沈黙するサーヴァント三騎とつく絵(企業用語ギリギリセフセフ!ゼッタイ!ZETTAI!)で浮かれまわるサーヴァント一騎。
「ちっちゃくってかわいくってプリティでキュアキュアなロリッ子が断然だと思ったけど、意外とスレンダーなお姉さま系もいいものね〜♪」
♪ついてますよ。この稀代の神代の魔女、語尾に音符マークついちゃってますよ。ここ境内ですよ?ちなみに夜ですよ?真夜中も真夜中、草木も眠る丑三つ時。あれ?でも草木って眠るの?ほんとのとこ。
はあ、とため息をついて全身黒を貴重にしたゴシックロリータいわゆるゴスロリ、一部ではゴスロリッシュ!と言われるごてごてとした服を着た褐色の肌の少女が悩ましくため息をついた。魔女メディア、サーヴァント名キャスターの呪いにより少女に変えられてしまった元は男性サーヴァント。
はいここ常識問題としてテストに出ますよー。
「キャスター……君、夜更けに浮かれすぎなのは置いておくとしてだな……聖杯戦争はいいのか?」
「聖杯戦争? なあにそれ」
「忘れてる!!」
「わたしもう満ち足りていてよ? 傍には宗一郎様もいる。そして周りは一部を除いて美少女パラダイス! ねえ、この場合わたしに聖杯なんて必要あるかしら?」
「…………いや、それは君の個人の自由だ。私からは、何も」
よかったな、マスター。敵がひとり減ったぞ。
アーチャーは内心でつぶやいてため息をまたひとつ。さすが相手は腐っても“キャスター”、魔術に長けているせいかこの柳桐寺に連れてこられてからどうもマスターである遠坂凛と上手くパスが繋がらない。
なので今の幸福な報告も内心でひとりつぶやくにとどめることになったのである、まる。
「キャスターよお……探りに行ったときにはまさかてめえにこんな趣味があるとは思わなかったぜ」
女性にしては低めの声がつぶやく。
青い髪をひとくくりにし、イヤリングをつけたタイトなスーツ姿の女性がやや長めのスカートの中を気にすることなく足を組んでいる。ストッキングはぬかりなく網タイツだ。
キャスターもぬかしなくそれを見咎める。
「あら、いやだわランサーはしたない。淑女というのはね、そんな無粋な格好をしてもらっては困るの。でもこう……ギャップ萌え?」
(落ちたな魔女……!)
内心でアーチャー。だってこの面子で言ったとしても誰も聞かない。その耳は飾りか?サーヴァントは皆お耳が遠いのか?というくらい。
「……ランサー。仮の姿とは言え女性になったとして、その姿は私もどうかと思うよ。せめて足はそろえた方がいいと思うのだが」
「おーおー、かわいいこと言ってくれるねえアーチャーよ。オレの心配してくれんのか?」
「なんでさ!?」
「オレの貞操を気にしてくれてんだろよ。ま、おまえの貞操を散らすのはオレだけどな!」
「何が“ま”で“な!”なのかわからんわ、たわけが!」
「そうです!」
そこで凛とした声が響き渡った。三騎の視線が集まるには、アーチャーの対となるデザインで白を基調としたゴスロリッシュ姿の少女、名を最優のサーヴァント・セイバー。
しん、と境内は静まり返る。セイバーの気質からしてランサー、あなたは貞操だのと……説教が来ると思いきや。
「アーチャーの貞操を散らすのはわたしです!」
「なに言ってんのさセイバー!?」
「大丈夫ですアーチャー、わたしはそこの猛犬と違ってええ、騎士として優しく散らします!」
「ほうセイバーよ、言ってくれるじゃねえか。猛犬には猛犬の魅力ってもんがあることを知らねえな? ハ、見聞が狭いこって」
「なんだと―――――!? ……ランサー、そこまで言うのでしたら詳細を……」
「いいぜ? だがなセイバー、オレっぱかし言いっぱなしってこたぁねえだろ。おまえさんのやり方ってやつを……」
「わ―――――! わー、わー、わー、わー、わー!!」
アーチャーが普段の概念武装のごとく真っ赤になって叫びふたりの間に入って手を振り回す。両手をぶんぶんぶんぶん。
「アーチャー?」
「なにやってんだ、おまえ」
「それは私が君たちに言う言葉だ!!」
アーチャー、真っ赤。
「アーチャー?」
「それは二度目だセイバー!」
というか わかっていないのか。(ここ四倍角)
天然の王様はきょとんとしてさっきまでもむもむもっきゅもっきゅしていたご飯粒が口元についているのも気づかない模様。まあそれはいつものことなのだが。
で、いつものそれを取ってあげるのがアーチャーの役目なのだが今はそれどころではない。notセフセフ。yesアウアウ。
「なんだぁ? アーチャー」
タイトな青黒い衣装に身を包んだ美女がにやりと笑う。それはそう―――――あおいあくま。
あくまに種類はいりません!
「照れてんのか? なんだ、ほんっとおまえはかわいい奴だよなあ。あのときも……」
「な! ランサー、聞き捨てなりません! あのときとはなんですか!?」
「わーわーわーわーわー!!」
ジ―――――――――――――――。
回る回るデジタル音。
すったもんだの三騎が見てみれば、そこにはデジタルカメラを回す若奥様がいた。
「キャスター……?」
「あら、いいのよ? 続けて続けて! 邪魔なんてしたりしないから☆」
「しないから☆ではない! 続けるも何も、なにもっ……」
「アーチャー照れてやんの! かっわいーなーオイ!」
「な、ランサー卑怯ですっ! わたしだって、えい!」
「ランサー! セイバーも! ……っキャスター! いい加減に助けんかね!」
「え? どうして?」
どうして と来ましたよ。
「だってわたし可愛い女の子たちがくんずほぐれつしてるのを見るのが大好きだもの!」
「デジカメ持ったまま器用にサムズアップした! すげえ!」
「わたしが箸と茶碗を持ったままエクスカリバーを放つのと同レベルですね!」
「そうなのか!? ……あ、いや。……キャスター! 冗談を言っていないで助けっ……」
「だーめ。だって、そうやって小さい親友な感じのセイバーと大きなお姉さまのランサーに挟まれてるあなたって、すごくそそるのよ。もう見てるだけでワクワクしちゃうわ! あとわたしには宗一郎様がいるから見ているだけで満足だし」
「ピーピング・メディア―――――!!」
もう真名の隠匿とか関係ない。
セイバーとランサーにもみくちゃにされつつジー……と幸せいっぱい夢いっぱいなキャスターにデジカメで撮影されるアーチャーの姿がそこにはあったのだった。
「やれやれ、今夜もまた騒がしいものよ」
―――――まさかの侍オチ。
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