恋の足音 since 2011.11.05 ※TOPへ戻る際は←のサイト名をクリックして下さい。


次の日から、音也と体の関係を持つ事を躊躇うようになった。
一度スイッチが入れば学園内だろうと構わずに咥え込もうとしていた私の急変に最初は戸惑っていた音也は、
それにも次第に慣れてそれが日常になる。
たまに額を付きあわせて、指を絡ませて軽いキスをし合う。
その程度の触れ合いに満足など出来るはずもない。溜まっていくどろどろとした熱は凝り固まって消えてくれない。
音也とクラスが違う事だけが不幸中の幸いだった。
学園内で顔を合わせる機会が増えればそれだけ自分の欲を抑え込まなければならない事態が多くなる。
あの日、眠りに落ちる間際の音也の言葉は私の心を深く抉り取った。
もう5日。
罪悪感にかられて自慰行為すら出来ないほどに、深く。

音也と交わることが無くなって一週間が過ぎようかと言うある日の放課後。
Aクラスの友人たちと外で食事をしてくると言って音也が出かけて行った。
思えばずっと、音也は私の隣から離れようとしなかった。
学園内では肩を触れ合わせ、寮の部屋では手のひらを重ね合わせて指を絡ませて。
音也も若い男性なのだから、と願うように舌を絡ませてキスをした事もある。
しかし期待は外れ、音也は照れたように笑うだけで私を性の対象として見なかった。
そろそろ限界だった。
時計を見ると、6時少し前。
音也がこの部屋を出たのは5時半頃だったから、帰ってくるまでは大分時間がある。
そう思った瞬間、私の足は音也のベッドへと向かっていた。
ぐしゃぐしゃに丸まった薄い毛布の上に転がり、枕に顔を埋める。
鼻先を音也の臭いが掠めて、目の奥で閃光が弾けたような錯覚を起こす。
震える手でぎこちなくスラックスのチャックを下ろすと、既に硬く立ち上がった陰茎が指先に触れた。
布越しでも分かる。種を撒き散らそうとびくびくと脈打っている肉の感触。
パンツをずらすと勢い良く陰茎が飛び出して震えた。
「はぁッ…!」
久しぶりの感覚にくらくらする。
がしがしと乱暴に擦って搾り出したい気持ちを抑えて、手のひら全体で包み込む。
音也とは違う滑らかな感触。この時ばかりは普段のスキンケアが恨めしかった。
彼の、少し荒れてかさついた手で扱かれたい。
袋をやわやわと弄ばれながら、体内を指でかき回されたい。
叶わない願望だけがぐるぐると頭の中を駆け巡る。
尿道がひくついて、竿を刺激するたびに粘ついた液体を押し出す。
そこから溢れる音に聴覚を犯されて、腰の奥がずくりと疼いた。
「ひっぁ、あぅっ…ッ」
秒針が時を刻む音も、衣擦れの音も耳に入ってこない。
粘度の高い水音と、自分の荒い息が部屋を埋め尽くしている。
シーツを掴んでいた手を離して、しゃぶりついた。これは音也のものだ、と言い聞かせて唾液を絡ませる。
糸を引くほど執拗に嘗め回して、口内から引き抜く。
「ふっ…ん、ぃあッ」
音也の動きを思い起こして、トレースする。
ゆっくり入れろと言っても聞かずに強引に押し入ってくる音也の指。
焦らすというテクニックなど無視して前立腺を荒々しく刺激する。私が泣くまで。
指の腹で押し上げると、そこからじわりと快感が広がっていく。
深く呼吸を繰り返し、それに合わせて刺激する。
「はぁっ、はっ…んんんっ」
指を出し入れしやすいように力を抜こうとしても上手く出来ない。
陰茎と前立腺を同時に弄りながら更に呼吸を整えるなんて、余裕の無い今の自分には無謀だ。
少し考えて、陰茎を扱く手を離す。
空いた手で指を締め付けている穴を押し広げ、前立腺への刺激を強くする。
「ひぐッあ、ぅああ…」
じん、と肉襞が痺れて快感を全身に伝わらせる。
押し寄せる波に身を任せて、下腹部でどんどん膨らんでいく快感に沈んでいく。
「、ぁぁあああッ!!」
尿道からせり上がってくる射精感に耐え切れずに熱を撒き散らす。
溜め込んだ種はびゅるびゅると弧を描いて、顎から額までを汚した。
脳の血管が焼ききれるような快感が全身を痙攣させ、動く事が出来ない。
陰茎の先から、吐き出しきれなかった精がどろどろと力を失って流れ出ている。
1週間溜まりに溜まっていた性欲は一度で発散されるわけは無く、再び頭をもたげ始めた陰茎が視界の端に映った。
「音也が帰ってくる前に、掃除を…」
シーツを取り替えて、臭いでバレないように換気して。
精液まみれになっている顔はすぐにシャワーに入って洗い流してしまおう。
重い体をやっとの事で起こし、部屋を見渡して違和感を覚える。

何か、嫌な予感が。心臓が殴られたような動悸。
「…トキヤ、ただいま」
「っあ…」
玄関へと続く扉が薄く開いたままだった。その扉から、気まずそうに入ってくる音也。
体に篭っていた熱が一気に音を立てて引く。
「あの、…ご飯食べに行くの、中止になってさ」
音也の言葉を理解する前に脳を通過していく。
効果的な対処法を考えようとした頭は冷めすぎて上手く機能しない。
どうしよう、という言葉だけが心と頭の両方を満たしている。
体ががくがくと震えて、立ち上がってこの場から逃げ出すことも出来ない。
断罪を待つ死刑囚の気分だ。
「えっと…」
音也の言葉は、ただの音となって床に落ちた。
あの日から、自分の異常な性欲を音也に押し付けるのはやめようと決めていた。
無理をさせて友達に戻ろうと言われたら。いや、もう関わらないでくれと言われたら。
それを恐れて必死に耐えてきたのに、たった一度の油断で全てが台無しだ。
音也が何と言って私を責めるのか、聞きたくない。聞いて楽になりたい。
相反する二つの気持ちがせめぎ合って、言葉の代わりに涙が零れた。
「と、トキヤっ!」
「呆れましたか」
「へっ?」
「私を嫌悪してるんでしょう」
音也の表情を確認する勇気が無い。
太ももの上で握り締めた手の甲にぽたぽたと水滴が落ちて跳ねる。
ああ、そう言えば顔にかかった精液すら拭いていなかった。
拭おうとして、無理矢理顔を上げさせられた。両頬にびたん、と音也の手が張り付く。
「ばかっ」
驚いている間に、音也がぶつかるようにして口づけてきた。
ずっと待ちわびてた熱い舌が口内にねじ込まれる。恐る恐る差し出した舌は啄ばむように噛まれた。
上から唇を押し当てられて、唾液を流し込まれて喉を鳴らして飲み込む。
息継ぎする間も与えられずに貪られて、脳が酸欠になってぼんやりし始める。
「てっきり放置プレイとか、おあずけとかだと思ったのに…悩ませてごめんね」
鼻先が触れ合う位置で、音也が言う。嘘がつけない彼の言葉に簡単に心が高鳴った。くだらない、誤解だった?
とろりと心が溶ける感覚。
音也が目を細めて微笑み、私の顔にこびり付いた精液を舐め取っていく。
「自分で顔射するまで我慢する事無かったのに」
「貴方が、SEXより満たされるって…!」
「ん?まあ、たまには良いけどね…俺ワガママだから、これだけ放っておかれるのも嫌だな」
悪びれず笑って、静かにベッドへ沈められる。

お互い、しなくても良い我慢をしていたというのか。…勿体無い。
音也が私の太ももを下から持ち上げて、そのまま腹へ押し付けて折りたたむ。
日頃のストレッチのおかげで間接が軋む事は無く、音也に全てが晒された。
期待にすっかり復活してだらだら汁を垂れ流してる陰茎。中を擦られたくてひくついている後孔。
過剰な興奮にまた涙が湧き出してくる両目も、全て。
「えっちなトキヤがこんなに我慢したんだから、ちゃんと御褒美あげないとね」
自分で足を抱えているように言われ、音也がベルドを外すのを見つめ待つ。
ぱつぱつに膨らんだ音也の陰茎が晒された時、思わず生唾を飲み込んだ。
早く、早くあれを入れて欲しい。自然と腰が揺れ始め、足を抱える両手から力が抜けそうになる。
「ほら見て、トキヤのお尻が俺のを飲み込んでく…」
「んぉッ!」
太い亀頭が穴に当てられ、襞を伸ばすように奥へと沈み込んでいく。
「あぁっあッ…ぁああー…」
閉じた穴を押し開いて侵入してくる硬い肉の感触。
あっさり奥まで到達されて、忘れかけていた音也の形を思い出す。
理由が分からない涙がぼろぼろと零れて、シーツに染みを作った。
指先にまで目が眩むような快感が流れ込んでいる。
音也は触診するようにゆっくりと陰茎で中を行き来して、時折奥を押し上げるように突く。
もどかしい、もっと壊れるんじゃないかと思うくらい激しく突き上げて欲しいのに。
「音也っお願いです、もっと…ッ」
「なーに?」
意地の悪い笑みを浮かべながら、それでも動きは止めない。
張り詰めた音也の睾丸がぴたぴたと尻に当たってそれすらも快感に変わる。
「此処弄って欲しいのかな?」
「ひぐッ!や、ちがっひぃいいッ」
陰茎は奥に押し込んだまま、乳首を捻るように摘まれた。
強引に引っ張り上げたまま先端を指の腹で擦られ、だらりと涎が口の端を汚す。
音也の引き締まった腹筋で陰茎が押しつぶされたまま、乳首まで嬲られる。
「んぁっ…ぁ、あっやぁあ…」
摩擦で赤くなった乳首を口に含まれ、舌で乱暴に捏ねられる。
熱い息が鼻から抜けて、両手にこめた力まで抜けていってしまった。
ずるりと足が崩れる寸前で、音也が口を離して足を受け止る。
「ごめんごめん、久しぶりなのにヤりすぎたね」
にこにこと笑いながら、両足を自分の肩に抱え上げる。
それに安心して体から完全に力を抜いた瞬間、一気に最奥まで陰茎が叩き込まれた。
「いぎッ!!ぉあッあぁああっ!!」
息をする暇すら与えられずに性急に貪られる。
腰をがっちり掴んでいる音也の手が酷く熱くて、それすら快感を増幅させる。
爪が白くなる程の力で必死にシーツを掴み、背を反らしてどうにか快感をやり過ごす。
そのまま身を委ねるには強すぎる感覚だった。
「もー我慢しなくて良いのに」
呆れたように音也が言って、挿入されたまま体が横に倒された。
正常位でも後背位でもない、丁度その中間の角度で再び抉られる。
「やぁあッ!ひっあ、ぃあッ!」
気持ち良い所に微妙に届かず、焦れて腰を捩った。
妙な角度のまま、音也は探るように中を捏ねている。
ある一点を突かれた時に痺れるような快感がぶわっと湧き上がって、反射的に音也を締め上げた。
背後で笑った気配のすぐ後、その箇所だけ執拗に突き上げられる。
「…ーーッ、ーーーッ!!」
搾り出した声は、音にならなかった。
新しく発見した性感帯をごつごつと突かれ、その度に振動で陰茎の先から蜜が跳ね飛ぶ。
動くたび音也の陰茎がびくびくと脈打っているのが体内に伝わった。
私も、音也も限界が近い。
「音也ぁ…」
予期せず、甘ったるい声で強請ってしまう。
「うん。…中にたっぷり出してあげる」
低く言われ、奥が疼いて締まる。
音也が自分の吐精のために、締まる奥を目指して乱暴に突き上げた。
同時に放って置かれていた私の陰茎に手を伸ばして、荒々しく上下に擦りあげる。
「ぃあ"ッひっぁああ…ッ!!」
音也の指先が雁首を掠めた瞬間、我慢しきれずに精液を吐き出して奥を締め上げる。
唐突に絞られて、音也が低く唸って同じように精液を吐き出す。
奥に叩きつけられた種がじわじわと中を伝っていく。
すでにイったはずなのに、その熱でまた上り詰める錯覚に襲われる。
「…トキヤ、もう我慢なんてしなくて良いからね」
最後の一滴まで注ぎきって息を吐き、音也がにこりと微笑む。
あの日、眠りに落ちる寸前に見たのと同じ幸せが滲んだ笑み。
「ええ…音也」
私も笑みを返して、キスをねだるために目を閉じた。
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エロパートo(^▽^)o 音トキはくだらない事で悩んでケンカしてたら可愛いですよね〜