恋の足音 since 2011.11.05 ※TOPへ戻る際は←のサイト名をクリックして下さい。


「ねートキヤ〜せっかくオフなんだから遊びに行こうよ〜」
「…………………………」
音也が無自覚に出している甘ったれた声が静まり返った室内に響く。
眼鏡越しに文庫本に視線を落とすトキヤは全くの無反応だ。
先ほどから音也があの手この手で興味を引こうと忙しなく動いたり喋ったりしているが、
トキヤは時折ページを捲るだけ。
音也は主人にかまってもらえない犬のようにトキヤの後ろをうろうろと彷徨い、
昼下がりの柔らかい光を反射する艶やかな黒髪を撫でてみたり、
その髪の隙間から浮かび上がるような白さのうなじにちゅっと口づけてみたり。
「もー…」
セクハラまがいの事をしても怒りもしないトキヤの様子を見て、がくりと肩を落とす。
音也が鬱陶しいから無視しているわけではなく、ただ本の世界に没頭しているだけみたいだ。
毎日ファンに夢を与えて愛を振りまいて、たまの休みくらい恋人である自分だけを
見ててくれたっていいのに。
トキヤにとっては何かしらの意味を持った書籍なんだろうが、音也に取ってはただの文字の羅列。
手のひらに収まる程度の紙に印刷された文字にすら勝てないなんて。
諦めに似たもやもやとした感情が心を覆い尽くして、吐き出すように溜息をつく。
ソファーとテーブルの間で、トキヤの長い足が投げ出されている。
互いの服が触れ合って皺を寄せる距離まで近づいても、トキヤはぴくりとも動かない。
レンズに触れそうなくらいの長い睫が規則的に瞬くのを見ながら、そっと手を伸ばす。
「トキヤってば」
鼓膜を震わせた声が脳の奥まで届くように、唇が耳に触れそうな位置に顔を近づける。
この手を使うのはちょっと悔しいが、トキヤの気を引く最終手段は性交渉だ。
入寮時にトキヤに感じていたクールで生真面目な性格は、在学中にどんどん崩されていって、
不覚にも一目惚れに近い形の想いを持っていた音也は詐欺だと嘆きたい気分だ。
快楽にも真面目に貪欲に知識を取り込んで実践を積んだ結果だ、と自分に言い聞かせて
過ごしていくうちにすっかり毒されて今に至る。

いきなり過ぎるかな、と僅かな戸惑いを残したまま股間を撫で上げる。
するすると布地を滑っていった指が、がり、と引っかかった。
勃起して張り詰めた陰茎が布を押し上げているのではなく、もっと硬質な金属のような感触。
「ん〜…?」
「…………っあ!?」
ごりごり、と指の腹で奥へ押し込むように弄っているとトキヤが唐突に声を上げた。
「何をしてるんです!」
「これ中になんか入ってるの?」
「ひあっ…い、一度手を離しなさ、んぃいッ!!」
ぐっと喉を反らしたトキヤの手から、文庫本が滑って床にべしゃりと落とされた。
折り目どころか手垢すら付いていなかったそれは、叩きつけられた衝撃で形が歪んでいる。
むずむずと這い上がる優越感をもってちらりと見て、すぐにトキヤに向き直った。
正確には過敏に反応している股間に。
浮き出た形を布の上から擦りあげると、先端付近にその奇妙な硬さを見つける。
「音也、やめなさい」
「やーだ」
つむじに降って来たトキヤの言葉は、正反対の意味にしか聞こえなかった。
音也の肩を押し返すことが出来る両手はソファーに張り付いたままで、
威圧的に出すべきだった声は掠れて、ねだるような甘ったるさを潜めている。
「あーなんか躾された犬の気分」
「は?」
「いやこっちの話」
素の声を上げて聞き返してきたトキヤを適当にごまかす。
音也がチャックを外すと、歪に押し上げられた下着が目に入る。
その瞬間、脳内でけたたましい警鐘がガンガンと鳴り響き始めた。
自慰行為にも並々ならぬ興味があるトキヤが、いつだったか特殊なやり方を話してなかったか。
穴があるならとりあえず入れてみる、粘膜ならば手順を踏めば気持ち良いはずだ、と。
その時は真顔でどぎつい事言うなあ、と磨きぬかれたスルースキルを発動してしまったが
何故かそれが今思い出される。
「早く脱がしなさい…言っておきますが、煽ったのは貴方ですからね」
死刑宣告のように振り下ろされたトキヤの言葉が、音也の心にざっくりと刺さる。
逃げた方が良いかな、と思いながらも視線は露になっていく股間に釘付けだ。
緩く頭をもたげた陰茎の先でステンレス製のリングがきらりと光って目を刺す。
「ああ…」
それが何かに思い至って、音也は間の抜けた絶望の声をあげる。
思い出した、穴うんぬんの話は、尿道を開発してみたいって話題の一部だった。
開発を手伝わされるわけでは無さそうだったから、すぐに記憶の奥底にしまってしまったそれ。
見えているのはほんの一部で、本体はトキヤの陰茎が飲み込んでしまっているそれ。

「…仕方無いですね、洗面所で抜いてきます」
「へっ?」
「拡張するために入れてますけど、貴方との性交渉の邪魔になるなら外しますよ」
「え、えっ?」
顔に全部出ちゃってたのか、と音也が慌ててトキヤを追う。
洗面所へと繋がる扉のドアノブへ手をかけようとしたトキヤの腕を乱暴に掴んで引き止める。
「うあ"ッ」
体が捻られて尿道に入れた器具が擦れたのか、トキヤがびくりと立ち止まった。
そのまま背中に体をぴたりと密着させて、後ろから抱き込んだトキヤを壁に押し付ける。
「ねぇ、怒んないでよ」
「やっ!ひぐぅうッ」
しっかり腰に腕を回して動けないように固めてから、棒状の拡張器具をゆっくり引き抜いた。
後孔に挿入した時に抜けていく感触がたまらない、と言ってたからここも同じなんだろう。
せき止められていた先走りが卑猥な水音を立てて溢れ出てくる。
「ばか…やめなさい」
がんじがらめにされて自由にならない体で、トキヤが少しだけ振り返った。
耳どころか鎖骨のあたりまで真っ赤になって、とろりと融けた瞳が遠慮がちに音也を見ている。
音也が詐欺だ詐欺だと思いながらトキヤを嫌いになれずにいた理由がこれだ。
自分が仕掛けて欲しかったタイミング以外で音也に抱きすくめられると、途端に余裕を無くす。
「尿道開発してたんでしょ?進行具合見ないとね」
「ぁぐッ!!いぁああ…あ…ぁあ・・・っ」
トキヤがちょいちょいマゾっぽいから、俺もつられてサドっぽくなっちゃったのかな?
二人を見守り続けてきた周りからすれば何を今更、という事を考えながら拡張器具をずるずる挿し込む。
陰茎の形に合わせて緩くカーブを描き、奥に当たる部分は微妙な凹凸がついている。
ぴちゃ、と水滴が床に張り付いた音に視線を下に落とす。
際限なく湧き出しているのは粘ついた液体で、陰茎に絡みついたまま。
「ふぅん、涎垂らす程キモチいいんだ?」
「ひぃ…うぁ…あー…」
揶揄されたのが恥ずかしかったのか、目の前のうなじがしゅわっと赤く染まった。
だらしない喘ぎ声をあげながら、それでもトキヤが緩く首を振って音也の言葉を否定する。
「嘘つき」
「ぉあッあ、や、ぅううう…」
半分ほど、ちょうど凹凸の部分のみ中に挿し入れた状態で器具をくるくると回す。
上下に擦られる快感ばかりを追っていたトキヤは新しい刺激に、反論も出来ずに体を震わせた。
音也は拘束に使っていた腕を腰から移動して、服をずらしてトキヤの尻を曝け出す。
「この拡張器具?細身のペンくらいあるのに良く入るね」
「んぐっんんんぁ…」
再び縦に擦る動きに切り替えると、トキヤの声が甘ったるく切り替わった。
自ら腰を揺らしながら陰茎の中を抉られる感覚を追っているトキヤを見ながら、
ごそごそと自分もズボンの前を寛げる。
にちゃ、とパンツの中で音がして少しだけ自己嫌悪に陥る。
トキヤの暴走っぷりに引き気味だったのに、自分が主導権を握った途端欲情するなんて。
「音也ぁ…」
慎ましく閉じている尻を割り開いて、硬く張り詰めた陰茎で押し広げる。
ねだるようなトキヤの声は尿道と尻の穴と、どちらへの刺激を望んでいるかは分からない。
「さすがに両方一緒には出来ないからね、どっちが良い?」
「そ、んな…んんッ」
「分かるでしょ?尿道って傷つきやすいみたいだし…後ろは散々使ったからすぐ柔らかくなるけど」
「あっ」
言いながら、亀頭で緩み始めた襞をぐりぐりと押す。
物欲しげにひくついた口に飲み込まれそうにならないように、睾丸の裏まで亀頭で擦っていった。
本当は俺だって余裕無いんだけど、我慢出来なくなって子供みたいにむずかるトキヤが見たい。
声には出さずに待つと、トキヤがちらちらと落ち着き無く音也を振り返る。
「う、後ろに…」
「後ろ〜?太ももとかかな」
意地の悪い事を言って、薄っすらと開いた太ももの隙間に陰茎をねじ込む。
ぬるりと向こう側に滑り出た先端が、トキヤの陰茎に触れた。
「くぅう…っ音也…!」
「はいはい、入れるよ〜」
引き抜こうとした陰茎を、反射的に閉じられた足に扱かれる。
うっかり出そうになったのを何とか堪えて、トキヤが息を整えるのを待たずにずぷずぷとねじ込む。
急な刺激でトキヤが射精してしまわないようにゆっくり。
後ろから体内を抉るのと同じ速度で、尿道に埋め込まれたままだった器具をゆっくり抜いていく。
「――――ッ!――、――!!!」
トキヤが声にならない声をあげ、酸欠のように口の開け閉めを繰り返している。
後ろの肉は音也の陰茎を絞り上げて、時折跳ねるように襞が絡みつく。
目の前がくらくらするくらいの快楽に身を任せてしまいそうになって、音也は必死に踏みとどまる。
いくら特殊な状況に興奮しているからと言って、入れた瞬間出すのはさすがに気が引ける。
「…あれ?トキヤ、イってないの?」
取り出した拡張器具に絡み付いているのはぬめってはいるものの無色透明のものだ。
陰茎を覗き込んでも、射精した形跡は無い。勃起したままびくびくと震えているだけ。
「あ、射精無しで絶頂感味わう方法もあるんだっけ?」
「ふーっ…ふーっ…」
「聞いて無いね…とりあえず、これは返すよ」
「んぃッ!!あっあー…」
拡張器具を再び奥深くまで埋め込んで手を離す。
トキヤは耐え切れなくなったのか、がくりと膝を折って、べたりと頬を床につけて倒れこんだ。
腰のみが音也に貫かれて高々と上げられている。
「今度は俺の番ね」
「ぁひッあ、まっまた…!」
「イっちゃう?射精無しでイくとしばらくイきっぱなしらしいよ〜良かったね!」
「やぁああああ…ッ!!」
逃げようとするトキヤの腰を両手でがっちり掴んで、可愛くない文句なんか言えないように
焦らさず一番トキヤが好きな場所を突く。
自分が垂らした涎で頬を汚しながら白目を剥いて喜んでいるトキヤが少し笑って気がして、
もしかしたら最初から計算だったんじゃないか、なんて疑問が浮かび上がる。
ああでも、そうだとしたらお仕置きとして気絶するまで攻め立てるし、ただの疑心暗鬼だとしても
トキヤが望むとおりに、やっぱり気絶するまで突き倒す。
結局同じ事なんだから考えるだけ無駄だな、と思い直して音也さらに深く中に侵入していった。
ツイッターで尿道プレイいいよね〜って話になったので書かせて頂きました!BB弾とかビーズは入れる勇気が持てませんでしたごめんトキヤ(?)