『TWINS』番外編

○番外編1○ 二年分の宿命!?(後編)







 鈴音の部屋に入ると、愁はベッドの上に彼女を横たわらせた。
 愁は彼女の上から下までを一望すると、鈴音の横に腰をかけて楽しそうに笑う。

「なぁ、この布きれ、つけてるの気持ち悪いだろ。あ〜あ、こんなにぐっしょり濡らしちゃって」

 スカートの中に手を差し入れて中心を撫で上げると、鈴音は『ん』と小さく叫んで身体を波打たせる。
 愁はその様子に満足し、彼女のショーツを一気に取り去り、ポイとそこら辺に放り投げた。

「リンってどんどんえっちになってない?」
「・・・っ、・・・そんなこと、ないっ!」
「そう? リンのココはもう欲しそうなんだけどな」

 蕾を指で弾かれ、ビクンと奮える。

「んぁ・・・っ」

 鈴音にはそれだけで自分の中からまた沢山溢れてくるのが分かって、恥ずかしくて涙が零れてきた。
 愁だけにはえっちな子だなんて思われたくない。

「・・・やぁ・・・見ないでぇ・・・っ・・・」

「リン?」

 あ、ヤバ・・・泣いちゃった?
 ちょっと苛めすぎたかな

「ば〜か、いいんだよ、それだけリンがオレのする事に反応してくれてるって証なんだから」
「・・・で、もぉ・・・やだ・・・」
「やじゃないの。リンはオレの事好きだろ?」
「・・・ん」
「だからこうなるんだよ、オレはそれが分かってスゴイ嬉しいんだから、・・・分かったか?」

 愁は鈴音の頭をくしゃくしゃと撫でて、彼女を安心させようと優しく微笑んでキスを落とした。
 それはかなりの効果をもたらしたらしく、鈴音は小さく頷いて、微笑を返してくれた。

 愁はホッとして息を吐き出し、

「オレもさ、リンが好きだから欲しくて欲しくてたまらないんだよ」

「・・・・・・ぁっ・・・ん」

 彼女の服を全て取り去り、再びあちこちに愛撫を施し始める。


 だがしかし、

 彼の手の中で何度も快感に打ち震える姿を目にしては、流石の愁もこれ以上は抑えが効かなくなってきた。


「愁く・・・んっ」

 ねだられているかのような濡れた瞳を向けられ、気分は最高潮、限界ギリギリ。



「・・・っ、・・・挿れるよ」

「あぁあっ・・・っぁああぁあーーーっ!!」


 十分に解したソコに一気に突き入れた瞬間、鈴音は身体を弓なりに逸らして愁自身を強く締め付けて掠れた悲鳴を上げた。



「・・・・・・あぁ・・・ぅあ・・・はぁ・・・ぁっ・・・」


 少しして、彼女はクッタリとベッドに沈み込んでしまった。
 愁は驚きつつも、それ以上に彼女の反応が嬉しくて楽しくて仕方ない。

「もしかして、挿れただけでイッちゃった?」
「・・・んっ、ちがっう・・・もんっ」

 嘘を吐いているのがばればれなのだが、愁は鈴音の嘘に乗っかってしまおうと意地悪そうに目を細めた。

「そうか、じゃあ動くよ」
「あっ、・・・やっ、待ってッ・・・・・・んんっ、あぁん」
「イッてないんだろ? なら平気じゃん」
「あっあっ、そう、だけどぉ・・・や、やぁっ、愁くぅ・・・んっ」


 今日の鈴音は一段とスゴイな。
 これもオレの努力の賜物ってヤツだけど。

 愁は次第に冷静さを欠いた頭の中で、そう思った。



 彼は鈴音とつき合い始めてからというもの、隙を見つけては彼女を抱いていた。
 だが、鈴音にしてみれば、智とつき合っていた頃は、この行為をそんなに頻繁にするものだなんて思ったことすらなく、その違いに最初の頃は随分戸惑っていたようだが、いつも彼のペースにはまり好きなようにされてしまい、その度に彼に溺れていく。

 愁はこの手の中に彼女がいるということが幸せでならなかった。
 自分の身体無しではいられないようにしてやりたくて、何度も彼女の中に自分を刻みつける。自分自身そうしていないとおかしくなってしまいそうだった。

 今も突くたびに愁を呼ぶ鈴音が愛おしくて壊してしまいたい。


「・・・愁くんっ、あん、あっ、愁くん」
「リン、大好き。もっとリンを見せて、オレだけに全部見せてっ」
「あぁっ、愁く・・・っ、わた・・・も・・・すき・・・っ、愁くん、愁くん」

 無意識なのだろう、腰を揺らして涙を零しながら愁にしがみつく。
 あどけない少女の顔をしながら、こんな風に乱れる。
 それが堪らなくて、愁は鈴音の胸を揉みしだきながら、舌を這わせ甘噛みをして、彼女の身体の至る所に赤い痕を付けた。
 その都度締め付けがキツくなり、愁からも次第に余裕が消え去り、切羽詰まったものになっていく。

「・・・・・・リン、オマエ・・・良すぎるって・・・っ」

 愁は内心舌打ちをした。
 まだまだ彼女の中を堪能したいのに、もっともっと啼かせたいのに、もう本能のままに腰を動かす事しか出来ない。
 これでは今すぐにでも爆発してしまいそうなのに。


「ああっ、やぁっ・・・あっ、愁くん、も・・・だめっ、あぁっあ、あ、あ、あっ」
「リン、・・・ッリン」

「っ、あぁっ、・・・っぁっん、あああーーーーーーーーっ!」


「・・・っく・・・っ」


 彼女の再奥を突いた瞬間、鈴音は高みへと押し上げられて絶頂を迎えた。
 その少し後に愁も限界を迎え、自身を解き放ったのだった。





 ───余裕なんて、ホントは全然ない。

 好きで好きで、好きすぎて、


 リン無しじゃいられないのは、オレの方だ・・・・・・















▽  ▽  ▽  ▽


 それから、どれほどの時が経った頃だろうか・・・



「愁くんのアホ〜!!!」


 鈴音の罵声が響き渡り、横にいる愁を力一杯押しのけた。


「ふ〜ん、今の今までそのアホに入れられて気持ち良すぎて喘ぎまくってたのダレだっけ〜?」

「だっ、だ、誰がぁあああっ!!!」


 真っ赤な顔してシーツを身体に巻き付け、怒りを露わにしている鈴音。
 そして、そんな彼女を見てニヤニヤとイヤラシイ笑いを浮かべる愁。


「照れるなよ、もう一回って言ってるだけじゃん」
「バカ〜〜〜っ!!! エロエロ大魔人ッ」
「大いに結構、だからさ、残りのゴム3個も綺麗さっぱり使っちゃいたいんだよな〜〜っ♪」
「いやぁっ、何でそんなに持ってきてるのぉッ!? それじゃ、あと1回じゃなくてあと3回じゃないっ!?」
「あ、バレた?」
「きゃあっ!?」


 ・・・・・・・・・・・・今現在どんな状況なのか、おおよその検討がついただろうか。


 愁は鈴音に覆い被さり、本日数度目の行為に及ぼうとしていた。
 だが、鈴音の方は体力的にもかなりの限界で、必死の形相でそれを阻止しようとしているのだ。

「リンだって気持ちイイの好きだろ?」
「そういうのを口に出さないでよぉ!! 大体ね、愁くんが1回終わるまで私が何回・・・」

 そこまで言って、思わず自分も過激発言をしそうになったことに気づき、両手で口を押さえる。
 だが、それを見逃す愁であるはずもなく、

「何回? なに?」
「・・・・・・べつに」

 確実に攻められる。


「オレが一回イクまでにリンって・・・何度イクんだっけ〜♪」

「・・・〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」


 自分が寸前で止めた筈の言葉を言われてしまった。
 しかも、楽しそうに。


「何だよ怒る事じゃないだろ〜? 男が下手くそでイケないってんならまだしも、大当たりだったって喜べよ」

「な、なにがっ!! もうしないんだからっ! ぜ〜ったいしないんだからね!!!」


 鈴音の言葉に片眉をつり上げ、微妙に不気味なオーラを漂わせる。
 明らかに彼女の発言に不満を持ったらしい。

 だが、そんなのに構ってられないと、鈴音はプイッと横を向き、衣服を身につけていく。
 愁の方は裸のままで服を着る気もないらしく、鈴音の様子をジッと見ている。

「・・・・・・」

 鈴音は『無言の愁』というものがあまりに不気味で、段々と落ち着かなくなってきた・・・
 全部着終わった時点で流石に耐えられなくなり、

「お・・・怒ったの?」

 愁に声をかけてしまった。

 彼はそれをきっかけとしてニヤリと妖しげに笑い、真っ裸のままで鈴音ににじり寄る。

「な、なによぉ、・・・わ、わたし・・・もう寝るんだからぁっ!」

 こんなくらいでは愁から逃れられないとは分かっていたが、鈴音はバッと身体を反転させて布団に潜り込んだ。


 ・・・しかし、愁はそれ以上近づく気配がない。
 う〜んと空を仰ぎ何やら考えを巡らせている。


 暫し逡巡した後、

「仕方ないな、じゃあ、今日はこれで帰るよ」

「えっ、ホ、ホントっ!?」

 半泣き状態で助かったと言わんばかりに愁を見上げる。
 そこまで喜ばなくても・・・と少々複雑な気分にはなったが、愁は今日のところはおとなしく引き上げることにしたようだ。


「ホント、琴絵さんが帰ってくるまでって思ってたんだけど、随分遅くなっちゃったし・・・それに明日学校あるしな」
「う、うんっ」

 愁は、やっと服を身につけ、着替えが完了すると、鈴音のいるベッドへと歩み寄り、彼女の頬に軽くキスを落とした。

「じゃな、おやすみ」
「お、おやすみなさい」

 彼はそのまま何事もなかったかのように、全くもって涼しい顔をしながら自分の家へと戻っていった。
 ベッドの上に一人残された鈴音は、漸く嵐が去ったことを理解し、大きく息を吐き出して心の底から安堵した。


 うぅ、身体が怠いよぉ。

 ばふん、とベッドに突っ伏し目を閉じる。

 ・・・・・・あと三回なんてどう考えても無理。
 諦めてくれて良かった・・・


 心から思う鈴音だった。



 ちなみに、琴絵が帰宅したのはそれから10分もしない頃だった。

 まるで愁が帰るのを見計らったかのような時間帯で、鈴音は苦笑せざるをえず、この日ばかりは帰宅の遅い母親というのも考えものかもしれない、と眠い頭の中ぼんやりと思った。



 だって、

 ママがもっと早く帰ってきてくれたら、こんな大変な目にあわなくて済んだかもしれない・・・っ








▽  ▽  ▽  ▽


 一方愁は、帰った早々風呂場に直行し、ご機嫌だった。
 最初は簡単にシャワーを浴びるだけで済まそうと思ったが、ちゃんとお湯に浸かろうという気分になり、たっぷり湯を張ったその中に身体を沈める。


「・・・ん〜・・・サイコー」

 多少の気怠さが残り、まだ鈴音の感触が残る心地いい時間を過ごしている間、愁の頭の中は既に別の事に目を向けていた。


「・・・狙うは教室と体育倉庫と屋上だよな、やっぱ」

 小さく呟いたその口元は、楽しそうにイヤラシイ笑いを浮かべている。
 どうやら智が鈴音と致した『生徒会室』という空間で繰り広げられるスリルを更に上回ってやろう、という彼の単細胞的発想は、教室と体育倉庫と屋上という場所で実行に移すという結論を導き出してしまったようだ。



 ま、今日の所はアレくらいで勘弁してやるよ。
 残りの3回の使い道も思いついたことだし。


 明日が楽しみだな〜










 ───翌日、愁が屋上へ鈴音を連れて行く姿があったとかなかったとか。

 どうやら鈴音の試練は終わりそうもない。






2004.12.7 了


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