食べておかないと。

「ん、翔くん、もうちょっと待っててね。今準備できるから」

「お姉ちゃん」の声がした。そっちの方を見るとぞわ、っと股間が熱くなっちゃう。キッチンでフライパンを振るってるお姉ちゃんの姿は……下着に、エプロンをつけた格好だったからだ。すべすべの白いに背中に、負けないくらい白いパンツが、お尻を包み込んでる。お尻はすごく大きくて、いやらしい……。意識しているのかわからないけれど、フライパンを振るうたびにそのお尻が左右にふり、ふりって揺れる。きゅん、きゅんと股間が熱くなって、どんどん僕は前屈みになっていく。目が離せない。
僕がお尻に見取れている間に、お姉ちゃんはてきぱきと準備をすます。お皿は二つ、スクランブルエッグとベーコンが添えられたトースト。暖かいカフェオレはもうとっくにテーブルに用意してあった。お皿を持ってくるりと振り返るお姉ちゃん。

「はぁいお待たせ。お姉ちゃん特製の愛情たっぷりブレックファースト……あれ?」

当然僕と目が合う。お姉ちゃんの目がぱちくりしていた。その後、唇の端がちょこんと持ち上がり、勝ち誇ったように胸をはる。エプロン越しにもわかるくらい、そのおっぱいがふるん、と揺れた。あっ……お姉ちゃんのお尻もいいけど、やっぱりおっぱいもいい……おっきぃ。

「翔くんが喜ぶかな、って思ってこの格好にしたんだけど……ふふ、やっぱり喜んでくれたみたい」

お皿をテーブルに置いたお姉ちゃんが寄ってくる。僕は思わず一歩下がる。どこかで残っていた理性が、まずい、と知らせている。けれど足はそれ以上下がらなかった。お姉ちゃんは目の前にやってくると、そのまま膝をついてしゃがみこんだ。

「朝食の前にもう一回スッキリさせてあげるね。翔くんのおちんちん……?」

ズボン越しにちゅ、っておちんちんにキスをしてくれた。びくびくふるえる体と、おちんちん。あっ、あっ、駄目だ。それだけで体が、本能が、お姉ちゃんを求めちゃう……!
お姉ちゃんは手を横にそえ、ズボンと、下着を一緒にずり下ろす。窮屈そうにしてたおちんちんがふるん、と飛び出る。お姉ちゃんは目を細めて、うっとりした様子で口をあけた。そのお口がゆっくり僕のおちんちんを含んでいく! ああっ、朝からずっと舐めてくれたお口。ぬるぬるで、あったかくて、安心できるところ。それでいて舌が細かく動いて僕の弱いところを突いて、舐めて、こすっていく! 

「だめ、だめぇ、お姉ちゃぁん!」
「んむっ、むっ、んー……ふっっ……んんっ……」

何をいってるのかわからなかった。僕は腰を突き出しながら、体が求めるがままにお姉ちゃんの口の中に精液を出そうとしてしまう。いや、だめ、だめなのに。僕が性欲に負けて射精しつづけたら、この世はカリギューラの魔の手に落ちてしまう! 絶対に射精しちゃだめだ。なんとかしてこの状況から脱出して、反撃をしないと!
反撃……そうだ、お姉ちゃんを倒さない限りここから脱出できない。
そんな意識で理性を震い立たせようとしているけれど、どうしても目の前のお姉ちゃんに対抗意欲がわかない。包み込むような母性に身を任せて、気持ちよくなりたい……そういった意識が僕を占領する。ああ……もっと、なめて、おねえちゃん……。

「むっ、ん……んふ……。そろそろ限界だね? 翔くんのおちんちん、精液いっぱいだして気持ちよくなって……♡」

一度舐めるのをやめたお姉ちゃんが、口を離して上目遣いで聞いてくる。その声を聞いた途端、僕の中で理性がなくなってしまった。お姉ちゃんにされるがままに身をあずけ、背もたれに頭まで乗せて腰を突き出してしまう。もう一度お姉ちゃんが口の中におちんちんを含んでいくと、強く、甘い吸引が始まった。

「あっ、ああああっ! つよいよぉおねえちゃぁんっ! だめぇ、でちゃううっ!!!」

あっというまだった。理性を失ってる僕のおちんちんは、いますぐにでも射精したくてたまらなかったのに、襲いかかってくるのは僕の弱点を全部知り尽くした大好きなおねえちゃんのフェラテク。舌が裏筋を舐め、ものすごい吸引で吸い付いていく。どくんっ! どくんっ! びくんっ、びくんっ! たまりかねた僕は一気にお姉ちゃんの口の中に射精していく。大量の精液がほとばしるとき、蕩けるような快感が僕の全身を包み込んだ。

不思議な感覚を覚えた。お姉ちゃんがここまで僕の弱点を知り尽くしている理由。射精している間、頭が真っ白になってるその最中に、この世界の経緯が勝手にすべりこんでくるような感覚だった。

……僕は、お姉ちゃんに知られ尽くされていることになっているんだ!

今の僕がいる魔力の膜の中はカリギューラの魔の手によってつくられた、ほんの少しだけずれた世界。だから一人っ子のはずの僕にお姉ちゃんは存在するし、同時に、僕のほうも「お姉ちゃんが大好きな弟」に改変されてしまっている! お姉ちゃんのテクニックが凄いだけじゃない。幼少期の頃からずっと、ずっとお姉ちゃんの愛情を受け続けたおかげで、姉ちゃんのお尻やおっぱいを見ただけでメロメロになっちゃうほどに弱体化が進んでるんだ……。その呪いのような愛情から逃れられるのは、この大量射精後の賢者タイムの一時だけ。

はぁ、はぁ……と射精してしまった後悔の念が込み上がってくる。頭がやけにすっきりして、体がだるく重くなる。だけど、だけど、今がチャンスだ。体をずりおろし、なんとか目の前のお姉さんの口からおちんちんを離していく。お姉さんは口の中で蒸発していく精液をもったいなさそうにし、唇を指で拭いた。

そんな状況で別人の声が聞こえてくる。……ポッティだ!

「翔くん! 翔くん! 私の声が聞こえるようになったか翔くん!」
「ポッティ!? 聞こえるよ!」
「いかん! 射精のたびに改変された存在が固着をはじめている! もう何度か射精してしまったら、この「姉」の存在は改変ではなく事実になるぞ! そうなったらキミが耐えられる可能性はゼロに等しい!」

そんな! これから射精しないように過ごして耐えなきゃいけないのに! 大好きな姉と二人暮らしを続けるだなんて……不可能だ!

「なんとかしなければならない。この賢者タイムだってどんどん短くなっていくことだろう。翔くん、理性を保て! そして立ち向かうんだ。目の前の女性を姉ではなく、打ち倒す相手と思い込んで戦うしかない!」
「わかった……わかったよ、ポッティ」
「翔くん? 何を独り言言っているの? ……ふふっ、お姉ちゃんの口がきもちよすぎて、ちょっと惚けちゃったかな?」

乱れたエプロンを整えて、うっすらかいた額の汗を指で拭っていくお姉ちゃん。てきぱきと朝食の準備をはじめてる。ポッティの声が再び聞こえなくなっていく。だめだ、賢者タイムは一気に短くなっている。でもなんとかして……お姉ちゃんを倒すんだ! 僕は意識を保ちながら、準備を続けるお姉ちゃんに近づいていった。


────


「よしよし……良い子良い子」

ふぁぁ……気持ちいい。僕はお姉ちゃんの膝枕に頭を乗せて、みみかき棒で耳掃除をしてもらっていた。奥まで入れてくれて、こしょこしょくすぐる心地よい感覚。それに、お姉ちゃんのあったかくて柔らかい太もも。朝食後のお腹がいっぱいになった体と心が安らいでいくのを実感していく。

「はい、ごろん。反対側もね」

いわれるがままに反対を向いて、耳を見せる。その間も僕はお姉ちゃんの太ももの感触をいっぱい味わっちゃう。すべすべ、ふわふわ。奥の方までごそごそと動くみみかき棒の感触。それに身をふるふるさせていきながら、手をそっと太ももに添えた。エプロンをこっそりずらして、その間に滑り込ませちゃう。

「……もう、えっちなお手々♡ もうちょっとしたら綺麗になるから、じっとしてて」

でもお姉ちゃんは怒らない。僕は股間を膨らませつつ、お姉ちゃんの内股の感触を味わっていた。ときおり奥にまで攻めてくるみみかきの刺激にびく、ってなっちゃいながら、それでもじっとしつつ、太ももを触っていく。

「ふーっ……はい、おしまい」

耳かき棒が抜かれて綺麗になった後の耳に、お姉ちゃんは顔を寄せてふー、っと息を吹きかけた。ぞわぞわとするくすぐったい感触と気持ちよさ。お姉ちゃんは耳かき棒を丁寧にティッシュで拭いて、そのティッシュを包んでゴミ箱に捨てた。僕はくるんと上を向き、お姉ちゃんを見上げる格好。この角度だとお胸で半分くらい顔を隠れちゃう。さっきと同じ裸にエプロンの格好。エプロンの脇からそのおおきなおっぱいがこぼれ落ちそうになってるのが見える。どきん、どきん。興奮で胸が高まってるのが聞こえる。お姉ちゃんは優しく見下ろして、また頭を撫でてくれた。

「翔くんが期待しているのは、耳かきじゃなくて……こっち、かな? もう……♡」

そういうとお姉ちゃんは頭をなでなでし終わったあと、反対の手で僕のあそこをズボン越しに撫でていく。ふぁぁ……。撫でられるだけで全身から力が抜けていく。気持ちいい。もっとして貰いたい……♪ お姉ちゃんの手でおちんちんをいいこいいこ、ってしてくれると、どんどん甘えたくなっちゃうんだ……。

「それじゃあ、お姉ちゃんのおっぱいを吸いながら、精液ぴゅっぴゅ……しようね?」

お姉ちゃんは肩からエプロンの紐を外してくれて、片方のおっぱいをぽろんとこぼす。そしてそのまま僕を抱きかかえてくれて、そのおっぱいを吸わせる格好を取らせてくれた。僕はピンク色した乳首に口をつけて、赤ちゃんみたいに吸い付いていく。もちろんミルクなんて出ないけど……頭の中が幸せとエッチでいっぱいになっていく。なんにも、考えられない。エプロンの隙間から手を差し込んで、おっぱいを触っていく。指先がころん、て乳首を擦る。固くなってる……。お姉ちゃんもエッチなこと、考えてるんだ、って思うとたまらなくなってきて、夢中で何度も口の中のおっぱいに吸い付いていってしまう。

「よし、よし? いーこいーこ……。翔くんは良い子だね……?」

あふ、と息がもれた。お姉ちゃんの手が僕のズボンを下ろし終えて、いよいよおちんちんの根元に添えられた。指で輪っかを作ってくれて、それを上下でしこしこと扱いてくれる。一回扱かれるだけで射精したくなるくらい気持ちいい。お姉ちゃんの体は僕が興奮するように作られていて、僕の体はお姉ちゃんが攻めるのが弱点になってる。ちゅう、ちゅうと吸い立てながら上目遣いになってお姉ちゃんのほうをみると、まっすぐ見下ろしながら優しい表情でお姉ちゃんは頷いた。

「さぁ、いっぱい精液だそうね。お姉ちゃんの手で、いーっぱい翔くんの、このエッチなおちんちん、いい子いい子してあげるからね……?」

魔性の手コキが始まった。指が絡まって、僕の弱いところを的確に突いてくる。あぅ、あああっ、皮をめくって、指で先っぽと、カリ首のところを集中的に狙ってくる! その後はもう一度指の輪で扱き立ててくる。皮をめくった僕のおちんちんは、びくびくと震えてもう射精していないことが不思議でしかたないくらい気持ちいい。だしたい、だしたいっ! こみ上げてくる射精の欲望が僕の頭の中を支配する。体が強ばってきて、背中が反ってきてしまう。お姉ちゃんの胸に顔を押しつけたまま、足がぴぃんと伸びてしまった。

「ほぉら、気持ちいい……♡ お姉ちゃんの手コキ、気持ちいいねー♡」

びゅくんっ! びゅくんっ! びゅくぅうんっ!
開放感と共に精液が放たれていく。その射精最中のおちんちんを、お姉ちゃんはずっと扱き続ける。だめ、だめっ! そんなに続けていたらおかしくなっちゃう! まだまだ精液は出続ける。僕は頭の中が真っ白になったまま、お姉ちゃんのおっぱいにしがみつき、体をひくつかせながら、ただただ手コキで悶絶するだけになっていった。おねえちゃん、おねえちゃん、おねえちゃあんっ! 何度も何度も射精をしたあと……ようやく熱が引いて、体がいうことを聞くようになっていった。はぁ、はぁ、と息を荒げていく。お姉ちゃんにいいように扱われ、射精させられ続けているこの状態が……とても幸せに思えた。

「……くん、翔くん!」

そんな心地よい夢気分がうっすら聞こえてきた聞き覚えのある声に打ち消された。ポッティ!? そうだ、僕は……! 姉への誘惑に負けてはいけないと思っていたはずなのに……あっという間に飲み込まれてしまった! このお姉さんは、強い……! そして恐ろしい! 僕の決意があっというまに無効化されて、そして射精の虜になってしまっていたんだ。この母性に打ち勝つだなんて、できるんだろうか。僕は次第に射精後の倦怠感が冷めていく。同時に優しげな微笑みを向けてくれる目の前の姉に対して複雑な感情をわき上がらせていた。

「私の作戦ミスだ、翔くん! 打ち勝とうと思ってはいけない!」

ポッティの声がどんどん遠くなる。けれど聞こえたその内容に僕は耳を疑った。なんだって!? 打ち勝とうと思っちゃいけない!?

「その女性を姉だと思った上で、一生懸命翔くんなりに愛するんだ! キミの強さは打ち勝つ方向に活かすんじゃなく、愛するほうにこそ使うべきだったんだ!」

愛する……? お姉ちゃんを……?

「おそらく私の声はもうすぐ完全に消えてしまう! だから翔くん、愛して……お姉さんをいかせるんだ……」

そしてポッティの声は消えていってしまった。僕の体からも倦怠感は消えて、勃起が元通りになっていってしまう。賢者タイムが終わって、どんどんムラムラする欲求が湧き出ていった。たぶん、今のが最後の賢者タイムだったんだ。ここからは、いよいよ後がないんだ……!

どうすればいい? いや、ポッティが教えてくれた。そうだ。お姉ちゃんを精一杯愛するんだ。大好きなお姉ちゃん……だから、気持ちよくなるだけじゃなくて、お姉ちゃんのほうこそ気持ちよくさせてあげたい!

僕はぎゅ、っとお姉ちゃんの胸にしがみついて、すりすりと顔をあてて甘えて見せた。お姉ちゃんは抱き返してよしよししてくれる。その胸の間で顔をあげて、お姉ちゃんのほうを見つめる。

「あのね、今度は……僕が、お姉ちゃんを気持ちよくして、あげたいなぁ……」

どきん、どきん、と胸が高鳴ってくる。自分でそんなことをいうのは初めて。賢者タイムはすっかり終わってしまい、あれだけ大量に出したあとなのにも関わらず、僕のおちんちんはすっかりお姉ちゃんの肌にあてられて勃起しきっていた。
僕の言葉にお姉ちゃんはきょとん、としていたものの、少し遅れてぱぁっと笑顔を向けてくる。顔を赤らめて恥ずかしそうな、それでいて嬉しそうにしてみせて。

「翔くんも大人になったんだね、そんなことを言ってくれるようになったんだぁ……。ん、お姉ちゃん、嬉しい」

いつものよしよしじゃなくて、額につん、と指をあててくれる。そして寝そべる僕を離し、お姉ちゃんは立ち上がると、下着に手をかけてするすると脱いでいく。それを綺麗に畳んで置くと、リビングの壁に手をあてて、腰を突き出す格好を取ってくれた。僕にあわせて少し膝を曲げて、高さの調節までしてくれて。下着を脱いで丸見えになるお姉ちゃんのお尻は凄く大きくて綺麗。その上、開いた足の間から見えるあそこは……しっとり、濡れててらてらと光っていた。
ごく、と僕はつばを飲み込んだ。とてもエッチな光景。これから僕はお姉ちゃんの中にいれるんだ。”いつもみたいに”お姉ちゃんに気持ちよくしてもらうんじゃなくて、僕がお姉ちゃんを気持ちよくするために。追って僕もソファから立ち上がって、お姉ちゃんの背中にしがみつく。腰に手をそえて、お尻の中央、あそこめがけて勃起したおちんちんをずらし、おめあての場所を探っていく。お姉ちゃんも腰をずらして微調整。そしてじきに二人の息があって、性器同士が重なり合った。

「さぁ、翔くん。お姉ちゃんを犯して? いっぱい動いて、お姉ちゃんを気持ちよくさせて?」

ぞわ、と背筋から背徳の感覚が湧き上がって走るのを感じた。そうだ、今から僕は、お姉ちゃんを犯すんだ。弟なのに、姉なのに。
さっきまでたっぷりとお姉ちゃんのいきすぎた愛情を受けてきたのにもかかわらず、いよいよもって一線を越えてしまうことに興奮を覚えている。”前から何度もしている”はずだけれど、”はじめて”結ばれるような、そんな複雑で入り交じった感覚。多分、これでイカせられないと、僕はもうお姉ちゃんの存在に打ち勝てない……!

「うんっ、いくよ、お姉ちゃん……!」

僕は興奮で頭がおかしくなりそうになりながらも、腰をぐ、っと突き入れた。柔らかく、熱く、ねっとりした感覚がどんどんと僕のおちんちんを包んでいく。ふあぁ……と声を漏らしてしまって、思わず瞬間的に射精しそうになってしまった。それほど、お姉ちゃんのあそこの中は……とろけるくらい気持ちいい。まるで僕のおちんちんの形にあった最適な形を持っているかのよう。それだけじゃない。今の僕はお姉ちゃんが大好きな、お姉ちゃんに弱い弟だ。きっとお姉ちゃんのあそこの形が弱点で、動くたびに意思を挫じかれて、さっきまでの甘えん坊に戻されてしまうような快楽が走るように改変が進んでるに違いなかった。
意を決して腰を振り始める……あっ、あああっ、こ、これぇええっ……! ぱちゅん、ぱちゅん、と僕とお姉ちゃんの繋がったところから擦れるたびに音が響く。とってもエッチなくちゅくちゅ音に、お互いの肉がぶつかったときの音が重なって部屋のなかに淫らな音が鳴り続ける。その音が一つなるたびに、腰ががくがくと震えてしまうほどの快楽が僕の下半身を支配していく。あっ、あっ、ふ、あっ……こんなの、おかしくなっちゃう……!

「あっ、ふぁ……あっ……んっ、んんっ、気持ちいいよ……翔くん……っ……♡」

声に気がついて前を見る。お姉ちゃんは顔をあげてこちらの動くペースにあわせて、小刻みに腰を前後に揺すっていた。いつものお姉ちゃんとはうってかわって、控えめな動き。きっと僕が主導権を取るのにあわせて、あくまでサポートするような動きに徹しているんだ。髪がそれにあわせて小刻みに動く。横顔が見えて、その顔は気持ちよさそうというよりも、嬉しそうな表情。きっと、僕が自分から気持ちよくしたいといったから、こうやって自分から動いているからなんだ。でも、それだけじゃ駄目なんだ。お姉ちゃんを悦ばせたい……! もっと、もっと気持ちよくさせないと! そういう気概を保ち続けないと、きっと意思が挫いて、このお姉ちゃんのあそこの気持ちよさにメロメロになって終わってしまう。現に、僕は足をがくがくさせながら快感をこらえている。

「くぅうんっ! だめ、だめだぁ……でちゃうっ……うぅ」
「いいよっ、いいよ、そのままっ……! 翔くんっ……!」

きゅん! とお姉ちゃんのあそこが一気に締め付けられた! 僕のおちんちんを咥え込んで、そしてその先をざらざらした肉壁が擦り上げていく。ひゃぅ、と思わず悲鳴がでてしまうほどの気持ちよさがこみ上げてくる。だめ、だめ! でちゃう! 
んーっ、んーっ、と情けない声をあげて僕は首を振りつつ、ぎりぎりのところで射精をこらえた。目に見えたお姉ちゃんの表情が、どこか余裕を感じさせるものだったから。顔は赤らんで、息は弾んでいる。だけど口元の笑みが、いつものお姉ちゃんと変わってない。気持ちよくなってるのは間違いないけれど、イクだなんてまだまだ、っていう顔。はっ、はっ、と小刻みに息をして、体全体からは力を抜き、おちんちんにだけ集中して射精をこらえていく。だけど、だけど、こんな状態じゃ長続きしない。というか、出すのを先延ばしにしただけじゃないか。

「んっ……? 翔くん、まだ出さないの……? いいよ。翔くんの好きにして」

僕は思いきってお姉ちゃんの背中にぴったり上半身と顔を寄せて、体を密着させた。これで腰が動かしづらくなって、お姉ちゃんの小刻みな動きにあわせたような弱いスイングでしか攻められない。お姉ちゃんは少し不思議に思ったらしく「大丈夫? 疲れちゃった?」と言ってきた。僕は答えるかわりに必死に手を回して、おっぱいを触っていく。それでお姉ちゃんは「ふふっ」と笑って見せた。

「やっぱり翔くんはおっぱいが大好きなんだね? いっぱい触ってね……」

むにゅむにゅと、僕が触るたびにおっぱいの形が変わる。手からどんどんと魔力のように誘惑が伝わってくる。このおっぱいに溺れたい。ずっとモミモミして甘えていたい。そんな思いがじわじわと頭の中を書き換えようとしていく。僕は必死にそれにあらがおうとする。「お姉ちゃんを気持ちよくさせたい!」 ただその思いを一点に集中させて。
僕の狙いはちゃんとあった。おっぱいを夢中で弄りながらもちゃんと両方の乳首を把握する。そして呼吸を整え、お姉ちゃんの息にあわせて……人差し指を乳首に添えた。小さくても固くなってるそこに意識を集中させていき、ここだ! と思ったタイミングで念を込めた。それが魔力へとかわり、お姉ちゃんの乳首から送り込まれていく。その魔力はお姉ちゃんの全身を駆け巡り、快楽中枢を刺激していくはずだ。

「んっ、くっ……? んぅ……あっ……はぁぁ…………!」

お姉ちゃんの様子がどんどん変わっていく。いいぞ、腰への挿入と、乳首への魔力送付。この二点攻めでお姉ちゃんは確実に感じているはずだ。僕は腰を円を描くように回して攻めながら、どんどん魔力を送っていった。集中力と、体力を激しく消耗する攻めだけれど、めげるものか。お姉ちゃんがイクまで、続けてみせるんだ!

繋がってるところからとろとろと蜜がしたたり落ちていく。指に当たる乳首が痛いくらいに充血して固くなってるのがわかる。ときおりびくん、びくん、とお姉ちゃんの体がけいれんするように跳ねている。もう少し、もう少しだ……!

「あっ、んっ、あぁっ、いつの、まに……こんなのが、できる、ようにっ……なったの、翔くん……♡」

嬉しそうに声を震わせていくお姉ちゃん。だめだ、今は攻めに集中しなきゃ。この声を聞くだけでも意識が前みたいな甘えん坊モードになってしまうかもしれない。意識を攻めの方向に保たないと。

「それじゃあ、お姉ちゃんも……お返し、ね♡」

えっ、と思わず声が出てしまった。次の瞬間、きゅぅうんっ、とお姉ちゃんのあそこが一気に締め付けてきた! 根元に食らいついてきて、かつ先っぽを柔らかいヒダがおちんちんの先を撫でていく。しかもお姉ちゃんが遠慮無しに腰に大きく前後に揺さぶってきた。僕の手は胸になんとかしがみついていたものの、二度三度とそのお姉ちゃんのグラインドが激しくなるにつれて剥がれてしまい、腰に手を添えるのが精一杯になってしまった。これじゃ、魔力を送れない……!

だけど送れないどころじゃない。繋がってるおちんちんが魔性の快楽を得てしまってる。強くて甘い締め付けで根元から先まで往復するたびに動けないくらいの刺激を得てしまい、奥までしっかりはめられてしまうと、先をヒダで擦られる。あ、っというまに僕は行動不能にまで追いやられてしまい、そして、そして。

「だぁめぇぇ! こんなの、こんなのぉ!! でちゃうよぉおおっ!!」
「はっ、はぁ……♡ いっぱい出して、お姉ちゃんの中いっぱいにして……! 翔くん大好きだよ……! 翔くん、翔くぅん……♡」

あっ、あああっ、声が、お姉ちゃんの声が頭を反響する。だめ、だめ、出しちゃだめ。そう思っているはずなのに、はずなのに……! 体がいうことを聞いてくれない。心も屈服してしまってる。お姉ちゃんのあまりに気持ちいいあそこの中でおちんちんは、ついに限界を迎えてしまった。きゅううんっ、と再度締め付けてくるあそこの中で、僕は射精してしまった。

「ああああぁぁあぁぁあっ!!! ……おねええちゃぁああんん…………」

ああっ! すごい! すごぉぃいいっ! どくどくと精液が出続けていく。出すおちんちんをお姉ちゃんのあそこは喜んで吸い付いて、決して離そうとしない。まだ、まだ出る。気持ちいい、お姉ちゃんのあそこ、気持ちいい……♡ 

そうして頭の中が真っ白になっていく僕の中で、”新しい過去の記憶”が生まれてくる。少し前の、エッチな思い出。



お姉ちゃんと一緒に、いつものようにお風呂に入ってきた時の話。なぜかその日はお姉ちゃんと一緒なのが恥ずかしくて仕方がなかった。そんな僕に関係なしにシャワーをかけてきて、ボディソープで泡まみれにしてくれるお姉ちゃん。
だけど手が僕のおちんちんに着たとき、お姉ちゃんは動きを止める。そのおちんちんがすっかり勃起してしまってたから。僕は、高校生になって早熟になったお姉ちゃんの体に反応して勃起、してしまってた。顔を真っ赤にして、泣きそうな顔をしてみせちゃう僕に……お姉ちゃんは、優しく微笑んだ。

「翔くんはお姉ちゃんの体にドキドキしちゃったのかな……♡ 大丈夫、心配ないよ。お姉ちゃんも嬉しいんだから」

シャワーで泡を洗い落としたお姉ちゃんは、そのまま膝をついていく。えっ、といった僕を尻目に、そのままお口をあけて……勃起したおちんちんを口に含み始めた。おちんちんを食べられちゃった!? と困惑する僕は、そのあとからこみ上げてくる快楽に夢中になってしまった。お姉ちゃんの唇が、舌が、動くたびにおちんちんから気持ちいい刺激がこみ上げてくる。僕は逃げようとおもって後ろに下がる者の、そこは壁の方向だった。あっ、あああっ、と悲鳴をあげながら腰をひくひくさせてしまう。お姉ちゃんは逃げないように腰に手を回して、がっしりホールド。そのまま喉の奥にまで咥え込んで僕を攻め立てた。

そこから一分もしなかった。僕は、精通をお姉ちゃんの口の中でしてしまった。たっぷり出した精液をお姉ちゃんは口から出して見せてくれた。「これが赤ちゃんのもとなんだよ。翔くんも大人になったって証拠だね」と言われながら、もう一度おちんちんをボディソープで洗われて。

そこから僕はお姉ちゃんの虜になったんだ。一緒にお風呂に入って、添い寝をしてくれて。朝はフェラチオで起こしてくれる。とっても大好きで、エッチなお姉ちゃん。僕の初恋で、僕の初体験の人。ずっと、ずっと、一緒にいたいよぉ……。



目を覚ました僕は、優しく頭を撫でられていた。ソファに寝そべっているお姉ちゃんが、自分の体の上に僕を乗せて、足で挟み込んでいる格好。顔はすっぽりとおっぱいに挟まっていて、見上げるとお姉ちゃんの顔が見れた。

「翔くんのテクニック……んふふ、凄かった♡ お姉ちゃん、あんなの初めて……」

僕は胸にすりついて甘えてしまう。ちゅ、っと乳首に吸い付いて、お姉ちゃんの体を味わおうとした。あれだけ射精したのに、まだまだおちんちんの勃起は止まっていなかった。あとはお姉ちゃんのおっぱいで挟んでなめなめしてもらいたいな……。そんな夢見心地な気分。


っ! 僕はもう一度お姉ちゃんの顔を見てはっとした。確かにお姉ちゃんの顔は余韻に浸っているような顔。だけど、だけど、まだこの空間が続いている。まだ、お姉ちゃんはいってない……! 僕の攻めに少しだけうっとりしただけだ! 僕は射精してしまい、さらに過去を改変されてしまった。ますますお姉ちゃんに弱くなってしまった。

あっ、あああ、股間の勃起が熱いくらいになっていく。射精したばかりだというのに、萎えるどころかさっきよりも固くなってしまってる。賢者タイムは完全になくなってしまった。目の前のお姉ちゃんが……ますます魅惑的に見えてくる! くぅうぅんっ……だって、だって、僕の初恋の人、なんだもの……!

「まだまだ熱い、ね? ……もういっかい、お姉ちゃんに、してくれる?」

顔を真っ赤にさせながら、お姉ちゃんは足を開き、そこに僕の下半身を挟み込むようにした。勃起し続けているおちんちんが下腹部にまたあたっていく。先がお姉ちゃんのあそこの毛にあたってしょりしょりと心地よい。
これはいつものお姉ちゃんとは違う対応だ、と思った。お姉ちゃんはいつも、僕のことだけを考えている。でも、はじめてお姉ちゃんのほうから自分を攻めさせようとおねだりをはじめて行くようだった。もしかしたら、僕の攻撃が通用したからかもしれない。お姉ちゃんは……あくまで僕のお姉ちゃんなんだ。カリギューラに操られて僕の精子を狙ってくる女の子とは、ちょっとだけ違う、のかも。

「うんっ……うんっ!」

お姉ちゃんの体の上で体勢を整えていく。今日こそお姉ちゃんを満足させてみせるんだ! その意気で体を動かしていく。目の前で誘惑するようにふる、ふるって揺れるおっぱいが見えてしまうけれど……今度こそ、我慢してみせる。

腰を突き入れて、一気におちんちんを、お姉ちゃんのあそこの奥めがけて進ませる。さきほどと同じ……うぅん、弱体化してるおかげでさっきよりも強烈な快楽が僕を攻め立てる。歯を食いしばって、お姉ちゃんの体の上で腰を振り始めた。ぐちゅ、ぐちゅ、とエッチな音がどんどんと聞こえてくる。奥にいれるたびにお姉ちゃんのあそこが、僕のおちんちんをエッチに攻め立てる。奥の方でヒダが待ち構えていて、擦れるたびに脱力させるほどの気持ちよさが走って行くんだ。でも、でも、動きは止めないし……出したりなんか、しないんだ!

「お姉ちゃんっ、お姉ちゃんっ! だいすき、だいすきだよぉ! ああああっ! ぜったい、ぜったい気持ちよくさせてみせるからぁあっ!」

繋がるところからきゅんきゅんと射精感が走ってくる。もう、出したくて出したくて仕方がない。だけど絶対に我慢しなきゃ! その反する思いをどうにかするため、僕は口にだして思い切りその決意を表にだしてしまった。もう無我夢中だった。

「あっ、ああっ、あっ!? 翔くんっ、翔くぅんっ! あんっ、あんっ! いいっ、お姉ちゃん……いいっ……♡」

お姉ちゃんが……感じてる。さっきよりも、激しく! そのときふっと僕の脳裏に感覚としてお姉ちゃんの思いが伝わってきた。あまりに射精しすぎて、お姉ちゃんの存在が固着しかけてきたおかげで……二人の距離が密着したおかげだ。お姉ちゃんの弱点がなんとなくわかる! 奥の方を激しくするんじゃなくて……ゆっくり、大きく、ずんずんされるのがお姉ちゃんの弱点……! そして、敏感なのはクリトリスのほうも……!

「お姉ちゃん……お姉ちゃんっ!」

僕は動きを変えた。がっしりとお姉ちゃんの太ももを掴み、肩にふくらはぎを乗せる格好で上に覆い被さる。まるで獣がお姉ちゃんを襲っているかのよう。だけどお姉ちゃんのあそこはそんな荒々しい格好に感じてひくひくとしている。
僕は腰を、ただ激しくふるだけじゃなくて、リズミカルに前後にしていった。お姉ちゃんの弱点、規則正しく、大きく、ゆっくりな動き。それに変えてから明らかにお姉ちゃんの反応は変わっていった。

「んあっ、あぁんっ! あんっ♪ すご、あっ、あああっ! そこ、そこぉっ……♡」

体をよじって、背中を反らし、そして息を大きく弾ませている。効いてるんだ……僕の、動きが!
だけどこのままでいるのも限界に近かった。あまりに感じすぎたお姉ちゃんのあそこは、きゅんきゅん締め付け続けて僕をいかせようとしている。ゆっくり大きくな動きに変えたおかげで、僕のおちんちんを攻め立てるあそこの動きもダイナミックになって、感じてしまう!

駄目だ! このままじゃ僕のほうがまた先にいかされちゃう! 無我夢中になって腰を振ろうとしたいけど、そんなことをしたら逆に僕だけがイカされて終わっちゃう。次の射精をしてしまった、きっと、きっと僕はお姉ちゃんをいかせようとする気力すら沸かないように変えられてしまうはずだ!

「お姉ちゃんっ、いって……!!」

僕はほとんど何も考えられず、本能的に手を回し、太ももを抱きかかえる格好のままお姉ちゃんのあそこへと指をあてがった。毛の生えているところをかき分け、指先が濡れた結合部上にあたる。そのとき、弟としての本能と、勝たなきゃいけないという思いと、ポッティから譲られた力が一気に結びついた。指先の魔力がお姉ちゃんのクリトリスに重なった。ここだ……! 全ての集中力を使い、一気にそこへ注ぎ込む!

「んあっ!? あああっ!? ああああああーーーーーーーっっっ!!!!」

お姉ちゃんは大きく背中を海老反りにし、そしていつものような余裕の表情ではなくて快楽を一杯に感じて絶頂した。それと合わせてあそこがきゅぅぅうううんっっ!! と激しい律動を起こしていく! あ、ああああっ!! だめ、だめだぁ!! 僕はあまりに激しいお姉ちゃんのあそこに吸い込まれるように、射精してしまっていった。

激しい運動が止まり、僕はお姉ちゃんの体の上、胸の間に顔を埋めて夢中で弄っていた。どくん、どくん、と射精が止まらない。気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい……♡ ぐんぐん精液を吸い続けるおねえちゃんのあそこ。僕を気持ちよくさせてくれる、とってもエッチなところ……。ああ、おっぱいもすべすべでふわふわしてて……気持ちいいよぉ……。

背中を反らしていたお姉ちゃんがくたり、とベッドに横になる。吸い続けていたあそこの律動も止まり、僕はようやく射精を止めることができた。だけれど二人の性器は繋がったまま。心と体が重なるのって、こんなに気持ちいいんだ……。夢心地な僕だけれど、きっとお姉ちゃんも同じ思い。荒く弾んでいた息が落ち着いてくるのが聞こえてきた。僕の心も激しい獣欲から解放されて、ようやく落ち着きを取り戻してきたのがわかる。



……くん、翔くん!




はっ、と息を呑む。その声は、ポッティ!? お姉ちゃんをいかせることが出来たから……ポッティの声がまた聞こえるようになったんだ!

「しまった……遅かった。完全に固着してしまった! もうそのお姉さんの存在は君から引き剥がせない! その魔力の膜を破られたら、世界はカリギューラの手に落ちてしまうぞ!」

夢見心地な気分が一気にすっとんでいった。なんだって!? そんな! 僕は間違いなくお姉ちゃんを先にいかせた……いや、そうじゃない。もしかしたらその前の射精の時点で、もうお姉ちゃんは固着しきっていたのかもしれない! だからイカせても消えずに、「僕のお姉ちゃん」として魔力の膜のなかに居続けた……?

がたん、がたん! あたりのタンスや机が激しくなり出した。周囲のものが巻き上がり、一気に落下するような感覚に襲われる。いや、ベッドの床下が消えてそのまま実際に落ちてしまった!

お姉ちゃんと一緒に落ちていく! 落ちて落ちて……そして見えないクッションにぶつかって止まる。そこに広がる何もない漆黒の空間に、巨大な影が湧き上がるのを見た。
わかる……! あれは、淫魔の女王カリギューラ! 巨大な女王の姿が立ちこめていく! まるで特撮映画の怪獣みたいに、何十メートルもその姿は大きく見えた。……手には巨大な鎌を構えていた。

「ふはははは! よくやってくれた翔! 私の力はここまで復活したぞ。あとは……その膜をやぶり、膜の中で熟成しきった貴様の種を拡散すれば、全てが私のものだ!」

カリギューラの指がこちらに向いて、光る。そうすると漆黒の空間に桃色の球体ができあがった。僕と、お姉ちゃんの二人をすっぽりと覆い隠すほどの大きさ。これがそうだったのか……! そしてその膜の中に光りの筋が生きているかのように幾重にも走っているのが見えた。これが、僕が出してしまった種……? 流星のように走っているその光景は、神秘的で綺麗だった。

「私が作り上げた姉の存在は十分に固着したようだな。ならば膜をやぶっても消えることはあるまい。姉弟なかよく、永遠の快楽の世界で生き続けるといい」

カリギューラが大きく鎌を振り上げた。ああああ……! ポッティは!? だめだ……声が聞こえたのはさっきの一瞬だけ。駄目だ。もう、打つ手がない!

僕が諦めかけて目を閉じた瞬間、ぎゅ、っと誰かが僕の肩を抱いてくれた……えっ? 目を開けて顔をあげたそのとき、僕を守るようにしていたのは、お姉ちゃんだった! 左手で僕を抱き、右手をカリギューラのほうへ突き出している。無理だ、そんなこと! ところがカリギューラの鎌は膜の直前で、がちん! と金属音を立てて跳ね返った。おもわずバランスを崩し後ろに下がってしまうカリギューラ。

「貴様……いったいなんのつもりだ?」
「姉なら、弟を守るのは当然のことでしょう?」

目を丸くして思わず見ちゃう。どういうことだろうか。お姉ちゃんはカリギューラに作られたかりそめの存在のはず……。まさか、まさか。

「裏切るつもりか貴様ぁ! 私に作られた恩義を忘れたか!」
「貴方に作られた覚えはありません。私の親は翔くんの親……そして私は、翔くんの姉ですもの」

怒りを沸騰させてカリギューラが再度鎌を振り下ろす。けれどお姉ちゃんが手を上げ続け、それを弾いていった! この空間であまりに強く僕と結びついたおかげで……本当に、姉として動いてくれているんだ!

「おぉのれぇええええっっ! まがいものの分際でぇえええ!!!」
「やっぱりその姿は見せかけ。魔力は回復なんてしていない。だから、まがいものの私でも戦える」

そうか! カリギューラは持てる魔力を使い果たしてこの膜を作り上げた。現実世界で数時間しか経っていないんだから、カリギューラの魔力なんてそうそう強く回復していないんだ! あの姿はハッタリで……僕の心を折ろうとしていたんだ。

「凄いよ、お姉ちゃん!」
「ふふっ、ありがと。そういってもらえると嬉しいな。……でも、カリギューラからこの膜を守り続けることは、ちょっと難しいかな」

何度も,何度も鎌を振り下ろすカリギューラ。そのたびに上手く弾いているのだけれど……そうか! カリギューラの魔力は24時間で元に戻る。今はまだ足りていないからなんとかなるけれど、このまま弾き返し続けるなんて……無理なんだ。

「どうしよう……! このままじゃ膜はやぶられて、やっぱりカリギューラが」

その声にお姉ちゃんは手をカリギューラのほうへ向けたまま、まっすぐこちらを向いた。目は、真剣なものになっている。ぞわ。何か良くない予感が僕の中に走った。

「翔くん、これからお姉ちゃんは魔力を使います。……この膜に放出された精気を私に集めて、それをもう一度翔くんの体に戻してみせる」
「そんなことができるの!?」

お姉ちゃんの体は本当はカリギューラで作られたありえないはずの体。それであるが故に、魔力を操作することができる。お姉ちゃんはそう言っていた。

「お姉ちゃんは翔くんのこと……大好きだからね。ずっと、ずっと」

お姉ちゃんの体がうっすらと光り出した。膜の中にある流星のようだった光りが、どんどんとお姉ちゃんの体に集まりだしていくのが見える。

「まって……まって! お姉ちゃんはどうなるの!?」

僕はあわてて問いただす。僕が精を出して存在を固着できたのがお姉ちゃんなら……それを戻してしまったら、もしかして!?

「止めろ翔! 精を戻してしまったら、お前の姉はもう存在することはできんのだぞ!」

怒りながらもカリギューラは言い放つ。やっぱり! これじゃあお姉ちゃんも消えてしまう!

「だめだお姉ちゃん! そんなことしちゃ!」
「……お姉ちゃんのいうことをちゃんと聞いて。翔くんは、世界がカリギューラの手に落ちるのがイヤなんでしょう? だから、お姉ちゃんを一生懸命いかせようとしたし、甘えたままじゃいられないと思った」
「……」
「だから私はカリギューラに反抗したの。翔くんがそれを望んだから。可愛い弟がそれを選んだなら、私は消えても良いと思ったの」
「駄目、駄目だよ……!」

カリギューラが膜を打ち破るよりも先に、膜の中の光りがすべてお姉ちゃんの体に吸い込まれた。膜は割れるんじゃなくしぼんで消えていく。僕とお姉ちゃんの体は暗黒空間に放り出されてしまった。その状況でカリギューラは両手で鎌を持ち、ふたたび大きく振りかぶる。

「おのれおのれおのれえええ!!!!! ならば今! お前の! 体を引き裂いて……翔の精気をばら撒いてみせるわぁあああ!!」

お姉ちゃんの手が降りる。そしてまっすぐ僕のほうを向き直ると、両手で僕の頬を包んできた。

「待って……いやだ、そんな」
「お姉ちゃんのこと、忘れちゃ駄目だよ」

んむっ、と口づけする感触が僕の唇にあたる。お姉ちゃんが目を瞑って、そして舌が入り込んでくる。舌だけじゃなかった。かぁ、っと熱くなるような光そのものが、口を伝って一気に注ぎ込まれていった。身も心も一気に温かくなる感覚! 散らばってしまった精気が、僕の体に戻ってきて、種として封印される感覚が走った。

「ぐあああああああああああ!!!!!!!」

カリギューラが藻掻き苦しみ、漆黒の空間の向こうに落ちていくのが見えた。お姉ちゃんの体を引き裂くよりも先に、魔力がつきてしまったんだ。巨大な影がどんどんと小さくなっていき、そしてじきに見えなくなった。
キスが終わる頃にはお姉ちゃんの体はもう光らなくなっていた。それどころか……どんどんと透明になっていくのが見える! その上お姉ちゃんの体もどんどんと漆黒の空間に沈み込んでいって、僕との距離が離れていく! 僕は必死に手を伸ばすけれど、お姉ちゃんには届かない! 駄目だ、僕の体は地上に戻されていってる! このままじゃ!

「だめ! だめ! 愛理おねえちゃぁああんっ!!」

僕は思いのままに叫んだ。離れていくお姉ちゃんの顔は、笑顔だった。

──やっと、名前を呼んでくれたね、ありがと

はっ! とした。”思い出した” そうだ、お姉ちゃんは……。そんな思いを感じる余裕はなくなった。ぐぐぐ、っと体を一気に引き剥がされる感覚に襲われる。

「翔くん! ここは危険だ、さっさを撤収するぞ!」

ポッティ!? 遠くから聞こえる声に驚くと、僕の体はほとんど一瞬で引き上げさせられた。酷いめまいにくらくらしつつ、手で地面を確認する。ふかふかする感触がひろがった。ここは……? 僕の部屋だった。がたがた揺れていた机やタンスも元通り。窓から差し込む日はお昼を指していた。僕はいつのまにか私服に着替え終えていた。一応パンツも確認したけれど、汚れている様子もなかった。まるで”なにもなかった”かのようだった。

「こちらから全部見えていたわけではないのだが、翔くん、いったい何があったんだ? てっきりカリギューラの策が成功したと思い込んでいたのだが」
「ええと……」

なんて説明して良いのかわからず、口ごもる僕。怪訝そうにしているポッティにわかりやすく伝えるには、いったいどうすればいいのか……ちょっとだけ考えて、簡単にこう、話してみせた。

「お姉ちゃんが、助けてくれたんだ」

ポッティは少し不思議そうにしていたけれど……あまり深く追求してくることはなく、そっとしていてくれた。たぶん、僕が目に涙を溜めていたことに、気がついたからだと思う。

「ありがとう、愛理お姉ちゃん」

窓から外を見つつ、僕は言った。






──そして一年後の夏


僕はお父さんと一緒に、お母さんの墓参りにやってきた。カリギューラとポッティとの戦いも、ずいぶんと前の話に思える。あれから僕の生活はだいぶ変わった。そんなに女の子につきまとわれることはなくなったし、勉強や体育に熱心に打ち込めるようになった。大事なのは心だって、ポッティから教えて貰ったから。

お父さんは墓石に水をかけていく。僕は花を添えた。僕も水をかけたあと、蝋燭に火をつけて二人交互に手を合わせた。その後綺麗に掃除して、お墓を後にした。帰るとき、お父さんはいきなりこんなことを言い出した。

── 言ってなかったが、お前にはお兄さんか、お姉さんがいたかもしれないんだ

えっ。と思わず聞き直してしまった。僕が生まれてくるずっと前、一度お母さんは妊娠したことがあった。そのときは早期流産とか、なにかで結局生まれてくることはなかった。そのときのお母さんとお父さんは酷くショックを受けて……僕が生まれてくるときに、すごく、すごく喜んだ、んだって。

── もし生まれていたなら、お兄さんだったのかな、お姉さんだったのかな

お父さんがぽつりと漏らした言葉に、僕が力強く答えた。

「きっと、お姉さんだよ」

そうか。とお父さんは返してきた。少し歩いた後、またぽつり、と漏らした。

── 翔が生まれてくる前、もし女の子だったらつけようと決めていた名前があったんだ。お姉さんがいたら、その名前をつけていただろうな。

僕はその名前を聞かなかった。聞かなくても、その名前は知っていたから。

そしてその名前を忘れることは、きっと無いんだから。



  翔のあぶない冒険 外伝 ANOTHER SISTER MEMORIES おしまい


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