※この主人公の名前は男主は真壁海之(まかべみゆき)、女主は真壁七海(まかべななみ)と言いますが小話を読む際に全く知識としては必要ありません。
 あしからず。
※あと台詞などは全く整合しておりません。その場のノリとウロ覚えの萌えで構成された小話です。勢いのまま読みきってください。

■あなたのために
「これ……作ってみたんだ……じゃなくて、作ってみたの、アーチャー」
「君が?」
差し出したのは可愛らしいクマの模様のハンカチに包まれたおそらくは弁当箱。
「桜には負けるけどね」
てへへっと笑って言うわたしに、アーチャーは何か感慨深い顔をして。
「ああ……ありがとう。大切に取ってお」
「いや、食べてよ」
思わず突っ込んだ。真顔で突っ込んだ。いや、食べてよ。
でないとわたしの計画が台無しだ。
「エリザには勝てるはず!」
ぐぐっと握りこぶしを握ったわたしに、アーチャーは「さすがにアレを上回るブツはなかなか作れないだろう」とため息をついてから。
「……食べても?」
「モチ!」
ぐっと突き出した親指にちょっとアーチャーは後に引いて、それでも包みを、箱を開けてくれた。

「……ええと、マスター?」
「うん、なあに?」
「私も英霊だ。薬の匂いくらいすぐにわかるぞ」
「えっ嘘っ!」
桜に調合してもらったのに!即効で効く媚薬!
「――――残念だが、これは……って、マスター!? 何故私の体をホールドする!? マスター!?」
「食べて! いいからアーチャー食べて! わたしからのお願いっ!」
「言葉だけ可愛くても中味が可愛くなければそれはただの、むぐっ!」

■メロン峠
「…………」
「……マスター。マスター?」
「…………」
「マスター?」
「スイカ峠!!」
「なにがさ」

■エロ尼
「…………」
「……マスター?」
「……大丈夫! アーチャーの方が断然勝ってる!」
「何だかよくわからないが、負けておきたい勝負だったな……」

■鑑定してやる
「こ……この、エロショタ!」
「マスター!?」
「だってこいつ! 俺でもまだ暴いていない箇所を! 聖域を! サンクチュアリをあいたぁっ!?」
「少し黙りたまえ、君」

■いじめっこ
「…………」
「…………」
「…………」
「いえーいジナコさんどう? 今の気分どう? どんな感じ? ねえどんな感じ? ちなみに俺はサヴァ充してて超イイ感じ!」
「……君、少し黙れ。」

■オカン
「せめてナニーと言ってくれたまえ!」
「あ、そこなんだ? こだわり」
「オカンなどと……性別の壁を」
「でもナニーだって女性だろ?」
「ナニーはいいんだ」
(やだなにこのめんどくさいサーヴァント……わかってたけど好き!)

■ハローッ、
「ワ――――ック!!」
「ぶほっ」
噴いた。
盛大に噴いた。何この子おばかわいい!なのにきっちりドア破壊してるし何なのこの子!?最終兵器サーヴァント!?
「あのな、マスター」
「ん?」
「いくら私が現時点で筋力最低だとしてもれっきとしたサーヴァントだ。この程度の立てこもりなど容易に突破出来る――――出来――――」
「アーチャー?」
「そうか……最低……だったな……私は……」
「だ、大丈夫大丈夫! レベル上げたら上がっていくから!」
「慰めはいらないよ……そうか……最低……ふふ……」
「アーチャー……!」
「アンタら人の部屋の前で何ふたりの世界作ってるんスか。BLッスか。BLなんスか」
「不味い。ジナコの腐女子スイッチが入ったぞ」

■おにいちゃん
「おにいちゃん」
「!?」
「アーチャーおにいちゃん」
「何を血迷ったマスター!?」
「いやさ。ジナコ説得する時にあんまりにもいい反応するもんだから。アーチャーならどうかなって」
「わ、私は……そんなもの、別に……っ」
「アーチャーは俺が守る!」
「!」
びくん。
アーチャーの体が震え、顔がみるみる内に真っ赤になっていき。
「た……たわけ! 私は君のサーヴァントだ! それが守られてどうする!」
「でも、俺はアーチャーを守りたくて……」
「私に……君を守らせない、つもりか……」
「アーチャー……!」
「やるんなら外でやってくれないスかね、外で」

■無垢心理領域
「ああ……よかっ……ではない! 何をしているんだ、おまえは……っ!」
ほろほろと。
体中が解けていく。
それでもよかった。だって、覚えてる。
きっと、覚えてくれている。この“アーチャー”は。
だから。
腕を伸ばして、苦笑めいて笑う。
そうしたら、彼は驚いたように目をしばたたかせ。
一瞬だけ泣きそうな、顔をした。

■プラナリア
「海之です」
「七海です」
――――どうしてこうなった。
頭を抱えるアーチャーの服の裾を、それぞれ引く手がある。
「ええい! 非常識な状態なんだ、対応する時間をくれ!」
「それについては俺たちから説明させてもらおう」
「わたしからも説明させてもらおう」
学ランとセーラー服の少年少女がずいっと前に出て。
「俺たち、アーチャーが好きで好きでたまらなくてさ」
「でも、アーチャーはひとりしかいないのに、わたしたちはシステム上で男女のふたりだ」
「だから」
「……だから?」
嫌な予感がする、と思ったアーチャーに、
「だから分裂して、ふたりで可愛がろうかなって」
「最低だ!」
「ちなみにちゃんと生やしてます」
「そんなことは聞いてな……こら! 仕舞いなさい!」
スカートの裾をぺろりとして聖剣(比喩)を見せる少女にアーチャーは真っ赤になって絶叫した。
「俺は元々生えてたぜ!」
「誇らしげに言うな!」
聞いていないし!と叫ぶアーチャーの明日はどっちだ。


ありがとうございました。



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