■片翼の恋 01

 背中合わせに座る二人。
 恥ずかしそうな姿が良い。
 ここからでは、恥ずかしがっているのかどうか、本当のトコロはわからないけれど、ソノ考えは素敵だ。
 この場所へ来て、この期に及んでさえ、恥じらいがあるなんて、微笑ましい。
 一人は、茶髪の青年。多分、20歳くらい。
 ガクセイか、フリーターか、20代の、どこにでもいそうな、ちょっと女の子が喜びそうなタイプ。
 公園内は禁煙だからか、火を点けないタバコをくわえて、空なんか見てる。
 ホントウに見たいのは、そんなものじゃ無い筈だろう。
 真っ直ぐに見たいのは、背中越しにうつむく姿。
 きっとそう。
 青年の背中には、小さな背中が合わさっている。
 儚げな雰囲気の、アレは多分、男の子だ。
 この場所で寄り添うのは、わけありの恋ばかりだ。
 男の子は、黒い髪を僅かに揺らして、少し、焦って振り返ろうとした。
 だけど、出来なくて、やっぱりやめる。それは、さっきよりも余分に、恥ずかしそうだった。
 何食わぬ顔で街のイルミネーションを眺めつつ、青年がぽつんと置かれた小さな手を握り締めたから。
 だけど彼だって、多分、照れているだろう。そんな風に映る。
 目を閉じた男の子の顔は、ほんのりと赤い。可愛い。
 高校生くらいか、もしかしたら、中学生かもしれない。お人形さんみたいな姿は、ショタっ子っていうよりロリータ。
 ロリータ少年と、不器用ながらも優しいお兄さん。
 ホーリーナイトにお似合いの、育ちすぎてない恋人たち。
 そんな風に、映った二人。


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