※この主人公の名前は真壁海之(まかべみゆき)と言いますが小話を読む際に全く知識としては必要ありません。あしからず。
※あと台詞などは全く整合しておりません。その場のノリとウロ覚えの萌えで構成された小話です。勢いのまま読みきってください。

■ファーストコンタクト
「覚えていないのか? 私は君が呼んだサーヴァントでクラス名をアーチャーと……」
なにいってるんだろうこの褐色オールバックは。
エロい。とにかくけしからん。ムラムラする。なんか疼く。いろいろ疼く。右目とか。静まれ俺の邪気眼。
「マスター……」
なんか。
マスターとか。
エロい。
とりあえず話を聞いてみたけれど、さっぱり訳がわからない。そもそもどうして俺はこんなところにいるんだろう。
普通の生活をして。
普通に生きて。
普通に暮らしていく、ただそれだけの。
自分は、ただそれだけの器だったはずなのに。
「私のことを……本当に覚えていないのか?」
その不安そうな声を聞いて、不意に一気に背筋に駆け抜けるものを覚えた。
なんだ。なんだこの鼓動は。胸の高鳴りは。どうして。どうしてこんなに。
どうして、彼を見ていると。
「アーチャー……」
「! マスター、私を思い出して……」
「とりあえずその雄っぱいはけしからん。腹筋もいい。すなわちいいぞもっとやれ」
「チェンジで」

■例のショタ
なんか目の前でハレンチな尼さんと、彼女に吊り合わないちびっこ、いわゆるショタが何か話している。
彼らは俺とアーチャーと同じくマスターとサーヴァントという関係、ウィザードと使い魔という奴だ。
「この女の尻はでかいからな」
おい。
このショタいまなんかとんでもないことをさらりと言いやがりましたよ?
「そこのおまえ。おまえのサーヴァントも尻がでかいな。何だ? 男のくせに尻がでかくて何の得になる。セックスアピールのつもりか? くだらん。俺は生憎と童話専門だ。もう少し若返ってから清らかなつるぺたボディになって出直してこい」
「アンデルセン!」

「っ……」
アーチャーが息を呑む。当然だ、こんな暴言!
許せるわけがない、早く、ただちに、素早く、迅速に、このショタに現実を突きつけてやらなければ!
「おいおまえ!」
「何だ? 小僧の分際で俺に意見するつもりか?」
「アーチャーは尻だけじゃない! 雄っぱいもでかい!」
「チェンジ……出来ないかな……」

■再生怪人
そんなわけで、出たのである。
何がって再生怪人だ。バトルもの、特に戦隊ものにはもってこいの敵である。ただしこの作品はRPGです。残念無念また来世!
ってもうこの怪人は来世を体験中なうなのだった。
「アーチャー……貴様!」
アーチャー……この再生怪人も俺のアーチャーと同じクラスか。
それにしたって色男である。なんていうかこう、たらし的な。女の子泣かせてます系な。せんせーい、アーチャーくんが女の子泣かしてまーす。みたいな。
でもそれもこの顔で許されてきたんだろう。そういう顔をしている。このたらしめ。
「……何だね」
まんまとなし崩しに記憶のない俺をたらし込んだえっちでかわいいサーヴァントの顔を見上げてみた。ちょっと戸惑った顔がかわいかった。くそ。
あれ?
なんで相手、仲間と仲違いしてんの?
あれ?
なんで相手、仲間の尻を叩くとか、ちょ。
待っ。
「このスケベ男!」
「はぁ!?」
「正直イライラするとかいう言い訳はいい! 本当はムラムラしてやったんだろう!? 知ってる!」
「なに、こいつ。頭沸いてんの? 馬鹿なの死ぬの?」
「うん。ごめん。何だか本当に済まない」
「はぁ。あんたも相変わらず苦労してんだね」

■エーテルの大塊
買いましたよ。
「……何だね」
このためにサクラメントを溜めて溜めて買いました。
そりゃもうたっぷりと。
「だからその目は」
あんまりにもサクラメント溜まらないものだから妥協していけない粉末にしようと思ったんだけど我慢しました。
だって男には夢がある。
「マスター」
そう。
限りなく広い広い、大海のような夢が。
「はい、アーチャーお口開けて」
「そのアイテムはそのようなことに使うものでは……こら! 人が口を開けた隙に押し込もうとするな! ん……っ……そんな大きなの……入らな……っ」
「はいはいREC完了REC完了。怖くないからねー、甘くて美味しいエーテルだからね、ちょっと大きいけど我慢してお口の中で溶かしてねー」
「入らないと言って、こら!」
アイテムは投げるものだとか一切聞かない。

■BBちゃん
「あのさぁ」
「何だね」
「BBがさぁ。待っていればハッピーエンドが落ちてくるって言ってたじゃん」
「それがどうかしたのかね」
「俺、今、割と人生のハッピーエンド迎えた気分です」
「……まだまだ君の人生はわ、私と続いていくのだ、勝手に終わってもらっては困る……!」
はいはい、ツンデレに見せかけたデレデレ乙。ってBBちゃんがゆってた。

■新衣装
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「あのさぁ」
「何だね」
「俺さ、ネタのつもりで買ったんだ、この眼鏡。ほら鬼畜眼鏡ってあるじゃん」
「記憶喪失の割にくだらんネタだけは覚えているのだな……で?」
「そしたらまさかのアーチャー新衣装で眼鏡。しかも髪下ろし。しかもVネックで胸元チラ見せ。しかも二の腕露出。もうどこまで属性盛れば気が済むの? 俺を萌え殺したいの?」
「そんなつもりは」
「先生」
「は?」
「なんか、隣の大学生のお兄さんって感じ。それで家庭教師とかしてくれるの。俺の部屋に来て」
「はいはい……その遊びに付き合えばいいのだな? 君は全く……」
「先生」
「何だね海之くん」
「ノリノリだ」
「与えられた仕事はきちんとこなす性質でね」
「成績上がったらご褒美くれますか?」
「ふむ……そうだな。モチベーションアップのために褒美を用意する、といった行為は決して無駄ではないだろう。しかし高いものなどは買ってやれないぞ?」
「先生が欲しいです」
「!?」

■ふーふープレイ
「アーチャー」
「何だね」
「アレやって、アレ」
「? アレ、とは?」
「ほらBBの。“はい、ふーです☆”っていうやつ」
「なっ……わ、私があんなものをやると!?」
「この前与えられた仕事はきちんとこなす性質って言った」
「こ、こんなの仕事じゃ」
「言った」
「く、っ…………。“は、はい、ふー……、です……”…………こ、これでいいかね!?」
「アーチャーの生吐息いただきました!」
はいはい、いい加減センパイたちの頭の上にハッピーエンドじゃなくてメテオ落としたいです。ってBBちゃんがゆってた。

■無垢それはピュア
俺は、一度死にかけた。
地の底を虫けらみたいに這いずり回った。BBに笑われながら。馬鹿って言われながら。本当の虫けらみたいですねって罵られながら。嘲笑われながら。踏みにじられながら。とことんまで、徹底的に、ずたずたに、ぐちゃぐちゃの、なれのはてに、俺だったものになりかけて、リアルに虫みたいになってああこのまま死ぬのかなって思いながらもそれでも地の底を這いずり回って、やがてある場所に辿りついて。
そこでユリウスに助けてもらって。
この空間に転送されて。
出会ったのが、俺を知らないアーチャーだった。
「え……」
え?
アーチャーが、俺を、
知らないって。
言った。
なんで。
どうして。
痛い。
ごめん。
辛い思いさせた。
わかった。
今わかった。
痛いのは俺じゃなくておまえだった。
アーチャー、おまえだった。
きっと泣きたかっただろうな。
だって俺がそうだもん。
アーチャー、って叫んで目の前の体に縋り付きたいもん。
現実を否定したくてたまらない。
俺をアーチャーが知らないっていう、無理ゲーみたいな、詰んだその状態から、抜け出したくてたまらない。
だけどアーチャーは言ってくれた。
俺に。
知らない俺に、付き合ってくれるって。
物好きだなって言うみたいな顔になって。
ちょっと苦笑して。
ああ、それは、前に見た笑い顔だなって。
少しだけ感傷的になって。
すぐにその思いを振り払った。
目指すはあのレリーフだ。
全てがそこにある。何もかもが。確証はないけどそうなんだ。そうに決まってる。俺が決めた。
だから。
――――通路を並んで歩く。ふたりぶんの足音がやけに寂しくだだっ広くて狭い空間に響く。
「あのさぁ」
「何だね」
「ここアーチャーの心象世界だろ? 俺つまりアーチャーの中に入ったってことだよな? アーチャーの中に! 俺は! 俺は!」
「今すぐその首たたっ切る」

■デレ期ktkr
「アーチャーぁ」
「何かねマスター」
「呼んでみただけー」
「何だ……全く人騒がせなマスターだ」
「あ、口元緩んでる。笑ってる? アーチャー笑ってる?」
「どうして私が笑わなければ……こら、やめろ。くすぐったい」
「アーチャーが素直に笑わないから!」
「やれやれもう降参だ、私の……オレの完全敗北だよ。だから許してくれマスター」
「じゃあ何でも言うことひとつ聞きなさい!」
「何ッスかアレリア充ッスか何であの人ばっか勝ち組なんスかていうかなんでアタシを殺さなかったのいっそ死ぬ自分で死ぬ迷宮入って死ぬ独りでそのまま朽ち果てて孤独死する!」
「ジナコ、落ち着きなさい。わたしも今あのバカップルを銃殺したい欲望を必死で抑えてるんだから」
「ジナコ。オレがいる限りおまえは孤独死しない。何しろおまえの傍にはいつもオレがいる」
「カルナさんマジうぜーッス!」

■お掃除しましょう
アーチャーは。
あの一件以来デレてから、言動が目に見えて変わった。
戦闘時の台詞とかも変わってしまった。
例えばだ。
「さて、どう掃除しようかマスター?」
「そうだな……俺たちの部屋みたいにお掃除して☆」
「い、いきなり何を言い出すのだねマスター!?」
「だってSG見たもん。誰かさんのためにマイルームの掃除するのが好きなんでしょ? あとはねー、スリーサイズと」
「やめろやめろやめろやーめーろー!」
こんな風に。

■マスター停止衝動
「もうマスターやめる!」
アーチャーはまたか、という顔をした。でも負けない。俺は我を張り通す。いつでもそうやって生きてきた。
だからすかさずアーチャーの背後に回る。そしておもむろに胸を掴んだ。
雄っぱい鷲掴みにした。
「俺もうマスターなんてやめてアーチャーのブラになる! アリーナ探索なんてもうたくさんだ!」
「マスター」
「何だよ!?」
「一般的にブラジャーは人の胸を揉まない」
「いいんだよ! 今の俺は画期的ブラなんだから! アーチャーの雄っぱいを揉んでもっともっと大きくするんだ! 目指せリップ越え!」
揉みしだく。揉み揉みと揉みしだく。今の俺は画期的ブラだ。人間の尊厳なんて捨てた。俺はブラになる。ブラになるんだ。
だってアーチャー天使だもん。天使のブラってあるだろ!?あれだよ!
「困ったマスターだ……」
『なにあれこわい』
『ああいうのにちかよっちゃいけないのよ』
「あいつの発作がまた出たわね……近頃ひどいわ」
「こうなったら落ち着くのを待つしかありません。ゆっくりモニタしましょうミス遠坂」
「あ、じゃあ、わたしコーヒー煎れますね!」
ちなみにアリーナ探索中なので当然アリーナ内での行為であった。エネミーが見てる?見せ付けてやれ。


ありがとうございました。



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