■たべちゃった
「フライドチキンの骨ってね、いいダシがとれるんだって」
「へー、そうなんだー」
楽しいまめちしきー。
ぼくもやってみようかな、と思うルナ。
「ただいまー」
「おかえり」
本読みながらゴロゴロしてるユイ。
「えとねえとね、フライドチキン買って来ちゃった、食べる?」
「食べる」
ちょうど腹減ったな、でもめんどくさいなー、と思ってたトコロなので、ありがたくいただく。
急いで帰って来てくれたのか、まだ出来たてと言えるレベルだった。
しばらく食べてから、ちょっと思う。
このコロモっていうか皮? がおいしいんだけど、手がベタベタするのは何とかならんものかなとか。
もし、もっとカンタンに、ゴミ箱とテッシュを側に置かずに食えるなら、あのヒゲのおっさんを寝る前に拝んでもいいかもしれない。
ファーストフードって書いてあるけど、正直、外では食べ辛い。
とか、ちまちま食べながらアレコレ考える。
ちまちま、ちまちまちまちまちまちまちまちまちま。
「やっぱり邪魔くさいな……」
ちまちまちまちまちまちま、ちまちま。
「あー、もー」
「ねえねえ」
「なに?」
「全部食べられなかったら、置いといてもいいよー」
明日食べてもいいしー、とか言いながらルナは部屋を移動した。
「もう無いよ」
「えー、アレ全部食べちゃったの? もしかして、今日帰ってから何にも食べてないの?」
「あー……何か面倒でなー、本でも読んでたら気が紛れるかなと思って」
「そうなんだー」
しょうがないなあ、もう、と思うけど、そんなダメなトコも好きだからまあいいいや、とも思う。
でも、お店のお姉さん、こんな人が一人で食べちゃったなんて知ったら、きっとびっくりしちゃうだろうな、と、ルナはちょっぴりおかしくて笑ってしまった。
「それじゃ、もう片付けちゃっていい?」
「あーいいよ俺やるから」
「いいのいいのー実はねー」
──ねー……、
「あー……」
「なに?」
「たべちゃったの?」
「だからさっき食ったって言っただろ」
ナニ言ってんだオマエ、と不思議そうなユイ。
「えとね、そうじゃなくてー……」
「???」
「あー……」
たべちゃったんだー……。
そうだー、この人そういうイキモノだったんだ、と、何のカケラも残ってない赤い空箱をみて、ルナは思った。
(1stup→071214fri)
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