無限の。
いや、それはさすがに。
「アーチャーお腹がすきました!」
「今用意する!」
ギルガメッシュ手伝え、と言えば開くはゲート・オブ・バビロン。
溢れる食材。
光る包丁。
セイバーの笑顔は輝かんばかり。
――――戦争が始まった。
とは言ってもセイバーの胃袋には果てがない。
食べても食べても食べても食べても。
どこまで言っても尽きることなく。食べて食べて食べて食べ続ける。だからアーチャーは作って作って作り続けて、ギルガメッシュは出して出して出し続けて。
終わりがない。
果てが、ない。
どこまでもどこまでもどこまでも。
続くのは連綿と。
もぐもぐぱくぱくこくこく。
「美味しいですアーチャー!」
「それは嬉しいなセイバー!」
「食材を提供しているのは我なのだが」
ある意味セイバーとアーチャーふたりの世界である。ギルガメッシュ置いてけぼり。
「次は何ですか? 和食ですか? 洋食? それとも中華?」
「君の思うがままに、セイバー」
「アーチャーの作る料理ならば何でも美味しいです!」
「セイバー……」
うるっ、としてしまうアーチャーだった。
乙女系サーヴァント。
「我もいるぞ?」
ギルガメッシュ置いてけぼり。
「デザートにはあなたを頂きたい。アーチャー」
「えっ……?」
「おい待てそこのふたり」
ふたりの世界。
手をぎゅっと握ってアーチャーの目を見つめたセイバーは、芳しく漂う次の料理の匂いにぴん!とアホ毛を逆立てて。
「美味しい匂いがします!」
「あ、ああ。次の料理だよ」
「すぐさま食べなければ! 鮮度が落ちてしまいます!」
「あ、ああ。うん」
料理>>>>>アーチャー?
ちょっと硝子の心にひびが入ったアーチャーだった。
「ふふ、美味しそう。頂きます!」
「……はい、めしあが」
「ご馳走様でした!」
「早い!?」
「さすが我の見初めた女よ!」
執着をより強めたギルガメッシュであった。
胸がドキドキ。
「セイバー。そろそろ終わりにしないかね?」
「何を言っているのですかアーチャー。わたしの胃はまだまだ満足していませんよ?」
「どういう容量をしているのかね……」
「無限の」
「だから止めてくれたまえ」
ノット名言レイプ。
それにしたってセイバーはよく食べる。もぐもぐぱくぱくこくこく。うんうんと頷きながら食べていき、あっという間に皿の上は空っぽ。
作った方、アーチャーとしては嬉しいのだが、一体どこまで食べるのだろうという思いはある。
破裂しないのか。胃。
「美味しいですアーチャー!」
「あ、うん。うん、良かった」
嬉しいけれど。
気に、なる。
「我もいるのだが」
ギルガメッシュのつぶやきがぽつん、と響いた。
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