恋の足音 since 2011.11.05 ※TOPへ戻る際は←のサイト名をクリックして下さい。


「はぁ…………」
顔すら知らないSクラスの生徒たちからの好奇の視線に晒され、
勝手が違う授業に神経を使い、隣に居るレンの気配に心をかき乱される。
今日一日だけで聖川の精神は随分と磨り減ってしまっていた。
寮へは戻らずにレコーディングルームで自主練習をしようと思ったがすでに予約は一杯。
人目を避けるように裏庭を通って寮へ行き、部屋へは行かずに中庭のベンチで時間を潰す。
時折ベランダに出てきた生徒が聖川を見つけてぎょっと動きを止めるが、
何となく察してすぐに部屋へ戻っていく。
聖川の憔悴は目に見えて酷く、面白がっていた生徒も気を使って視線を向けることは無くなっていた。

不可抗力とは言え、恋人であるレンと濃密な甘い時間を過ごせた事自体は悪くない。
悪態ばかりついて、人を小ばかにしたように歪ませる唇から愛らしい言葉がたくさん聞けた。
慣れないせいか背筋がむずむずとしたが、口から出たのは「可愛い奴だ」などという
言葉だったので、本心では嬉しかったのだろう。
気付けば口元がにやついている。
「変態か俺は……………」
呟いても、和やかにフォローしてくれる那月も笑い飛ばしてくれる音也も居ない。
冷たくなり始めた風に髪を乱されて、聖川は部屋に戻るために立ち上がった。
レンが急な女性からのお誘いで出かけていてはくれないか。
恋人として最低な事を思いながらのろのろと歩を進める。
試しに部屋に戻らずに女性をにこやかにデートしているレンを想像してみた。
…苛々する。自分を差し置いて他の誰かに笑顔を向けているレンに、
そしてそれを阻止出来ない不甲斐なさに。
七夕効果が無い時はちりちりと胸に焦燥感が生まれるだけだった。
ようやく、あの感情の名前がなんなのか分かった。
「嫉妬心すら分からんとはな」
開いていた部屋の扉に、少しの焦りと期待が生まれる。
レンの靴が綺麗に揃えられて玄関に並んでいた。
気配だけは薄っすら感じられる。音楽でも聞いているのかと思ったが、漏れ出る音は聞こえない。
自主的に勉強をするとは思えないから雑誌でも読んでいるか。
そっと中を伺うと、広いベッドにだらりと寝そべるレンの姿があった。

「レン………………?」
「すー……すー………」
控えめに名前を呼んでみたが、レンからの反応は無い。穏やかに寝息を立てている。
大人びた表情は鳴りを潜め、年相応のあどけない寝顔がそこにあった。
手入れの行き届いている艶やかな髪に指を通し、梳きながら頭を撫でる。
レンが起きないのをいい事にそのまま頬に手を滑らせると、ぴくりと瞼が動いた。
「んん…………………」
開かれるかと思った瞼は閉じたまま。傍にある体温が心地いいのか、頬を摺り寄せてきた。
勘違いで無ければ微かに微笑んでいる。
胸の奥にじわりと愛しさと、…劣情が確かに湧いた。
ポロシャツのボタンは全て外されている。紺色の布地がレンの赤銅色の肌を際立たせて、
妙な艶かしさをかもし出している。
ごくりと生唾を飲み込んだ。
レンはまだ起きる気配すら見せない。窓も開けずに寝ているせいか、薄っすらと肌に汗が浮いていた。
音を立てないようにベッドに乗り上げ、後ろからレンを抱きしめる。
うなじに細く柔らかなな髪が幾筋も張り付いていた。
心に湧き上がる衝動のまま、顔を埋める。
汗のかすかな匂い、レンが普段つけている香水の匂い。
鼻腔いっぱいにその匂いを吸い込みながら、ポロシャツの中に両手を差し入れる。
筋肉の流れを追うように撫でながら、辿りついた胸の突起を指で押しつぶす。
「んぅ…?………っ!?」
「ッ!」
鼻から抜けたレンの甘ったるい声と、小さな叫びにぴたりと動きを止める。
「まさ、と…?」
夢の中に意識を半分置いてきたままなのか、レンの声ははっきりとしない。
眠りの世界に居たせいで潤んだレンの瞳と、劣情で濡れた聖川の瞳がかち合い、視線が絡み合う。
レンが開いたままの口からおずおずと舌を出したのを見て、聖川が荒々しく唇を塞いだ。
「ぅんんッ!」
レンの手が聖川の手にそっと重ねられる。
引き剥がされるかと思ったらそのまま、自分から胸を押し付けてきた。
突起を摘んでこりこりと刺激すると、舐めまわしていた口内から唾液がだらりと溢れた。
「レン、レン…」
「んぅ…、もっと…」
「ああ、たくさん弄ってやる」
「ぁひぃいいッ!!」」
甘ったれた声を出して身を捩らせるレンが望んだ通りに、摘んだ突起を更に強く扱く。
緩急をつけて両方一遍に刺激すると、それに呼応してレンの腰がびくびくと跳ねる。
「ほらレン、自分で胸元を覗いて見ろ」
「あ、あ、あー…ッ」
レンが顔を俯かせて、服の中から生える聖川の手を見つめた。
薄く脂肪がついていない胸を揉みながら、指の腹で硬くしこった乳首をこね回す。
視覚からの情報でさらに強くなった快楽にレンが身悶える。
「ひぃ、まっ…イくッ…」
「ん?よし、脱がしてやる」
すでにベルトが抜かれていたズボンのチャックを下ろし、下着を指で引き下ろす。
弾けるように飛び出してきた陰茎は先走りでぬらぬらと濡れて、
少しでも刺激を与えればすぐにでも射精していまいそうにいきり立っていた。
「乳首だけでイかせてやる」
「ひぅッあ"っ、―――ッ!!」
ぎゅうう、と乳首を指で摘みあげる。
背をしならせたレンが息を詰め、どくどくと白濁を吐き出した。
粘ついた体液が聖川の腕にも滴り落ちる。
荒い息を吐くレンの体を反転させ、性急にズボンを引き摺り下ろして床に放り投げた。
レンのへその窪みにたまっている精液を指で掬い取り、後孔へと塗りつける。
「レン、指を入れるからな…力を抜いていろ」
「ぅう、ん…ぁぐッ」
「痛いか?」
「ちが、そこ弄られた、らぁッ!!」
「分かっている、気持ち良いんだろう?」
指を第二間接まで埋めて、陰茎を裏から押し上げるように指を動かす。
膨らみ始めていた前立腺をゆっくり捏ねると、一度射精して硬度を失っていた陰茎が瞬時に復活する。
いつもは嫌だと拒絶の言葉ばかりを口にして聖川を押しのけようとするレンは黙ったまま、
内側から湧く快楽に身を委ねているようだった。
「ん?もう中がひくついているぞ、レン」
「…お前に抱いてもらいたくて…準備してたんだよ」
「なら期待に応えねばな」」
指を増やして、捏ねる面積を増やす。時折わざと感じるポイントを外して腸壁を擦ると、
レンが身を捩って自分から腰を摺り寄せてくる。
その仕草がたまらなく可愛くて、聖川はあえて前立腺を弄らずにひくつく内側を擦り続けた。
「んひぃい…ッ!」
行為自体の回数はそう多くないが、毎回じっくり中を慣らしてきたおかげでレンはすっかり
中を捏ねられる事を快楽に直結させる事が出来るようになっていた。
じわじわとゆっくり攻め立てられて、だんだんとレンの瞳の焦点がぼやけてくる。
「ふー…ッ…ふー…ッ」
「可愛いな、レン…もっと溺れさせてやる」
「んぁ…真斗…」
半開きの唇から唾液を垂れ流すレンの額に口づけて、自分もズボンの前をくつろげて陰茎を取り出す。
感じるままに嬌声を上げ、腰をくねらせるレンの痴態にいきり立った怒張を軽く扱く。
「んぎッぁ、うぁ…!」
レンの呼吸に合わせて、一気に奥まで叩き込んだ。
同時にレンの陰茎から、白く濁った粘液がどろりと溢れ出る。
「中途半端にイったな」
「お、奥突かれた、からッ」
「ああ、お前は奥を強めに叩かれるのが好きだったのか」
こくこくと必至に頷くレンの髪を掻きあげながら、奥に収めた陰茎を揺すった。
背中に両腕が縋るように絡まり、腰の動きを速めてやると両足が絡まってくる。
「あ"ぅッあっ、ひぐッ!」
体を出来る限り密着させながらリズミカルに腰を叩きつけてやると、
刺激された腸壁がねっとりと締め付けてきた。
快感の渦に飲み込まれて溺れたレンの瞳はとろりと溶けて、聖川だけを映している。
唾液でぬらぬらと光る赤い舌に誘い込まれるように唇を吸うと、
レンが待ち焦がれたように吸い返してきた。
中を捏ねられる快楽に邪魔をされて覚束ない動きのレンの舌を甘く噛みながら、
腰の動きは緩めずに奥の柔らかい粘膜の感触を貪る。
「レン、中に出していいか…っ?」
余裕の無い表情で問う聖川に、壊れた玩具のようにレンが首を縦に振る。
「ほんとは中が良い、んだ、…いつも…ッ」
恥じらいながら言われて、聖川の頭の中で何かがブツリと切れた音がした。
腰に巻きついているレンの両足を乱暴に引き剥がし、間接が軋むのも構わずに折りたたむ。
痛みにレンが顔を歪めるのを気にも留めず、大きさを増した陰茎を真上から叩き込んだ。
「ぃア"あッ!!」
突然の聖川の猛攻に、レンの目が見開かれて大粒の涙がぼろぼろと零れ落ちる。
「俺は最低だな…お前を泣かせて興奮して…」
「ぅううう"ッ」
ぱんっ、と肉がぶつかる乾いた音が響く。
泣きじゃくりながらもレンは聖川を跳ね除ける事はせず、揺さぶられるままだ。
「お前も…多少乱暴にされても萎えないようだな…ッ?」
「ひぃッぅ、お前が、好きだからに…決まってんだろッ…ぐッ」
「そうか…愛してるぞ、レン」
ぎゅう、とレンが中で暴れる陰茎を締め付ける。
たまらずに聖川が白濁を勢い良く吐き出すと、それに気付いたレンが全身を震わせた。
「くそ…熱…ッ」
そう言った瞬間、レンも白濁を飛び散らせる。
最後の一滴まで注ぎ込んで陰茎を引き抜いて、そのままレンの横に倒れんだ。
二人無言で獣のような荒い呼吸を繰り返す。
室内の空気はじっとりと重く、濃い精の臭いがむせ返るくらい充満していた。
微かに触れているレンの手を手繰り寄せ、指を絡ませる。
「落ち着いたら処理を…レン?」
握った手のひらから汗が噴出したのに違和感を覚えて、体を起こす。
繋がれた手を見つめていたレンは聖川の視線に気付くと、弾かれたように顔を背けた。
どうしたのかと肩に手をかけると、振り払うように体ごと背を向けられてしまう。
「…何だ、七夕の効果が切れたのか」
「…………うるさい、無茶しやがって……………」
刺々しい中にも照れを含んだレンの声に苦笑する。
どうやら自分はまだ効果が継続しているらしい。
「俺も効果が切れる前に言っておこうか」
「…………何だよ」
無愛想な声を作りながら律儀に答えるレンの態度に、笑いが込み上げる。
バレないように笑い声を飲み込んで、そっと後ろから抱きしめる。
レンはびくりと大きく肩を揺らしたが、大げさに嫌がるようなことはしなかった。
「どんなに悪態をつかれようが、素っ気無い態度を取られようが、俺はお前を愛してる」
「……………………」
「効果が切れてしまえば俺も心にも無い態度を取ったりつい暴言を吐くだろうが…」
最初にこのベッドに横たわった時の様に、レンに頬を摺り寄せ、顔を埋める。
「お前は大切な友人であり、誇るべきライバルであり、愛しい恋人だ。それは変わらない」
「お、お前…よくそんな恥ずかしいセリフ…」
「効果が切れればきっと俺は頭を抱えるだろうが、それも照れ隠しだ。許せ、レン」
恥ずかしくて振り向けなかったが、聖川が真剣な顔をして言ってるだろう事は読み取れた。
レンはもごもごと口の中で喉まで出てきた言葉を転がしながら、意を決して振り返る。
「…俺だって同じ気持ちだ」
それだけ早口でまくし立てると、聖川が不意打ちをくらって目を瞬かせている間に
勢い良く顔を逸らす。たまらず噴出すと、雰囲気だけでレンがむっとしたのが分かった。
「レン、愛してるぞ」
真っ赤に染まった耳に届くように、距離を縮めて囁く。
レンはしばらく押し黙って、知ってる、とぼそりと呟いた。
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レンがどのあたりで正気に戻った(?)かを考えるともう一回楽しめるよー☆ミ