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その日は俺も神宮寺もどうにかしていた。

店の営業が終わり、新人である俺が居残って掃除をしていると神宮寺が絡んできた。
もう日課のようになっている、奴とのくだらない小競り合い。
客に色目を使われていて焦っていただとか、同僚のバニーを目で追っていただとか。
曲がりなりにも先輩に当たる神宮寺を無視するような事は出来ず、
いつもの様に適当にあしらうと奴は早々に飽きたのか俺に背を向けた。
視線で奴を追うと、足が疲れたのかヒールの高い靴を脱ぎ捨ててふくらはぎを擦っている。

足首に留まったままの視線をそのまま筋肉の流れに沿ってあげていけば、引き締まった尻にたどり着く。
その中心にふわふわとした尻尾。
神宮寺は腰に両手を当て、凝りをほぐすように首を回している。
レオタードから覗く足はどう見ても男のものなのに、何故だか酷く扇情的に見えた。
飢えたように喉がからからに渇いて、潤そうとごくりと生唾を飲み込む音が響く。
店内にかかっていたジャズの音楽はもう消えている。
俺の様子に気付いているのかいないのか、神宮寺は振り向かない。
腰に当てていた奴の指がすい、と動き尻を包んでいるレオタードに滑り込む。
見せ付けるように布を押し上げ、離す。ぱちんと布が皮膚に当たった音が店内に響く。

ずれた布を直しただけだ、と脳は理解している。
しかし俺はその動作に体中の血が沸騰するかのような興奮を覚えた。顔が熱い。
スラックスを勃ち上がった陰茎が押し上げる。
どうする、と自分に問いかけた瞬間、神宮寺が目線だけ振り返った。
舐めるような、挑発するような色をした瞳に射抜かれる。無言。破裂しそうな心臓。
神宮寺が己の唇を誘うように舐めた。

見せ付けるようなその仕草に、獲物を見つけた肉食獣のように奴に襲い掛かり、ステージ上へ乱暴に押さえつけた。
キスも甘ったるい愛撫も無しに、尻を隠す布地を引きちぎるように横へずらすと、
窄まった蕾からどろどろと粘ついた液体が流れ出ていた。奴を見ると、チェシャ猫のように目を細めて笑っている。
俺はまんまと奴の罠にかかったのだ。
わざと俺を挑発させて自分に欲情させ、雄をくわえ込むために。
苛立ちを紛らわせるように指を突き立てると、神宮寺は背を逸らして甘く息を漏らす。
奴がどこを擦れば感じるかは身を持って教えられた。いや、仕込まれたと言うべきか。
こうして今日のように何度か気まぐれに誘われて奴を抱いた。
乳首を捻るように弄るとそれに反応して後ろの締め付けがきつくなる。
体はびくびくと震えて素直に快楽に酔っているのに、神宮寺は理性が保つうちは決して声をあげようとしなかった。
じりじりと追い詰めるように、神宮寺の中を探る。
すぐに核心を触ることはせず、周りの粘膜を擦りながら乳首を爪先で引っかいた。

体を支える両腕ががくがくと震えている。ぽたぽたと落ちているのは汗だろうか、それとも奴の唾液だろうか。
ぎゅう、と神宮寺の前立腺を指の腹で押しつぶすとひゅっと息を飲み込む音が聞こえ、喉が反るのが見えた。
それでも唇をかみ締めているのか、声は漏れていない。
聞きたい。
奴が快楽に溺れてだらしなく喘ぐ声を。
スラックスの前をくつろげて、すでに硬く熱を持った陰茎を蕾に擦り付ける。
挿入される期待からか、そこはぱくぱくと開閉して誘い込むように蠢いていた。
神宮寺に重なるように体を折り曲げ、ゆっくりと陰茎を中へと侵入させる。
待ちわびたように腰をこちらに擦り付けながら息を荒くする奴を見て、少しばかりの悪戯心が湧いた。
いつもは俺ばかりが奴の良いように翻弄され、貪られている。ちょっとした仕返しだ。
半分ほど入れた所で動きを止め、神宮寺が訝しがって力を抜いた瞬間、一気に奥へと突き立てる。
途端にあがる奴の獣じみた声。
一度開いてしまった唇からは濡れた声がひっきりなしにあがるようになる。
暴発しそうな熱を押さえ込みながら、焦らすことはやめて奴の感じる箇所のみを抉るように攻めると、
それがたまらないのか神宮寺は大きく頭を振り、必死に強すぎる快楽を逃がそうとした。
突き上げるたびに、神宮寺の体が崩れるように床へと落ちていく。
ついには腰だけを高く上げている格好になり、奴の締まった腰を両手で掴みながら更に追い立てた。

神宮寺はひたすら俺の名前を呼んでいる。決して俺を見る事はせず。
乱暴に前立腺のあたりを擦りあげると、急な刺激に射精したのか神宮寺の中が搾り取るように収縮する。
つられて精を吐き出しそうになるのを堪え、一度ぎりぎりまで抜いてから、
奥へ叩きつけるように突き入れた。
絶頂を迎えたばかりの奴の体は少しの刺激すら強い快感に変わる。
叫ぶように声を張り上げた神宮寺を気遣うこと無く、同じようにぎりぎりまで抜いて、奥へ叩きつける動作を繰り返した。
排泄時の感覚を思い出してしまうから嫌だと言った割に、神宮寺の体はこうしてゆっくり引き抜く事を喜んだ。
俺の形を覚えた中はぴたりと吸い付いて、びくびくと痙攣しながら侵入した熱を逃すまいとしている。
そろそろ俺にも限界が近づいていた。
いきすぎた快感に泣き始めた奴の耳元に顔を寄せ、奥に出すぞ、とわざわざ宣言する。
言葉で辱めるような事は趣味では無かったが、そうすると神宮寺が期待に濡れた目でこちらを見るのが分かってから
努めて言うようにしていた。
常と同じように欲に濡れた奴の瞳とぶつかる。
逸らすことはせずに、自らの快楽を追って腰を数度叩きつけ、一番奥に精を注ぎ込んだ。
見つめたままの神宮寺の瞳がどろりと濁る。熱を帯びた息が交じり合い、だらしなく開かれた奴の唇の端から
唾液が零れ落ちるのを見て、引き寄せられるようにそれを舐め取った。

そこまでの事をしても、俺は奴の唇を味わおうなどと思う事は一度も無かった。
流れに身を任せようとしても、本能的な何かがそれを押し留めているのだ。
神宮寺もそれをねだるような事はしなかったし、お互いの欲を満たせば終わるこの時間に
唇を交わらせることに意味があるようには思えなかった。
萎えた陰茎をずるりと引き抜くと、自らの精液と奴が準備した潤滑油らしきものが交じり合って零れ出る。
よろよろと体を起こした神宮司は、立ち上がらずにそのまま仰向けに寝そべった。
特に言葉をかける事はせず、スラックスのポケットからハンカチを取り出して自分の陰茎を軽く拭き、手早く仕舞いこむ。
汚れた面を内側に折りたたんで神宮寺の様子を伺うとぼんやりと天井を見上げている。
中に出したまま放置すると腹を壊す、と再三言われたのを思い出し、処理をするために奴の尻に指を差し込む。
つい先程まで俺が押し広げていた穴は柔らかく、効率的に処理するために三本の指をまとめて挿入しても抵抗は無い。
取り残しは無いようにと内側をなぞるなび、神宮寺の内股がぴくぴくと震えた。

神宮寺が事後処理をしている最中に再び欲情する事は良くある。
俺はいつも見て見ぬ振りをして、奴も何かを求めることは無い。
俺の熱は神宮寺に簡単に煽られてしまうほど上がりやすいが、同時に冷めやすくもある。
一度出してしまえば満足してもう一度、という気になった事は無かった。
プライドの高い神宮寺が、満足してないからもう一度抱いてくれなどと言えるはずが無いし、
物欲しそうに潤んだままの奴の目を見て、多少の申し訳の無さが俺に生まれる事はあっても再び抱こうとした事は無かった。
だからだろう、俺がスラックスの前を開け下着をずり下ろして陰茎を露出させた時、神宮寺は目を見開いて固まった。
精液にまみれたハンカチをその場に残し奴の顔の側へ膝を着くと、望まれている事を思い立ったのか大きく口を開け、
長い舌で俺の陰茎を絡め取って口に含む。
普段は挑発するような光を帯びているはずの瞳は快楽に濁ったまま、唇は愉悦に歪んでいた。
奴の髪を掴んで喉奥に押し込むようにしても、大げさな抵抗はせずなすがまま受け入れる。
ざらついた粘膜に一気に硬さを増した陰茎を押し戻そうとする喉の動きと、必死に咥え込もうとする神宮寺の舌。
異物を排除しようと溢れてきた唾液が泡立ち、ずるずると陰茎が滑って安定しない。
汗で張り付いた髪を邪魔にならないよう撫で付けながら頬の内側に亀頭を擦り付けると、
頭を前後に揺すり陰茎全体を舌で味わい始める。

ふと視線をずらすと、奴の乳首も陰茎も弾けんばかりにそそり立っていた。
手を伸ばし、指先で勃ち上がった乳首を掠める。
驚きか快感か、どちらとも付かない声を出して神宮寺が俺の陰茎から口を離す。
奴の目は俺ではなく、自らの乳首に触れる指先へと向けられていた。
硬くしこっている乳首を奴が見やすいように指で摘み上げてやると、神宮寺の目が耐えるようにきつく閉じられ、
快感を逃すように背が反った。
何度も絞り上げるようにしてやると神宮寺はひぃひぃと泣き声をあげ、勃ち上がった陰茎から粘ついた蜜を零し始める。
体勢を変え、両方の乳首を親指の腹で押しつぶすと更にその声は大きくなり背中の反りも深くなった。
反った体は結果的に自ら乳首を押し付ける形になり、神宮寺は甘ったるい鼻声を漏らしながら体を細かく揺する。
奴の自慰の道具のように扱われているような状況が気に喰わない。
摩擦で真っ赤になった乳首の片方を口に含んで舌でごりごりと潰すと、伸びてきた両手に頭を抱え込まれた。
震える腕で必死に俺を押さえつけ、乳首への刺激を強くしようとしている。

ここまで乳首を重点的に攻めた事は無かったので気付かなかった。
奴は指だろうが舌だろうが、こうして乳首を蹂躙されるのがお好みらしい。
俺の腹に当たる奴の陰茎はどろどろと蜜を漏らしながらいきり立って、その快楽を如実に伝えてくる。
先程まで立てていた膝は力が入らないのか開ききって、小さく震えている。
舌で乳首をこねながら、片方の手を尻に這わせると待ちかねたように腰を擦り付けられた。
焦らす事はせずに陰茎を中に挿し入れてやると、締め付けは緩くなったものの熱い粘膜がねとりと絡みついてくる。
入り口で浅く揺すりながら乳首を軽く噛むと、中がきゅうと締まり、神宮寺が恍惚とした表情で息を深く吐く。
体を起こして神宮寺の膝裏に手を入れ、折りたたむように体重をかけると、腹で押しつぶされた神宮寺の陰茎から
とめどなく流れ出る粘液がぬちゃぬちゃと音を立てた。
緩く浅く突き、深く抉る事はしない。奴が焦れたように身悶えるたびに乳首を押しつぶして黙らせる。
目線を上げると、熱に浮かされた瞳でぼんやりと俺を見る神宮寺と目が合った。
力なく開いた唇から覗く真っ赤な舌と白い歯。
いつもは皮肉か小言しか生み出さない唇は、今は俺に揺すられてはしたなく声を上げるためだけに開かれている。
これを舌でなぞったらさぞ美味いんだろう、と思ってしまったときには遅かった。

吸い込まれるように奴の唇に自らの唇を寄せ、僅かな隙間から舌を滑り込ませる。
神宮寺は何をされているのか良く分かっていないのか、ゆるゆる腰を揺らしながら黙っている。
何かに急かされる様に更に舌を深く潜り込ませ、神宮寺の口内をくまなくなぞる。
奴の分厚い舌に吸い付いた所でようやく事態を理解したのか、開いたままだった目に光が戻った。
俺は唇を離す気にはなれず、目を閉じて神宮寺の後頭部に手を回し、逃げられぬように密着させる。
舌でも噛まれたら流石に離れようと思っていたが、以外にも奴は少しも抵抗せずに俺の舌が口内を動き回るのを許していた。
先程まで陰茎を貪っていた口内は少しの苦味が残り、そうさせたのが自分だと思うとじわりと熱が上がる。
上あごにこびり付いたままの粘ついた蜜を舐めとり、つるつると舌ざわりの良い歯を舐めながら再び腰を動かす。
そこでようやく我に返ったように神宮時の体が大きく跳ね、押しのけるように両手が肩に押し付けられた。
しかし今更止めてやれるはずも無く、せめてすぐ終わらせられるように真上から荒く腰を打ち付け、なだめるように
唇に、鼻先に、瞼に無数に口付けを散らす。
何が良かったのかは分からないが、神宮寺は嘘のように大人しくなった。
そのまま中の収縮に合わせて腰を叩きつけ、再び唇を合わせながら奥に捻りこませて射精すると
神宮寺も追う様にに精を吐き出す。
一度目よりも長い硬直に、唇を離して神宮寺の顔を覗き込んでぎょっとする。
奴の顔は交わりの後という理由を抜きにしたとしても異常なほど真っ赤に染まっていた。
普段なら頬が上気する程度なのが、首筋や耳まで、凝視するその間にもじわじわと広がっている。
神宮寺の体内から抜け出ることも忘れて、何かおかしいことをしただろうかと考えを巡らせる。
二度も吐精した体は重く、頭の回転まで鈍っている気がした。
いつもと違う行動は、二度も行為に及び、そして唇を味わったことくらい。
そう、神宮寺の唇をまるで恋人にするように。
そこに思い至って、神宮寺などの比ではないくらい、顔から火が噴き出たように熱くなった。
俺の反応を見て、神宮寺も居心地が悪そうに顔をそらす。
繋がったまま無言の時が流れ、神宮寺がちらりと視線を俺に投げかける。
そうして聞き取れないくらいの小さな声で、ばかやろう、とだけ呟いた。
おかしいよね。間園はこれをえろ絵につけるプチSSにしようとしてたんだよ。馬鹿だよね。凄く楽しかった…乳首攻め萌え☆