朝一番に目覚めるのは、殆どが僕の方だ。
なんてったって目覚まし時計が鳴る前に起きちゃうからね。
早起きが出来るのは僕の特技だって華ちゃんは言う。
今日もいつも通り目が覚めて、
腕の中にはあどけない顔で眠りに落ちたままの華ちゃんがいる。
僕は顔にかかる華ちゃんの髪の毛を手でよけて、やわらかいほっぺたをやんわりと撫でた。
触り心地はサイコーでつい何度も触ってしまう。
「・・・ん」
少しだけ意識が戻りかけたのか、華ちゃんは身じろぎをした。
目が覚めちゃったかな、とその様子をじっと見つめた僕は、僅かに息を潜める。
だけど、すーすーと規則正しい寝息へと変わって・・・
今度はそのちっちゃな唇へと意識が向いた。
ぷるぷるでやわらかそうなピンクの唇はほんの少しだけ開いていて、魅入られてしまったかのように、僕は顔を近づけていく。
ぺろ・・・
あまりに美味しそうで思わず舐めてしまった。
思った通り、その唇はうっとりするくらい甘くてやわらかくて。
「・・・ぁ・・・ん」
吐息混じりで聞こえた僅かな声。
堪らなくなって、その甘くてやわらかな唇を塞いだ。
全部全部味わいたくて舌を差し込み、自分の好きなように何度も絡める。
こまったな・・・
これ以上キスしたら止まらなくなっちゃうよ。
そう思っても止まらないものは止まらない。
僕の行動はエスカレートする一方だ。
「・・・・・・ん・・・っふ・・・ん」
目が覚めるのかもしれない。
ちょっと苦しそうに喘いで、睫毛が震えている。
そんな姿にまで煽られて、どうしようもなく欲情してしまう僕は変なのかな。
華ちゃん、早く目を覚まして
「・・・あ・・・ぅ・・・っ・・・ん・・・、・・・・・・っ、ん・・・?」
僕の願いに応えるように、華ちゃんはうっすらと瞼を開けた。
何度か瞬きをするうちに、くちゅくちゅと音を鳴らしながら味わうように唇を塞ぐ僕に気づいたらしい。
びっくりして固まっているのがわかる。
僕はゆっくりと唇を離して、華ちゃんを見つめた。
「おはよう」
「・・・・・・おはよ・・・」
頬をピンクに染めて。
もう何が起こってるかわかるよね?
「・・・あの・・・・・・パパ・・・・・・」
「華ちゃん・・・・・・ね、ダメ?」
「・・・・・・・っ・・・」
華ちゃんは僕のちょっと切羽詰まった様子に気づいたらしい。
顔を真っ赤にして、目を潤ませていく。
「・・・・・・あの・・・えと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・強く・・・しないでね?」
ほんの少し小首を傾げて。
僕は返事のかわりに、もう一度キスをする。
甘い甘い、その唇に。
だいじょうぶだよ、
今日はお休みで、誰との約束もないでしょ?
朝食も昼食も、何なら夕食だって僕がつくるから。
家事全般、今日は僕がやるから。
だから、ちょっとだけ衝動のまま───
「・・・あっ、・・・パパぁ・・・っ」
ちょっとだけ、いいよね?
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