○最終話○ 心の約束(後編) 抱え込まれるみたいに抱きしめられて、 怜二の一部になったみたい。 「わかる? スゴイでしょ、オレの心臓」 怜二の胸からはドクドクドクドクって、もの凄い早い音が聞こえる。 何だか可笑しい。 だって。 「私も同じくらいだよ」 そうなの。 もう、ずっとこんなカンジなの。 怜二は私のコートを脱がせて、屈んで私の胸に耳を当てる。 そして暫く耳を澄ませて、嬉しそうに笑った。 「ホントだ、まりえさんの音が聞こえる」 普段は見ることのできない怜二の頭のてっぺんとか、つむじとかが妙にカワイくて思わず抱きしめてしまう。 それから、つむじにキスをして、顔をあげた怜二のおでことか、瞼とか、頬にも。 くすぐったそうにしながらもそれを受け入れている怜二がとても愛しい。 一体どんな気持ちで千里くんの家に行ったんだろう。 あの時の私たちをどんな気持ちで・・・・・・ そして、あんな酷い言葉で拒絶して、私は一体どれだけ怜二を傷つけてきたんだろう・・・ 今ならわかる。 『オレを好きになって』 あの言葉がなぜあんなに胸に響いたのか。 あれは、怜二の想いの全てだったからなんだね。 「まりえさん、口は? してくれないの?」 目を閉じて、心持ち唇を突きだして待ってる。 可笑しい、カワイイ。 軽く唇が触れると、怜二の手がまりえの後頭部を押さえて彼の舌が滑り込んできた。 「・・・・・・ッ・・・ん・・・・・・」 簡単に舌を絡め取られて、酸素の足りなくなった頭は直ぐに麻痺してしまう。 足がガクガクして立っていられない しがみついてる手も力が思うように入らないし そのまま抱っこをされて、ふわふわ夢の中にいるような気分になる。 暫くすると、彼の唇がようやく離れて。 その時になって自分がベッドの上に横たわっているということに初めて気がついた。 あ、あれ? いつの間に・・・ きょろきょろしていると怜二の楽しそうな笑い声。 彼は既に上半身裸で、見れば自分も下着姿になっている。 信じられない。 私、どれくらいの間、ボーっとしてたんだろ・・・ 「まりえさん、うっとりして、そんなにキスが良かったの?」 「う゛・・・・・」 すると首筋にキスをして、舌を這わせてきた。 体がゾクゾクしていると、怜二は耳元でかすれた声で囁く。 「もっとうっとりさせてあげるね」 なんて恥ずかしいこと言うんだろう・・・ けど、私は怜二に耳元で囁かれると、駄目なものもOKになってしまうくらい弱い。 最近ではそれが分かっててわざとやってる気もするし・・・ ブラをたくしあげられて露わになった胸を優しく揉まれて、頂を口に含んで舌で転がしながら、時々甘噛みされる。 「・・・・・・ンッ・・・」 体がビクッと奮えて、熱に浮かされたみたいに熱い。 ふと、視線を怜二に移す。 すると、 何だか不思議な気分になった。 そんなまりえに気づいた怜二は顔をあげて『ん?』って顔をする。 「・・・なんか、・・・おいしいのかなって・・・」 「へ?」 「だって・・・な、舐めてるの、おいしそうに見えるんだもん・・・・・・」 怜二は目をまんまるくした後、バフッと胸に顔を埋めてきた。 「・・・・・・まりえさんて、面白いこと考えるよね・・」 「・・・そ、うかな?」 「おいしいよ、全部、食べちゃいたいくらい」 面白そうに、あむって言いながらキスをされる。 「・・・んっ、ふ・・ッんんっ!」 同時に、スルッと怜二の手がショーツの中に入ってきて、溝の辺りを撫でてくる。 もうソコは既にかなり濡れてた事は自分が一番知っていたのだけれど・・・・・・ 「余裕な事考えてる割に、ココはすごいことになってるよ?」 うぅ、言わないでよう・・・ 簡単にショーツを剥ぎ取られた後、指が中に入ってきて一気に思考が停止する。 「・・・ふぁ、・・・ぅ・・・」 「スゴイね、2本も入っちゃった。・・・分かる? 第二関節まで入ってるの」 そういう細かい解説はやめて欲しい・・・。 でも抵抗が出来ない。 言葉も悲鳴みたいなえっちな声ばっかり出てきて、何にも言えない。 中でメチャクチャに動かれて、ソレは一気にやってきた。 「・・・あぁ、・・・あ、あ、あ、・・・ッく、あああんッッ!!!」 頭の中が真っ白に弾けながら、必死で怜二にしがみついた。 彼はビクビクしてる私の中に指を入れたまま、顔中にキスを降らせていく。 「・・・ん、・・・・・・んぅ・・・はぁ、はぁ・・・・・・」 ぐったりとしてすっかり放心状態。 けど、今度はいきなりソコを舐められて一気に正気を取り戻す。 「ひゃう・・・ッ!」 指と舌でぐちゃぐちゃに掻き回されて、またどうしようもないくらい体がビクビクしてくる。 蕾を口に含まれたり、舌を差し込んだりして、目の前の反応を楽しんでいるようだ。だが、敏感になりすぎた部分はあっという間に頂点へと押し上げられていく。 もう、これ以上は・・・ッ 「・・・・・助け・・・・も、やぁ・・・お願・・・いッ!」 頭を左右に振って一生懸命快感を逃そうと思っても、自分では全くコントロールできない。 懇願するような気持ちで、愛撫に熱中している怜二に奮える手を伸ばす。 またきちゃうっ 目をギュッと瞑った瞬間、絶妙のタイミングで怜二の動きが止まった。 はぁはぁと、自分だけ荒い呼吸をしながら、必死で気持ちを落ち着ける。 だけど、足を持ち上げられてキスされた瞬間、怜二が中に入ってきて、その圧迫感に息が止まりそうになった。 「はぁんっ・・・ぅん・・・ッ」 見つめられる激しく熱っぽい情熱的な瞳。 それと同じような彼の動きに翻弄され、追いつめられていく。 ぎしぎしとベッドが揺れて、その音が早くなればなるほど自分が保てなくなる。 「まりえ、さんッ、・・・・・・っふ、やば・・・・・・良すぎ・・・・・・オレ、あんまもたない・・・ッ」 「・・・・・・れい・・・っ・・・ッはぁ、・・・・あぁッ・・・!」 もがくように怜二の背中に腕をまわすと、しっかりと抱きしめてくれた。 まるで二人で一人みたいにピッタリと合わさってて、どんどん解け合っていくカンジ。 「オレを見てて・・・ね・・・ずっと、・・・ッ・・・」 熱っぽい眼差しは、これ以上ないくらい色っぽい。 スゴク好き だいすき 「・・・あっ、あぁんっ、あ、あああああっっ」 私の体がガクンと跳ね上がった瞬間、怜二の体も奮えて、骨が折れるんじゃないかってくらい強く抱きしめられた。 このままバラバラになるのもいいな、なんて頭の隅で思いながら。 それから・・・・・・ どれくらい時間が経ったんだろう。 暫くすると怜二が顔をあげた。 驚いたことに怜二の瞳には涙が溢れていて、 次から次へとこぼれ落ちていく。 ポロポロと、ガラス玉みたいにキラキラした涙が・・・ 男の人の涙なのに、何でこんなに綺麗なんだろう・・・ 引き寄せられるように、怜二の涙を唇で吸い取っていきながら、何となく、怜二が私に同じようにする気持ちがわかった。 でも、何故か怜二はきょとんとした顔で私の行動を見ている。 あれ? もしかして、 自覚ない、とか? 「・・・怜二の涙、しょっぱいね」 「エッ!? ・・・ぅわっ・・・っ」 やっぱり驚いてる。 泣いてるって知らなかったみたい。 顔を真っ赤にして手で顔を隠して。 「まりえさ〜ん、恥ずかしいから見ないでッ!」 「やだ、いつも泣くの私ばっかり、たまには怜二の見せて欲しいもの」 ベッドの端まで転がりながら逃げる怜二の上に乗っかって、思わずはしゃいじゃう。 こんな怜二、滅多に見れないもの。 「男の涙なんかダサ過ぎだよっ、最悪〜〜っ! まりえさんたら、勘弁してってば」 ちっともダサくなんかないのにね。 逆に感動しちゃったのに、でもこれ以上苛めたら後が怖いからやめよう。残念。 「あ」 ふ、とそこであることを思い出した。 怜二も何だって言う感じで、恐る恐る顔をあげる。 「ところで、公園の思い出ってなに?」 それは、ずっと聞きたかった事。 今日だってあの公園にずっといたのは、何か大切な思い出があるからに違いないと思う。 私は全く思い出せないんだけど・・・二人の思い出なら知りたいもの。 けど、怜二はくすくす笑うだけで教えてくれない。 「いいもん、あおいに聞いてみるから」 「・・・多分、聞いても教えてくれないよ?」 「あっ、やっぱりあおいも知ってることなんだ!!!」 「まぁ、ね」 そう言うとまた楽しそうに笑う。 なんなのかしら? そんなに楽しい思い出なの? 「絶対聞き出すんだから、あの子は怜二みたいに隠し事しないんだから」 「そうかなぁ?」 もう、何で怜二ばっかり思い出たくさん持ってるんだろう ちょっと悔しくなっちゃう。 でも今は、怜二の幸せそうな顔が見れて嬉しいな。 二人でいっぱい幸せになりたい。 だから、 これからも、ずっとずっと 一緒にいようね。 そんな気持ちを込めて、私はもう一度怜二にキスをした。 2003.3.28 了 あとがき&番外はこちらから Copyright 2003 桜井さくや. All rights reserved. Never reproduce or republicate without written permission. |