○第11話○ 真実(その4)






 タクシーで公園に向かうまでの時間がとても長い。
 一体何があったの?

 そればかりがぐるぐるぐるぐる。


 隣に座ってる洋介が、ガチガチに固まったまりえの身体を解すかのように頭を撫でた。
 何も言わず、ただ優しく。

 今日は涙腺が壊れてしまったみたい。
 やっと止まった涙がまた、じわってしみでてくるんだもの・・・


「洋介、ゴメン・・・私いつも迷惑かけてばっかり・・・」

「ばかだな、そんなくらいお安いご用だ」

 笑いながら、今度は頭をぐしゃぐしゃにされた。
 だから、今はそういう言葉、もの凄い弱いんだってば。




▽  ▽  ▽  ▽


「まりえ、アレ、千里じゃないか?」

 タクシーが止まったと同時に、公園のベンチに座って煙草を吸っている人物が目に入った。それを確認して、洋介とまりえは急いで中に入る。

「千里ッ!」
「千里くん」

 二人の声に振り向いた彼は、硬い表情をしていた。
 しかし、洋介に気づくと直ぐに表情を崩す。

「洋介、久しぶりだな、相変わらずお前ら仲がいいんだなぁ」

 千里と洋介は仲がよかった。
 お互い、懐かしそうに、そして少しだけ照れくさそうにしている。

「まぁな、・・・・・・ところで、アイツは?」

 千里は、煙草を灰皿に押しつけて苦笑いをする。

「逃げられたわ、足速いったらねーよ」

 逃げられた・・・

「・・・・・・どうする? とりあえず話聞くか? まりえ」


 千里の真剣な眼差し。
 それが何なのか、私は知らなければいけない。


 聞いて自分がどうなってしまうのか、それはわからない。
 もしかしたら、後悔するかもしれない。


 けれど。


 まりえは、怜二のことも気になるが、彼の話を聞かないと何も納得が出来ないと思い、小さく頷く。
 千里はそれを見て、少し目を細めたあと、静かに語りだした・・・





その5へ続く


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