恋の足音 since 2011.11.05 ※TOPへ戻る際は←のサイト名をクリックして下さい。


ぴたりと閉じて溶けてしまいそうになる瞼を、乱暴に擦って目を開ける。
その努力も虚しく、すぐに半分ほど瞳を覆ってしまう瞼。
滲んだ涙で濡れた睫がぼやけて揺れている。
トキヤは耐え難い眠気を振り払うようにぎゅっと強く目を閉じて、そして開けた。

本来ならOFFであるはずの土曜日の早朝。
突然舞い込んで来た生放送への出演のために、トキヤは必死に邪魔な眠気を殺そうとしている。
熱いシャワーに入ったり冷たい水で顔を洗ったりしてみたが、効果はどれも薄かった。
休みだから、と音也と散々楽しんでしまったのが寝不足の原因だが。
トキヤを喰らい尽くして満腹になったらしい音也のいびきが耳に響く。
そういえば、今日は昼から音也と街へ遊びに行こうと誘われていたんだった。
朝番組に出演する程度なら書置きなどしなくても良いだろうと判断し、
トキヤは寮の部屋を後にした。



昼食時もすでに過ぎた午後3時前。
トキヤはちらちらと時計を見ながら、早足で学園へと向かう坂を歩いていた。
生放送自体は10分程度で滞りなく終わった。しかしその後、同じスタジオで行われていた別のバラエティ番組の
収録に参加する事になってしまった。
ギャラの事もあるので事務所に一応連絡を取った所、二つ返事でGOサイン。
それが終わったら、番組の制作陣と一緒に昼食。
自主練習があるからと何とか抜け出して、それでもこんなに時間を食ってしまった。
途中で音也に連絡を入れる隙すら無かった。
トキヤにしては珍しく焦りながら乱暴に寮の扉を開け、小走りで部屋へ向かう。
ズボンのポケットから鍵を取り出しながら視線を投げた先で人影が動いた。
「おかえりトキヤ」
自分たちの部屋の前、ネームプレートを隠すように音也が壁に寄りかかって微笑んでいる。
他の生徒が見てもそこに変化を感じ取れないだろうが、トキヤには分かってしまう。
音也は本当に怒った時に、いつもの熱さをくるりと反転させたように冷たい目をする。
これは、それを笑顔で隠してる時の表情だ。
「ただいま戻りました…あの、音也」
「仕事でしょ?」
「え、ええ」
「トキヤが俺より優先する事なんて仕事しか無いからね」
小さな蛇のように、音也の指がトキヤの指に絡められる。
誰かに見咎められる可能性が高い、見通しの良い長い廊下。
朝目が覚めたらトキヤが姿を消していたことへの不安、連絡が無い事への焦り、約束を反故にされた怒り。
それらが混ざり合って今の音也を染め上げてしまっている。
黙ったままのトキヤをじっと見つめる音也の瞳の奥、ちりちりと炎が揺らめく。
じわじわと胸に広がる申し訳なさと、少しの後悔。
遠くから生徒たちのざわめきが聞こえてくる。
トキヤがそれに振り向くより早く、音也が部屋の扉を開けて中へ引きずり込んだ。
バランスを崩したトキヤの体は支えられること無く、音也の手によって無理矢理しゃがまされる。
強かに打ちつけた膝をさすりながら見上げた音也は、先ほどの笑顔を貼り付けたまま。
「ねぇ、俺に悪い事したって思ってる?思ってるよね、トキヤ」
小さな子に言い聞かせるような優しい声。
声の主はわざと大げさな音を立ててベルトを外して遠くの床へ放り投げた。
金属がぶつかって跳ねる硬質的な音が響く。
トキヤの目の前でじりじりとジッパーが下ろされ、たまらずに視線を床へ落とした。
見覚えの無い真新しいスニーカー。そう言えば着ている服も部屋着のジャージではない。
戻らないトキヤに焦れながら、精一杯のお洒落をして待っていたんだろう。
ぼんやりと靴を見ているトキヤの頬に、だらりと垂れた肉が触れた。
「おやつの時間だよ、トキヤ」
つるりとした亀頭で、唇をなぞられる。
おずおずと口に含むと途端に反った陰茎に上あごを圧迫された。
苦しさに滲んだ唾液と、先端から溢れた体液が混ざって喉に引っかかる。
咽る間も無く、音也の張り詰めた陰茎が更に攻め込んで奥を抉った。
歯を立てないように必死に口を開き、舌は裏筋の盛り上がりで擦られる。
頭を両手でがっちり固定され、喉の感触を楽しむように音也が腰を揺らす。
「零さないように直接流し込んであげる…」
「んッ?!」
喉奥に張り付いたままだった亀頭がびくりと震え、その先端から粘ついた精液が飛び出してくる。
周りの粘膜に跳ね返されながら、半分は上あごと舌にこびり付いたままになった。
「まだ飲んじゃ駄目だよ、出しても駄目」
「音也…?」
声に出して名前を呼ぶと、絡まった精液がにちゃりと音を立てる。
かっと顔を赤くして慌てて口を噤んだトキヤに音也がにこりと笑いかける。上辺だけは満足そうに見える顔。
音也がポケットから出したハンカチで適当に萎えた陰茎を拭い、ベルトと同じように放り投げる。
「ほら立ってトキヤ、お仕置きがまだだよ」
「っ!?」
「今のはお詫びでしょ?約束を破る悪い子にはお仕置きが必要がいるんだよ」



部屋に入ってすぐに出された命令通り、下半身のみ裸になって四つん這いになる。
音也のベッドのすぐ目の前、マットレスと平行になるように。
対してトキヤの体の向きとは垂直になるように、いつものようにベッドの端に腰かけた。
「お仕置きで挿れられちゃうと思ったんでしょ」
くすくすと、小ばかにしたような音也の声がトキヤの背中に振る。
言い返せなかった。図星なのは勿論の事、舌に絡まったままの精液が気になって黙るしか無い。
晒されたトキヤの白い尻がぶるりと震えた。
「お仕置きはお仕置きだよ」
「ぅあ"ッ!?」
穏やかな声音とは裏腹に、突き出された尻を打ち付けた平手は容赦無かった。
びりびりと広がった痛みに叫んだトキヤの口から、ぼたぼたと唾液と、白濁が飛び散る。
「あーあ悪い子」
「んぎッ!やだ、おと、ぁぐッ」
ぱぁん、と部屋中に反響するくらいの音を立てて尻を張られる。
一定の間隔で叩きつけられる音也の手のひらと、トキヤの尻が熱を帯びる。
「ぃ、い"だぁッ!やめ、あ"ッ!!」
鋭く刺すような痛みは一瞬で弾け、後にはじりじりと弱火で炙られているような熱が残る。
体を支えていた両腕はがくがくと震え、崩れ落ちないようにするだけで精一杯だ。
「うぎぃッおねが、も、ぁがッ、優しく…ッ!」
「優しくねぇ…」
恋人同士の戯れでは済まされない責め苦に、耐え切れなくなったトキヤが叫ぶ。
音也は興味無さそうに呟いたあと、叩き付けた手のひらを尻に張り付けたまま丸みを確かめるように滑らす。
ほっとして張り詰めていた気を緩めた瞬間、それを咎めるように強く尻を打たれた。
「ぉあ"ぁッ!」
電撃のように背筋を駆け抜けた衝撃はそのまま脳に達し、トキヤの上半身がぐたりと床に預けられる。
押しつぶされた頬に、硬い床の感触と自分が撒き散らした体液が滑る感触。
すでに感覚がぼんやりし始めた尻の代わりに、床に当たっている肩と膝が痛み始める。
「どしたの…ああ、膝痛いんだ」
尻を叩く手は止めずに音也が毛布を引っ張り出し床に敷く。
理由の分からない優しさに戸惑いながらも体をどうにかずらし、毛布の上に再び崩れ落ちた。
「お尻にだけ意識を集中させてね」
「ひぃッ!」
言いながら、びしゃりと乾いた音が響き渡る。
何度も何度も、トキヤが泣き出しても音也の手は止まらずに機械の様に尻を打ち続ける。
息を深く吐いて痛みを必死に散らしながら、意識を後ろへのみ持っていく。
どうにか体を支えている両肘の間から自分の足の間を見て、トキヤは愕然とした。
痛みに萎えて縮こまっているはずの陰茎が、触れられたらすぐに弾けてしまいそうなほど張り詰めていた。
音也の熱い手のひらが叩きつけられる度、そこも一緒に揺れ、そしてどろりと蜜を溢れさせている。
火照るほど尻を強く張られて、痛みだけ感じていたはずなのに。
トキヤの体はその痛みを全て快感に結び付けてしまっていた。
「ぅあんッ!!」
「ん?」
自分の状態を自覚した途端、やってきた鋭い痛みに鼻から抜けた甘ったるい声があがった。
手を止めた音也に続きをねだるように腰を揺らしてしまってから、トキヤは失敗したと固まる。
これはお仕置きで、与えられる痛みで反省しなければならないのに。
「あぁ感じちゃったの?」
「ひぅッあ、あ、ちが…っぁん!」
「さっきまでギャンギャン吼えてて、今はくんくん啼いてるのに?」
「ぁあぁ…ッ!」
叩きつけられる手の強さは変わらないのに、感じる痛みは少なくなっていた。
鋭い痛みの中に、鈍く甘ったるい快感が確かに存在している。
尻を張られるたび、触られてもいない後孔に熱い楔を打ち込まれている気分になる。
叩かれる感覚が短くなって、それがまるで速いピストンに感じて自然に穴がひくつく。
尿道をせりあがってきた蜜をどうにか押さえ込む。
「ひぃいい…イっちゃう、やだぁ…やだ…」
「何で?」
イけよ、と尊大に言い放った音也が腫れ上がったトキヤの尻を一際強く叩き付けた。
突然きた衝撃に我慢出来るはずもなく、揺れる陰茎からびゅるびゅると勢い良く精液を撒き散らす。
毛布と交わるようにへたり込み、荒い息を繰り返すトキヤを音也が足で仰向けにさせた。
「お、音也…んぎッ!?」
「ほらほら、全部絞っちゃおうね」
中途半端に硬さを残したまま首をもたげ、蜜を零し続ける陰茎を音也が踏みつける。
袋へと続く境目から先端へ向かって、靴下を履いたまま揉むように辿っていく。
「ぁあ…ぁあああ…ッ」
「これで出きったかな?」
すっと離れた音也のつま先が尻の谷間へと入り込み、トキヤが本当に欲しがっていた場所へ到達する。
物欲しげに痙攣を繰り返すそこに親指をずぶ、とめり込ませるとトキヤの体がびくりと震えた。
「んんん…ッ!」
びゅる、とおそらく最後の一滴が先端から零れ落ちる。
体中を支配していた鈍い快楽は未だに冷めず、トキヤは起き上がれずにぐたりと横たわったまま。
「今から出かけても仕方無いし、今日はだらだらしよっか」
冷たさが消えた音也の声が耳に入り、トキヤはのろのろと顔を向ける。
ベッドに腰掛けて足をぶらぶら揺らしている音也から怒っている気配は感じられなかった。
「お、音也あの…ごめんなさい、連絡もせずに…」
「ん?やだな気にしないでよ、仕事でしょ」
にこにこと笑う音也に嘘は無いようで、トキヤはほっと息を付く。
抱きつきたい衝動にかられて手を伸ばすが、自分が体液にまみれた酷い格好だと思い出して慌てて引っ込めた。
それを見ていた音也がにやにや笑い、自分の服を脱ぎ捨てる。
「このままさ、だらだらえっちする?」
「ばか…」
ずるずると体を引き寄せられ、軽々とベッドへ移動させられた。
上気したままの頬に音也がちゅっと音を立てて口づけ、くすぐったさに身を捩る。
「ねぇ、入れながらお尻も叩いてあげよっか?」
悪戯を思いついた子供のように無邪気な笑顔を見せる音也を叩こうした手をぴたりと止める。
しばらく迷ってから、音也にしか分からない微かな動きで頷いて振り上げた腕をそのまま首へと絡めた。
HAYATO=トキヤって気付かれた後の音トキ。スパンキングなので、尻を叩く以外の接触無しで射精させるべく書いたら音也がドSにo(^▽^)o