『友達以上恋人未満(仮)』
 妄想イベントネタ


▲悪夢グループ
●勝沼紳一

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***初エロイベント前(ゲーム風)

彼方:「来ました」
紳一:「……ふん、遅いな」
彼方:「すみません」
 約束したことは、一度もない。
 けれどもこうして会うのが、俺たちの暗黙の了解になっている。
彼方:「寒いですよ」
 勝沼さんは、いつものスーツ姿に薄地のスプリングコート。
 俺は彼の後ろから、そっとガウンをかける。
 春とはいえ、時間は夜だ。
 山間の冷気は、このひとの身体にあまり良くないものだろう。
紳一:「……ほう、今日はガウンか。……旅館の法被じゃないんだな」
彼方:「あのときは急場しのぎだったんで……ははは」
紳一:「なかなかに面白い体験だった。ああいうものを着させられるとはな」
 昼間とは打って変わった、勝沼さんの……妙に意地悪げな、それでいて楽しそうな声。
彼方:「でも……温かだったでしょう。俺が着ていたものだったんですから」
紳一:「……懐の草鞋を気取るわけか?」
 砂地の上を歩いているのに、このひとからは全く足音がしない。
 翻る白いコートの裾と、風を受けてふんわりと膨らんだ黒いガウンが、何かの羽根のようにも見えて不思議な感じだった。
 宙を歩いているような、空を飛んでいるような……。
 何だかこのまま本当に、夜空を駆けてどこかに行ってしまいそうだ。
彼方:(……勝沼さんには、どこにも行って欲しくない……)
 不遜な考えだとは思う。
 けれど……勝沼紳一という人を知るほどに、このひとを俺のものしたいというか……そんな気持ちが強くなる。
 誰にも、もちろんどこにもやりたくない。……このひとの病魔からも。
紳一:「…………」
彼方:「……わっ!」
 いきなり勝沼さんが、俺のネクタイを引っ張ってきた。
 く、苦しい。
 しかも……しかも顔が近い!
 うひゃあああ!
紳一:「いいか、覚えておけ。……この世の全ては俺のものだ」
彼方:「は、はい」
 でも、こんな近くになって、初めて気がついたことがある。
紳一:「絶望も、愛というものやらも……何もかも全てが俺のものだ」
彼方:「はい……」
 整った顔立ちが目の前にある。僅かに俺は目線を下げた。
 そう、このひとは俺よりほんの少し背が低いんだ……。
紳一:「…………」
紳一:「だからお前もすべて……俺のものだ」
彼方:「はっ…………はいぃぃ?!」
 突然囁かれた言葉に、俺は突拍子もない声をあげてしまう。
 その瞬間、ぱっと勝沼さんの手がネクタイから離れた。
紳一:「……さて、俺は帰るとするか」
彼方:「えっ……でもあのっ……! それにさっきの言葉……!」
紳一:「……夢で会おう」
彼方:「うわっ!!」
 突風が砂埃を巻き上げながら通り過ぎる。思わず目をつぶってしまった。
 ……………………。
 …………。
 ……。
彼方:「あ、れ……?」
 ようやく瞼を開くと、そこにはもう勝沼さんの姿はなかった。
 あるのは夜空に輝く星ばかり。
彼方:「……夢で会えたら……」
 俺は溜息を吐いた。
彼方:「エロいことをしてしまいそうなんですけどねっ!」

***他のイベントフラグを立てずに旅館へ戻り就寝すると、紳一との(夢での)エロシーンへ
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