■別腹だから

「あー……」
 チョット最近積みゲーが増え気味? と、届いた宅配の箱を開けつつ思うユイ。
 でも、買っておかないと後悔するかもしれないし。
 余程の売れ行きでないと、再販なんてまずない。
「あ〜」
 もう、と、ちょっと非難のまなざしを向けるルナ。
「またダメなコレクション増やしてるー」
 でも、お姫様は可愛いかな、とパッケージを見る。
 スリムなのに、出るトコロは出ているという、都合のいいバディの女の子。
 髪が長くて、かわいそうな目で、こっちを見ている。
 萌え? っていうカンジかも。
 確か、お姫様が出てるゲームは、姫ゲーという。
 まあつまりはその、姫様に狼藉をハタラいちゃったりするのがメインな内容。だと思う。
 多分、コレも、ソッチの箱もそんなの。
 積んである前に買った箱も、そういうダメなゲームが多い。
 箱を裏返すと、何かソレっぽいオハナシと、どんな萌えなコトするのかとかがちょっと載っている。
「駐在さんて」
「何?」
「カオスなシチュエーション好きだよね」
「俺は泣きゲーはやりません」
 よくわからないが、そういう主義らしい。
 まあ、リアルなえっちビデオとかも、いろんな好みがあるみたいだし。そういうものかも。
「コレって、どうやって選んでるのー?」
 世の中にいっぱいある程には、沢山買ってない気がする。もちろん、アレもコレもって、沢山集められても、困るが。
「萌えっていうか、絵?」
 エロゲは絵が命です、といつもの言い分。
 あと、こういう種類のゲームは、お手軽にクリア出来て、中断してもさくっと始められるらしい。
 そういえば、前にすごい長い事掛かりそうなゲームやろうとして、忙しさの前に挫けてたっけ。
 でも、とルナは思った。
「いいけど……」
 お姫様が出てくるようなファンタジーなゲームは、何かイロイロ、あやしいものが多い。
「ホントにあったコトとかでも、萌えれるの?」
「だから、ソレは別腹だって」
 そんなに夢の世界にのめり込んだらこんなゲームは出来ない。
 要するに、作り物だから萌えって言える。
「ていうかな……」
 で、半眼になって呟く。
「お前がソレを言うな」
 誰がそのファンタジーを現実に持って来てるのか、よく考えなさいね、と、ユイは握った手でルナのこめかみを押した。
「どこの火星に……自分が同じ目に遭わされるコト想定してゲームやるヤツがいるんじゃ!」
「あいー、ごめんなさい〜」
 とか言いつつも、でもやっぱりまたやっちゃうかも。と、ルナはワクワク考えた。
 ごめんねー。
 でも、好きだから、色んなコトしてみたい。

 (1stup→090829sat)


Story? 01(小話一覧)へもどる
トップへもどる