『TWINS』

○第12話○ 両想い【中編】







「愁くん、ジャ〜ン、バスローブ! ゴージャスっぽくない!?」

 真っ白なバスローブを着て、どうだどうだと愁の目の前でクルリと一回りする。
 愁は、その様子があまりに子供っぽいので思わず噴き出してしまった。

「そうだな〜、それでブランデーグラスとか持ってたらちょっとソレらしいけどな」
「だよね〜〜っ」

 こんな場所でもはしゃげる鈴音がカワイイ。
 そう思い、愁はベッドから起きあがると彼女に近づいて軽くキスをした。
 目の前の鈴音のいい匂いを感じ、とても幸せな気分だ。

「・・・あれ? ・・・・・・ね、ねぇ、愁くん。その顔どうしたの?」
「顔? 何か、変か?」

 何のことだろうと思い、自分の顔を触ってみる。

「・・・っ」

 右頬に痛みが走った。

「あぁ・・・・・・智に殴られた」
「えぇ!? また!?」
「・・・今度はオレも殴ったけど」

 そう言えば久々に兄弟喧嘩をしたな、と思う。
 容赦なく本気でとっくみあいをしたのなんて幼い頃だってなかったかもしれない。

「ま、そんなの今はどうでもいいじゃん、早くしようっ♪」

 嬉しそうにバスローブを脱がし、首筋にキスをする。
 それだけで甘いものが広がるような気がした。

「んっ、し、愁くんは入らないの?」
「だって、家で入ってきたし」
「えっ?」
「それにさ、家を出る前に母さんに思いっきり水かけられたから、キレイだと思う」

 ・・・どういうことだろう?
 沙耶さんが、愁くんに水をかける?
 一体何をしていたのかさっぱり内容がわからない。

 でも、なるほど、と思った。

 愁からはボディーソープとシャンプーのいい香りがずっとしていたし、服や髪が湿っているのはどうしてだろうか、とずっと思っていたのだ。


「リンの胸、もう固くなってる」
「えっ、やだぁっ」

 顔を真っ赤にしてふるふると首を振る。
 愁は彼女の胸を美味しそうに口に含み、苛めるように何度も舌でいたぶった。
 その度に悲鳴をあげ、何度も体が跳ねる。
 愁のすること全てに反応を見せてくれるので、彼自身楽しくて仕方がない。

「リンてさ、えっちな身体だよね」

 嬉しそうにベッドに押し倒し、顔中にキスを降らせる。

「えっちじゃ、ないもん」

 軽く睨んで口を尖らせる。
 怒った顔も可愛らしい、そう思いながら身体中に手を這わす。

「だって、もう我慢できないみたいだよ?」

 耳元で囁かれながら、彼の手が鈴音の下腹部に降りていき、突起を指で弾いた。
 ビクリと身体が奮え、鈴音の瞳が潤む。

 蕾を優しく擦り、中心に指を突き立てる。
 そこはもう既にかなりの潤いを帯びていた。

「はぁっ・・・あ、・・・ふぅ・・・」

 グチュグチュと淫猥な音を紡ぎだし、身体を捩る姿は、もっともっととせがんでいるようにも見える。
 愁は彼女の足を大きく開き、顔を近づけた。

「あっ、ダメッ、それはやだぁっ!!」
「やじゃないの、この前見られたんだから今更だろ」
「やだぁっ」
「そう言いながら、随分感じてるみたいだけど?」

 指で愛液をすくい取り、それを彼女に見せつける。
 驚いた鈴音は顔を真っ赤に染め、ぷいっと目を逸らした。
 その隙に愁は顔を埋め、蕾を口に含み、彼女の中心部を一気に責め立てる。


「きゃあっ」

 指も舌も差し入れ、ぐちゃぐちゃに掻き回される。
 恥ずかしくてどうしようもないのに、快感も止まらない。

 こんな事をされては一溜まりもない。
 すっかり愁のペースに持ち込まれて。

 とにかく彼から与えられる全てが自分を狂わせるのだ。

「あ、あんっ、・・・あっ、ああん」

 カワイイ声で鳴く姿はこの上なく愁を高ぶらせた。
 彼女の愛液をズルズルと吸いあげ、極限まで彼女を追いつめる。

 鈴音は、簡単にあまりに呆気なく愁に翻弄されてしまい、余計なことを考える隙など与えられず、既に息をするのも苦しいほどだった。

 身体がヒクヒクと痙攣しだし、限界が近い。
 彼の目の前で中心部をひくつかせて何度も身体が跳ねる。
 愁はその様子を少しだけ楽しんで、彼女の秘部から顔を離した。


「・・・はっ、・・・はぁ、はぁ」


 そこで彼はやっと自分の服を脱ぎ、手早くゴムを装着すると鈴音の上にのしかかる。

 目の前で見る愁の表情はやはり余裕そのもの。

 どうしてこんなに余裕なんだろうか。
 やはり、経験がそうさせるのだろうか・・・

 胸の中を奇妙な感情で支配されつつ、しかし、そんな事も考えていられないほどの激しいキスで翻弄される。
 口膣を貪られ、性感を刺激するような愁のキス。

「んふぅ、・・・ん、ん・・・」
「・・・カワイイ、リン、大好き、オレを見て、沢山気持ちよくしてあげる」

 言葉と同時に彼がじわじわと中に入ってくる。
 すっかり解されたソコは簡単に彼を受け入れ、ゆっくりと挿入される感覚は鳥肌がたちそうなほど気持ちの良いものだった。

「愁くんっ、ああんっ」

 自分の存在を主張しながら愁が突いてくる。
 その度に身体をガクガクと奮わせ目尻に涙まで溜めて乱れ鳴く。
 しっかりと愁の首に腕を回し、何度も彼の名前を呼んだ。


「・・・ん、んっく、あん、いやぁ・・・っ」

「・・・リン」


「ああんっ・・・・・・っ! 愁く・・・っ!!!」


 弓なりにしなる鈴音の身体。
 既に限界まできていた鈴音は、何秒も経たないうちに呆気なく頂点に達してしまった。

 その様子を満足そうに眺めながら、彼女の足を大きく開き、更に深く愁の存在を感じさせる。

「カワイイ、大好き。オレのリン。もう誰にもやらない」
「・・・はぁ、はぁ、愁く・・・」

「ねぇ、リン。オレが好き?」

 背中に腕を回されギュウっと抱きしめられる。
 まるで一つになってしまったみたいに。

「・・・ウン、愁くん、だいすき」

 彼女のその言葉に堪らなくなったらしい愁が、貪り尽くすようにキスをする。
 何度も腰を突き上げられて、塞がれた口の間からくぐもった声で悲鳴をあげ、何も考えられなくなっていく。
 先程イッたばかりだというのに、もう限界が近い。

 一体自分の身体はどうしてしまったのだろう、相手が愁だと狂ってしまったのではないかというくらい変になる。


「はぁ・・・っ、リン、大好き」

 耳元で呪文のように幾度も繰り返される愁の告白。
 全てが満たされていく、愁でいっぱいになる。

 彼の方も、鈴音を身体中で感じることが出来て奮えがくるほどだった。


 たまらない、もっともっと彼女を手に入れたい。

 ずっとこうしたくて、
 ずっとこうなりたかった。

 目の前で悲鳴をあげながら必死で抱きついてくる鈴音の腕。

 もっと近くに行きたい。

 渇望は更に彼女を追いつめ、自分をも追いつめる。
 お互い限界を感じながら愁はもう一度鈴音にキスをして、ピッチを早めた。


 目の前が霞んでくる。


 ───リンが愛しい。
 好きで、大好きで堪らない。


 こんなえっちな姿、

 もう誰にも、オレ以外見せてやるもんかっ。



「・・・あぁん、・・・んっく、も、だめぇ!」

「いい・・・、よ、一緒に・・・っ」


 勢い良く奥まで叩き込み、その衝撃で鈴音が一気に頂点に押し上げられる。


「あぁっ、あーーーっっ!!!」


 身体を跳ね上げて、愁を締め付け彼女の身体がビクビクと奮えている。
 その刺激で程なくして愁も限界を迎えた。

 脳天が弾け飛んでしまいそうな程の快感に、全てが流されていくようだった。




「・・・あっ、はぁ・・・はぁ・・・・・・」

 彼女の上に倒れ込み、ぎゅうっと抱きしめる。
 鈴音もそれに応えるように愁の身体を抱きしめた。

 どちらのものとも分からない心音がドクドクと脈打っている。
 それすら心地いいものに感じた。


 暫くそのままで身動き一つとらずにじっとしていたが、やがて愁が身体を起こし、鈴音の隣にゴロンと寝転がった。

 彼女を見つめ、何度も頬を撫でる。
 鈴音は撫でられる感触がとても気持ちが良くて、目を閉じながらそれを受け入れていた。


「・・・リン」

 うっすらと目を開けて、隣の愁を見つめる。
 彼は幸せそうに微笑んでいた。

「リン」
「・・・なぁに、愁くん」

「呼んでみただけ」

 言いながらついばむようなキスを何度もする。
 彼に抱き寄せられ、胸に顔を埋めるとなんだかとてもホッとした。


「リン」


 愁は、何度も何度も彼女の名前を呼び続けた・・・・・・





後編へ続く


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