Baby if,
いっそ笑えるくらいに違う僕等。
過去を失くし、脳に埋め込まれたマイクロチップと正体不明の薬に生命を握られ、軍の歯車でしかない兵士達よりもさらに存在を貶められていた。
命令が下ればMSを駆って多くの命を奪い、同時に多くの命を背負わされながらも、認められることは決してなくて。
どこまでも冷たい世界の中に投げ捨てられた僕等。
たった3人しかいなかったのに。
たった3人の宿命だったのに。
たったそれだけの異物も許せず受け入れられずにいた僕等。
単調な音楽と、単調な指の動き。
あまり性能の良くない機械に仕込まれたプログラムは、同じタイミングで同じリアクションしかしてこない。
僕は淡々と、ただ淡々と一番効率的な方法で組み上げられたプログラムを進んでいく。
もう何度このゲームをクリアしたのか、そんなことはどうでもよかったし、意味はなかった。
反射速度を上げる訓練の一環だとか、そんなふうに思ってるわけでもない。
何故このゲームを手放せないのか、はっきり言って自分でも説明も言い訳も浮かばなかった。
回転数を可能な限り落とした脳は、僕に自由を与えない。
誰に決められたかしれない日課を、日常を、ただ淡々と過ごすだけ。
本当はこのゲームだって、僕が好きではじめたことではないかもしれない。
それは、あいつらも一緒だった。
ぐったりとソファに身体を投げ出し、アイマスクとイヤフォンで完全防護したアイツとか。
時折ページを繰る手と緩やかに動く眼球とは裏腹に、文字を追うだけでなにも頭に入れてはいないのかもしれないアイツとか。
趣味だと、楽しみだと思い込もうとしているけれど、誰かにプログラムされているだけなんだという危惧もある。
だけどそんな不安は一瞬の気の迷いで、すぐにゲームは再開される。
誰かが僕等を呼びにくるその時まで、僕等は僕等でありながらどこまでも孤独に自分に与えられた作業をこなし続ける。
絶対に領域を侵害しない、されないという暗黙の了解が僕等の間にはあって、それはきっと唯一僕等が分かち合ったもの。
同じ状況にあっても、同じ場所にいても、同じモノが見えるわけじゃない。
過去を消した奴等にも消すことの出来なかった僕等の境界。
今にも壊れそうな消えかかりそうな線の手前で佇む僕は、気の遠くなるような孤独に必死で縋り付いている。
これを失くしてしまったら僕等、お互いを認識できないほど融けあってしまう。
すごく近くにいるのに、そばにいることさえ分からなくなる。
だから僕等は孤独でいるんだ。
本当にひとりになるのは嫌だから。