ジョルジュ三度
階段を昇っていつも通りの石壁通路を進んでいくと、突き当たりに扉があった。さて今度はどんな相手で、どんなステージになっているのか。一体後どれ位で現実に戻れるのか。ていうか、「ないと・めあ」は本当に俺を帰す気があるのか?
……何か微妙に疲れてきた。出てくる女性はそれもこれもどっか一癖も二癖もあるし、もし気を許せば、俺は現実に戻れなくなる。
心安らぐ時間が俺にはない。せめて愚痴の一つでも言える仲間でも出来ねえかな。なんて、ありえねえよな。そんなことを思いつつ、扉を開く。今度は楽に進めるステージだと良いけどなんて考えながら。
だが――
「何でよりにもよって、大樹海なんだよ―――――ッッ!!」
俺の魂の叫びは「だよーだよーだよー」と、森中に木霊して消えていった。
扉を開けたら大樹海、しかも設定は中世ヨーロッパか何かなのだろう。扉の横に『これに着替えろアホンダラ掃除娘』と書かれた看板と衣装が置いてあった。今じゃ俺はまるで「指○物語」のアラ○ルンだ。全く着慣れていないので、見た目はただコスプレだが。まあ、全裸よりマシか。しかしこのノリだと敵も中世っぽかったりするんだろうか。あるいはモンスター?
でも前半の敵は全て人間だとか言ってたし……
それにしても、何でこんな広い森の中を歩かなくちゃならないんだよ。
……
………
…………
どれ位歩いただろ。誰も出て来ない。いい加減嫌になって来た。もう一度、魂の叫びでもぶっ放してやろうか。
「――や、やめてよッ!ちょっとッ!」
ん?
森の奥の方から声が聞こえてきた。俺は足音を忍ばせて、森の奥へ進んだ。林の隙間から向こう側を覗き込む。
すると――
「や、やめてったらッ!ボクに近付かないでッ!」
大木の影に追い詰められる少年がいた。まるでナポレオンとか、フランス公爵とかそんな感じの衣装を着ている。
そして――
「……いいじゃないの。ゆっくり楽しみましょ」
「なんなら、ずっとここにいてもいいのよ」
「ねえ?うふふっ……」
追い詰める三人の女性があった。しかも見覚えがある。ここに来て二番目に戦った敵「OL」だ。何でこんなところに彼女達が……しかも全く中世じゃないし。
えっ。でもこれってひょっとして……襲われてる?もしかして俺以外にもセックスバトルに参加させられてる人がいたのかッ!?
助けないと――
って、いや待て。何で「OL」なんだ?もうかなり下の階で戦ったぞ。ただの「OL」じゃないのか……?ここは慎重に戦った方が……
「こ、来ないでッ!来ないでよッ!」
少年は本気で怯え、本当に嫌がっている様に見える。
「……………」
俺は溜息吐いた。
――ここで見捨てたら、漢じゃないよな。
覚悟を決め――俺は走り出した。
「えっ!?」「何々ッ!?」「あ、アンタ――ッ!」
俺が立ち憚ると、困惑する「OL」達。
先手必勝!
「はあああああ……あたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたっ!」
揉手百烈拳!
レベルアップを繰り返して以前の威力よりも格段にあがってるはずだ。炸裂した直後、「OL」から悶える声が何度も聞こえていた。
全ての攻撃を終え、俺はふーっと息を吐く。
「OL」達はしばらく呆然としていたが――
「…………お前達はすでにイッている」
俺がそう呟くと、三人は声もなく倒れた。直後彼女達は光となって消えていく。
「……………」
何か、あまりにあっけないな。本当にただの「OL」だったのか?
でも何でこんな所にいたんだろ。
「――あ。ねえ」
少年が話し掛けてきた。サラサラの銀髪のショートヘアをした童顔の美少年で、そのかわいらしい相貌は大体、六対四位で女の子に間違われる方が多そうだ。羽帽子を被り、フランスの貴族の様な恰好をしているのは意外と良く似合っている。
少年は笑顔でこう言った。
「助けてくれてありがとッ。お陰でホッとしたよ」
「どういたしまして。でも、驚いたな。俺の他に連れてこられた人がいたんだ」
「えっ?」
「君もいきなりここに連れてこられたんだろ?「ないと・めあ」とかいう奴に、いきなりゲームしろとか言われてさ」
「あっ、ウン。まあ……そうかな」
「大変だったろー?ここまで来るの」
「ううん。ボク、ここが初ステージだから」
「……マジで?」
つまり少年のファーストステージとさっきの扉が繋がっていたのか?
道を間違えた……って訳じゃないよな。
それとも「ないとめあ」の奴、この少年が好みだからって最初から高ステージに送り込んでさっさとゲームオーバーにさせようとでもしたのか?
まあ、ありえない話じゃないが……
何にしても……この少年を放っておく訳にはいかないよなぁ。
「一緒に行くか?」
「……へっ?」
「君一人残して行くと心配だし。君、結構女の子にモテるだろ?」
「そ、そんなことッ……!」
少年は顔を赤くして、慌てふためいていた。
「ま、一人より二人だ。一緒に行こうぜ」
不安げな少年に、俺は笑って手を差し伸べた。少年はしばらく迷っていた様だったが――
「ウン。ヨロシク」
ニッコリと笑って、手を握り返した。
少年は「ジョルジュ」と名乗った。
フランスで結構名家の生まれらしい。何度も「自分の家は名家」だと熱く語ってきた。正直何度も聞かされて飽き飽きとしていたが、無視するのも可哀相なので相槌だけは打っていく。一方で俺も結構鬱憤が溜まっていたらしい。色々と愚痴を言ったり、話したりしていた。
まあそれはいいのだが――
「はじめてのケースだなぁ。普通ならすぐに別のステージに移動できるんだけど」
俺達はまだ樹海をさ迷っていた。どこまで行っても出口が見えない。目の前に広がっているのは樹海のみだ。
「大丈夫か?疲れてないか?」
後ろのジョルジュに声を掛けてみるが――
「ウン。ありがと。ボクは大丈夫だよッ」
ジョルジュはニコニコ笑っていた。
「……楽しそうだな?」
「ウン。だって、楽しいよ?」
俺は首を傾げた。
「…………何で?」
「だってキミの話面白いもん」
「……そうか?」
「ウンッ」
ジョルジュは照れ臭そうに言った。
「今まで気兼ねなく話せる人っていなかったから何となく安心できるんだよねー……なんて言えばいいのかな……ホッとするんだよね」
どことなくジョルジュの表情に陰りが見えた。人それぞれ事情があるんだろう。
「……ま、こんな所で会ったのも何かの縁だ。これからは助け合っていこうぜ」
「ウンッ、ヨロシクッ!……ってあれ?」
ふとジョルジュが右の茂みを凝視して言った。
「どうした?」
「ん。何か、風の感じが違うなーって」
……
………
…………またか?またなのか?
「なぜ分かる?」
「ま、貴族の嗜みかな」
「……どんな嗜みだよ」
俺は溜息を吐いた。
コイツの「貴族の嗜み」が良く分からない。
今までも数回ジョルジュの「貴族の嗜み」を聞かせられたが、火の付け方とか、木に貯えられた水の取り方だとか、野草や茸の食える食えないの識別だとか、どう考えてもサバイバル技術じゃねえかと突っ込みを入れたくなる。
実はコイツ、色々と苦労しているんじゃないか……?
そんなことを思いつつ――
「ま、だからって突っ込んでいくのは危険だ。ここはゆっくりと――って早ッ!」
すでにジョルジュは走り出していた。
「ホラーッ!キミも早く早くッ!」
「ってバカッ!何勝手に走り出しているんだよッ!」
俺も追い掛けるように走り出した。
……何考えてんだ、全く。
何か子守りをしている様な気分になってきた。ただまあ、それでも悪い気分はしない。それどころか――楽しい、気分ではあった。
「大丈夫だってッ!ホラホラーッ、こっちこっち!」
ジョルジュは少し先の所で片手を大きく振りながら、楽しげな声をあげる。
全く、仕方がねえなぁ。そんなことを思って、軽く走っていく。
その時――
「!?」
走るジョルジュの前に、崖が広がっているのが見えた。
あの馬鹿、前を見ていない!
「バカ待てッ!とまれ―――――ッッ!」
「――えっ?」
ジョルジュが気付いた時には――
すでに右足が空を切る。
俺は咄嗟に右手を伸ばし、走り込んだ。
直後――
ガシッ!
俺はどうにかジョルジュの体を抱き込み、もう片方の手で隣りにあった木の幹を掴んだ。下には高層ビル並みの崖――ずっと下には川が流れているのが見えた。
「だああああああああああああああああああああッ!」
俺は力ずくで、ジョルジュの体を引っ張り上げた。
「はあ……はあ……はあ……」
俺はジョルジュを抱いたまま、崖の上の地面にぺたりと倒れ込んだ。
息が切れるし、本当に心臓が止まるかと思った。
「バカ野郎ッ……前見ろよッ!危ないだろッ!」
「ご、ごめん……」
謝罪するジョルジュ。
しかしまだ怒りが込み上げて来る。
もう一言くらい文句言ってやろうと、ジョルジュの顔を見た。
その時――
……ドキッ。
俺の胸は……高鳴った。
俯き、暗い表情を浮かべるジョルジュ。すぐ近くで見るその姿はまるで可愛らしい女の子の様だ。しかも密着する体からは果物の様な良い匂いがする……
――って俺は何考えてるんだッ!相手は男だろうがッ!?
俺はすぐにジョルジュから離れた。
内心の動揺を隠すように平静を装って言う。
「まあ……分かればいいんだ。分かれば……痛ッ」
「ど、どうしたの……ッ!?」
見ると、俺の左手の人差し指に切り傷が出来ていた。どうやら木を掴んだ時に皮か何かで切ってしまったらしい。黒ずんだ血がゆっくりと流れ出始めている。
「あ〜あ……切っちまったか……」
……ってあれ?この世界は夢のはずだよな?ここでは傷も付かないし、死にもしないって言ってた様な……
「ちょ、ちょっと見せて」「あ?」
ジョルジュが俺の人差し指に顔を近づけて、心配そうに見つめていた。と思ったら、
――ちゅっ。
「ッ!?」
ジョルジュはいきなり俺の人差し指を口に含んだ。
そこからまるで愛撫の様にゆっくりと、柔らかく舐めていく。
……気持ち良い。
それは時折感じる傷の痛みと共に快楽の調和を生み出していった。もしそれが俺のオトコに行なわれたら一分も持たないかもしれない。
って馬鹿ッ!コイツは男だぞッ!
思いっきり頭を振って、空想を振り払った。
「……あれ?傷がない……?」
ジョルジュは指から口を離して言う。
見ると確かにもう、傷はない。
何だったんだ、一体……
「大丈夫……?」
ジョルジュが心配そうに覗き込んでくる。
――ドキッ。
また胸が高鳴る。
俺はすぐにジョルジュから顔を逸らして、こう言った。
「な、何でもない……大丈夫だッ!」
何でコイツ、こんなに女の子っぽいんだよ。男なら男らしくしてくれッ。
……本当、どうかしてるぜ。
俺は小さく溜息を吐いた。
「うわああ……真暗になっちゃったね」
ジョルジュが夜空を見上げながら言った。
あれから数時間経っても結局出口を見つけられなかった俺達は、森の比較的開けた場所で野宿することになった。
薪や火の付け方はジョルジュの特殊技能でどうにかなり、あとなぜか森の木に掛けられていた二枚の毛布を発見した。多分、掃除娘か誰かが届けてくれたのだろう。
俺は焚火に薪を足しながら、これからのことを考えていたが――
「――ねえ。まだ、怒ってるの?」
ふと見ると、ジョルジュが俺の顔を覗き込んで来た。いい加減、頭が冷えて多少免疫は出来ているが、さすがに近距離はまだきつい。俺は咄嗟に目を逸らしながら言った。
「あ、い、いや……もう、怒ってないよ」
「本当?」
「本当。少し考え事をね。ただもう、あんな真似はやめてくれよ」
「は〜い♪」
するとジョルジュは笑みを浮かべて、俺の隣に座り込んだ。
怒っていないということが嬉しいらしい。
「じゃあさ、何を考えてたの?」
「いや、何で出口がないんだろうって」
この部屋の相手――「OL」三人はもうすでに倒してる。なのになぜ、先に進めないのか。それがずっと気になっているんだと言うと――
「……ひょっとして、まだボス倒してなかったりして」
「えっ?」
「本当のボスが他にいて、さっきの「OL」さんはただここのボスさんと知り合いとか何かで遊びに来ただけとか、そんなノリなんじゃないかなー、なんて」
「……じゃあ、本当のボスはまだどこかに潜んでるかもしれないって訳?」
「ウン。だと思うよ?」
……まあ、有り得ない訳じゃないよな。
俺はとりあえず納得した。
すると――
「あのさ。ちょっとキミに聞いてみたいことがあるんだけど、いい?」
「ん?何だい?」
「今まで、キミは……その、色んな女の人と、エッチして来たんだよね?」
「……まあね」
今更嘘を言っても仕方がないだろうし、俺はとりあえずそう答えた。
「例えばもし、その中にキミのことが本当に好きな女の子が現れたりとか、反対にキミが本当に好きになった人が出来ちゃったら……キミはそれでも、現実に帰るの?ここでずっと一緒に暮らしたいとか、思わない?」
「……………」
確かにそれも一つの幸せだろう。俺も何度も誘惑に囚われそうになったことはある。
だが――
「俺は現実に戻りたいと思ってる。けど、これからもそうであるのか正直自信ない。けど少なくとも今は――現実を戻る為に頑張ろうと思ってる。それだけだよ」
「……そっか」
ジョルジュはそう言った。そんなことを思ったのかは分からないけど、ほんの少しだけ声が嬉しそうだった様に聞こえた気がした。
気のせいだと思うけど。
しばらくして、交代に見張りをしながら寝ることになった。
最初は俺が見張ると言ったのだが、ジョルジュが昼間のお詫びをしたいと前半の見張りをすると言い出したのだ。
まあ、そこまで言われては仕方がないと、毛布に包まって眠ろうとしていたのだが、一つ大きな問題があった。
……寒いのだ。
落ち葉を敷き詰めて、焚火を付けて毛布に包まっていても結構冷える。
「ないと・めあ」の奴、わざとやっているのか。女の子モンスターも出さずに永遠と山道歩かせて……疲れさせた所を狙うつもりなのか。
何にしても、ジョルジュと会えたのはラッキーだったな。
今までは個人での戦いだったが、これからはジョルジュと協力して戦うことが出来る。
……いや、待てよ。
考えてみれば、この戦いにジョルジュってあまり向いているって感じもしないし、反対に足手まといになる可能性もある。
でもま、仲間ができたっていうのは案外心強いもんだ。
これからはもっと頑張らないと……
……
……Z……
……Z…ZZ……
………ZZZ………
…………………………
――ぎゅっ。
(んっ……?)
ふわっとした甘いフルーツの様な香りがしたと思ったら、急に暖かくなった。人肌の様な温もりが伝わり、まるで誰かに抱き締められている様な感触が伝わってくる。
……暖かい。
とても暖かくて、気持ち良い。
(ああ。いいな……こういうの……)
まるで包み込まれている様な快感が疲れた俺の体を癒していく。感じる温かさが俺の心と体を癒し、蕩けさせていく様な錯覚を感じてしまう。気持ちよくて、このままずっと眠ってしまいそうだ。
――クスクス。
耳元に聞こえてくる、女の子の忍び笑い。
俺がはじめて違和を感じた直後だった。
ちゅっ。
「――ッ!?」
唇に触れる柔らかい感触。
俺は目を見開いた。
そこには、俺の唇と自分の唇を重ねる女の子の姿があった。
「んっ……んんっ……」
少女はまるで最愛の恋人にキスしている様に顔を赤らめ、俺の口にゆっくりと舌を進入させてきた。彼女は切なそうに喉を鳴らし、俺の舌にちゅっちゅと誘い掛けてくる。甘い唾液と柔らかい舌の感触が蜜液の様にゆっくりと溶け込んでくる。
(ああ…いい……………………………………………………………………――ってッ!)
俺はようやく我に返り、少女の両肩を握って押し離した。少女は体重が軽く、俺の手の力だけでもほんの少し間が出来る。
少女は最初驚いた顔をしていたが、すぐにクスリと妖艶な笑みを浮かべて、ぷるるんとした唇を「ちろっ」と舌なめずりした。
可愛らしい童顔に、ゾクッとする程の女の色香が漂っている。
「……えへへっ、ゴメンね。キミの寝顔が可愛いもんだからついキスしちゃった」
悪びれた様子もなく、舌を出して謝る少女。この娘がこのステージのボスかッ!?
……ジョルジュはッ!?アイツは見張りをしていたはずッ!?
アイツは大丈夫なのかッ!?
「――おい、俺の仲間はッ!?ジョルジュはどうしたッ!?」
少女は最初キョトンとしていたが、すぐに笑みを浮かべた。
今までの妖艶な笑みではなく、親しげな笑み――
「まだ気付かないかな?ボクだよ、ボク」
えっ……?
俺はふと違和を感じ、少女を見た。
銀髪のショートカット。目のクリクリっとした可愛らしい童顔に、身に付けているのは男物のYシャツ――
「――ジョ、ジョルジュ……ッ!?お、お前……ジョルジュかッ!?」
「当ったり〜〜♪やっと気付いてくれたね♪」
ジョルジュはにっこりと笑った。
「お、お前……何やってるんだよッ!?」
「いやぁ。寒いからくっついて眠った方が暖かいかなって」
「だ、だからって何すんだッ!お、俺にそんな趣味はないぞ!」
「どんな趣味?」
「だ、だから、そんな、男同士のアブノーマルな関係に――」
「ボク、男じゃないよ」
「え……?」
ジョルジュはそう言うと、Yシャツのボタンを上から順に外していった。中の白い瑞々しい肌が明らかとなり、胸には何重にもサラシが巻かれている。
彼女はサラサラサラと、胸に巻いてあったサラシを解いていく。
俺は呆然と、見つめていた。
今まで隠されて来た巨乳が明かとなり、柔らかなおっぱいが俺の体に密着してきた。俺には不思議で堪らなかった。サラシを巻いた程度で、どうしてこれが隠せたのだろう。
「さらし。ずっとキツかったんだよね」
ぺロッと舌を出して、ジョルジュが言う。
見れば確実に、男性にはない程のボリュームがある。
つまり――
女?
「それじゃあ……この階の敵って……」
「そ。ボ・ク・だ・よ♪」
……………
……………
……………って何ッ!?
「ちょっと待てッ!じゃあ、何でお前「OL」に……ッ!?」
「あれは前からレズプレイしようって迫られててさ。ボク、ノーマルだし」
「なら何で今まで無駄に歩かせたりしたんだよッ!すぐ戦おうとすればすぐ出来たじゃねえかッ!」
「えへへっ。ごめんね〜♪だってキミと一緒にいる時間が楽しいんだもん。あ。それに悪気はないんだよ?キミが何か盛上がっちゃったもんだからつい言い出せなくって」
うっ……まあ、確かに舞い上がっていたと言えば、舞い上がっていたかもしれない。
ジョルジュはクスクス笑っていた。
「でも、助けてくれた時、ホントに恰好良かったよ?……まるで本当の騎士みたいだったし。ま、必殺技がおっぱいを触る技なのが微妙だったけどね。……でも、恰好良かった」
「あ、あのなぁ……」
俺が文句の一つでも言おうとすると――
「ねえ」
ジョルジュは優しく抱き着いてきた。
細い腕が俺の首に回され、彼女の豊満なおっぱいが自分の胸に押し付けられる。フルーツの様な芳香と、柔らかい双乳の感触が伝わってくる。
突然の抱き着かれて、頭が真白になってしまった。
ジョルジュは耳元で、囁き始める。
「……………ずっと、ここにいて。ボクとずっとここで暮らそ?ボク、いっぱいサービスするし、ずっと側にいるからさ。ねっ?」
「……えっ、い、いやそれは……」
「お願い」
ジョルジュは真摯に語り掛けてくる。
今までにない位に真剣な言葉だった。
そして――
「ボク……キミのこと、好きになったみたいなんだ……」
「……えっ?」
俺が聞き返すと、ジョルジュは小さく語り始めた。
「少しの間だけど……ボク、キミといて、楽しかった。楽しかったんだ……だからボク、キミともっと一緒にいたい。……キミともっともっと一緒にいたいんだ……」
どこか甘酸っぱい感情が、俺の心に染み込んでくる。
何とはなしに心が温かくて、締め付けられる。
ジョルジュは顔をあげて、大きな瞳が潤せて言った。
「お願い……キミのこと、一人占めにさせて……」
ジョルジュは、ゆっくりと俺の唇にくちづけてきた。
テクニック自体大したことはないが、瑞々しさを全開にして繰り出される彼女のキスは、俺を少しずつ蕩けさせていく。このまま、されるがままに受け入れていいのかもしれない……そんな考えが頭を掠める。
――って、ダメだダメだッ!ぼんやりしている場合じゃない。セックスバトルはもう始まってるんだ!
俺はジョルジュの胸を横から揉み始めた。
「あ……ッ」
ジョルジュが悩ましげな声をあげ、上体をあげた。俺はチャンスとばかりに両手でふくよかな両胸を同時に揉みしだき、中央の突起を人差し指で弄ぶ。
「あん……いい。いいよぉ……」
柔らかいマシュマロの様な美巨乳は俺の手を優しく迎え入れ、いつまでも揉んでいたいという願望に駆られてしまう。
「もっと、もっと揉んでぇ……」
かなり効いている様だ。俺のもみしだく力もどんどん大きくなっていく。俺はどんどん、どんどんおっぱいを揉むことに集中していった。
だがジョルジュの精力値は半端ではなかった。
防御力は大したことなくても、精力がある為にいくた経っても絶頂に達してくれない。それでも揉みし抱くことでいつか決着する。そう思っていた。
しかし――
「……………ッ」
先に俺の手の方が疲労してきた。手を伸ばしている状態であることと、何度揉んでも弾力を失わず、それどころかより一層俺を誘惑してくる禁断の果実を前に俺の手は徐々に握力を失っていく。
――クス……
ジョルジュは妖艶に微笑み、後ろに身を引いた。直後、彼女俺の上でくるりと体を反転させ、彼女の丸いお尻が目の前に置かれた。
おっぱいを求めて前に出した俺の両手は、彼女のふとももと細い足によって抑え付けられ、地に張り付けられる。揉みしだきで疲労していた俺の両手は完全に力負けしてしまったのだ。
可愛らしい桃が俺の目の前で誘い掛けるようにぷりぷりっと揺れる。しっとりとにじんだオンナが俺の目の前に迫り、俺の顔は彼女に覆い隠される。
ジョルジュはすでに俺の毛布を取って――俺のパンツまで降ろしていた。俺のオトコはすでに直立不動の体勢を取っている。
ジョルジュが俺のオトコにそっと触れた。
「あはっ。堅ぁい。熱ぅい。待ってて、今気持ち良くするからね」
ジョルジュのしなやかな手が、俺のオトコに触れてきた。やわり、やわりと、ゆっくり優しく擦ってくる。
更に目の前から濃厚なオンナの香りが俺の鼻を刺激し、女のフェロモンが体を熱くする。俺の若いオトコはすぐにいきり立った。
「うふふっ。こんなに腫らしちゃって……可愛い」
ジョルジュは弾む様に告げると、ペロリと俺のオトコを舐めてきた。二回、三回とペロリペロリとまるでソフトクリームを少しずつ食べる様に優しく刺激を与え、小動物を愛撫する様に優しく擦ってくる。
「あ。透明なのが出て来たぁ……全部吸い取ってあげるねえ……」
「ぅあ……」
ジョルジュが俺のオトコを深く咥え込んだ。ねっとりとした舌の愛撫が、俺自身を蕩けさせていく。時折、早く出してと言わんばかりに、ちゅうちゅうと吸い付いてくる。愛撫は激しさを増し、まるでディープキスをするかのごとく、俺の股間に舌を絡ませ、嫌が上にも、射精感が高まってくる。
「気持ちいいでしょ?えへへっ」
甘い声を出しながら、指先で俺の股間をすーっと撫でて行った。それが余計にむず痒さと射精感を増幅させて行く。喜び、弾む声を上げながらジョルジュは言い、更に強く吸い付いてきた。今にも出そうになってくる。
「うふふっ、可愛い。いいよぉ。もっとぉ……可愛い声で鳴いて。いいんだよぉ、すぐ出しちゃって?……あ」
ジョルジュは何かに気付いた様にクスクスと笑い始めた。
「それともこっちがいいかな♪」
むにゅ。むにゅ。
「……あ……ああ……あああああッ!!」
柔らかいマシュマロの様な感触が俺のオトコをふんわりと包み込み、熱く勃起した俺に冷たい乳肉がねっとりと吸い付いてくる。いきり立った俺のオトコを、ジョルジュは巨乳の深い谷間に包み込んだのだ。すぐにでも射精しそうになるのを懸命に堪える。
「えへへっ。やっぱり、キミはおっぱいの方が気持ちいいんだぁ。もっともっとおっぱいでいじめてほしいんだね?」
ジョルジュはいたずらっぽい笑みを浮かべながら、たわわな果実をむにゅむにゅと揉み寄せてきた。乳肉の狭間で絶え間ない快楽が送り込まれてくる。
――気持ち良いなんてもんじゃない!
右から、左から、時には両方から。俺の心を蕩けさせていく。
「あはっ。やっぱり気持ち良いんだ。じゃ、もっともっと気持ち良くしてあげる〜〜♪」
「……や、やめろッ!……ううッ!」
おっぱいの締め付けが強くなった。
急激に高まる快楽のせいで、俺はすぐに爆発寸前まで追い込まれた。今まで高められて来た熱いものがオトコ自身に沸き上がってくる。
股間の神経が沸騰しそうだった。
「ほらほら。我慢しないで、ね?我慢すればするほど、もっともっとイジメちゃうぞ〜〜♪」
柔らかい双璧が、更なる甘美な拷問を加えてくる。まるで俺の体が蕩けて、彼女のオッパイの中に完全に包み込まれているかの様な温かさと、快楽を司る全ての神経を握られている様な強烈な快感が一斉に俺を射精へと導いていく。
「えへへっ。気持ちいいでしょ?もっともっと気持ち良くするから、全部忘れちゃお?ボクとずっと一緒にここで気持ちいいことしよ?ボクがずっと側にいるから。……ね?」
甘い甘い囁きが俺の思考に染み込んでくる。ゆっくりと暖かく、まるでまどろみに誘い込む睡魔の様に浸透していく。
――もういいんじゃないか?
彼女と――ジョルジュと一緒にずっと過ごして行くのもいいんじゃないか。
そんな囁きが聞こえた様な気がした。直後――
「ほぉら、ボクのおっぱいに、いっぱい出・し・て☆」
――ちゅっ。
最後の亀頭へのキスが、とどめとなった。
「あああああぁぁぁぁぁッ!」
ドビュウウゥゥッ!!ドクドクドク……ッ!!ドクンッ!
俺のオトコは全てを一気に放出した。
彼女の顔も、胸も白く染められる。
「……わああ……あっつぅい……」
体を起こして、振り返るジョルジュ。
「いっぱい、出たね。これでもう、ずっと一緒だよ。キミはもう、ボクだけのもの……」
彼女はぞくっとするような妖艶な笑みを浮かべている。
「じゃ、キミがこっち側の人になってくれた記念ってことで、本番行こうよッ!本番ッ!……えへへっ。一生、愛し合おうね。ここで、ずうっと……」
照れたように笑うジョルジュ。それは見慣れた少女の笑顔だ。
確かに現実への扉は閉じられた。けれど、これはこれで幸せなのかもしれない。この娘とずっと一緒にいられるのだから……
END