もしかして。
「おまえ、オレのこと好きなのかよ?」
「えっ」
かああああ。
「……えっ?」
笑顔が固まる。
冗談のつもりで放った軽球はどうやらアーチャーの泣き所を直撃したらしい。
赤面して常軌を逸脱して上気して、もじもじとしながらアーチャーは視線を伏せた。
「あ、あの」
「お、おう」
「……その、笑わないでくれよ?」
「笑うかよ、」
「え、っと」
「う、ん」
どきどきどきどき。
「あ、ああ、」
「あ?」
「照れるな、」
「――――」
ええー。
思わず真顔になってしまうランサー。
ここでか。ここで、照れか。照れでデレなのか。卑怯すぎる。
「あの、それがな?」
「う、うん!」
「……済まない」
「え?」
「済まない。君が好きだよ」
「うっ……」
どういう。
どういう攻撃なのか。どれだけ殺せば気が済むのか。男心を。
どれだけ抉れば気が済むんだ……。
「……いてえ」
「は?」
「心臓痛てえ……」
「え!?」
慌ててアーチャーがランサーに寄り添い、肩を抱く。
えっ、オレが肩抱かれるの?
また真顔になりかけたランサーの肩をぽんぽんと叩き、アーチャーが言うには。
「その、もし君が死んでしまったら困ってしまうだろう?」
「え? 何が? 何で? 死ぬのオレ?」
「だって、せっかく、君に……」
好きだ、と言えたのに。
「…………」
「ランサー?」
「やめて……」
「……、迷惑、だったか?」
「違う。超嬉しい。けど、照れる……」
マジ恥ずい。
白い顔を赤くして、くるりと手で覆ってしまったランサーに、アーチャーがきょとんと目を丸くして首を傾げる。
「……ランサー」
「あ?」
「好きだよ?」
「あぁ、うん、だから、」
「なあ、好きだよ?」
「えー……わーったから、もういいから……!」
「もういいのか?」
「いい、いい、照れるし……!」
「なあ、好きだ」
「なーっ!」
裏返った絶叫を上げて、ランサーは頭をぶんぶんと振る。
耳まで真っ赤になった彼を、くすくすと笑うアーチャーだった。
「えぇと……君、可愛いな?」
「るせぇ性悪! あーもー好きです!」
「私も、好きだよ」
にっこりと、頬を染めて微笑むアーチャーであった。



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