『ワガママで困らせて。』

○第6話○ オレだけを困らせて【その5】










 最後に流花とエッチしてからまだ1週間くらいしか経ってないのに、オレの手は少しだけふるえていた。

 抱きしめたりキスしたりすることはあっても、最後まですることを知ってしまったオレにとって、突然宣告された『エッチ禁止令』は想像以上にガマンを強いるものだったらしく・・・・
 久しぶりに流花と出来ると考えただけで心拍数は急上昇、今この瞬間さえも沸き起こる興奮は並大抵のもんじゃなかった。


 そのうえ、最初にした時以来、オレ達の間では流花がゴムを着けるのが何となくフツウになっていて・・・
 今日は着ける前に触ったり擦ったり揉んだりと・・・何だかやたらと刺激してくるのだ。


「・・・あっ、あっ、・・・だめ、流花・・・そんな触ったら・・・・・・ッオレ、だめだって」

「・・・でも、テッちゃん、口でしかダメって言ってないみたい」


 そう言って、先っぽをぐりぐりされて。


「あっあっ、・・・だって・・・・・・」

「テッちゃん、気持ちイイ?」

「・・・ん、・・・うん。・・・でも・・・すぐイっちゃうから・・・っ」


 上ずった声で懸命に堪えてると、流花は何を思ったかソレをぎゅっと握りながら上目遣いでオレを見つめる。


「ね、テッちゃん。いつも・・・私の舐めるみたいに、テッちゃんの・・・舐めてみてもイイ?」

「えぇっ!? そ、それは・・・ッ」


 オレは流花の言葉にカーッと顔が熱くなるのを感じた。


 いわゆるアレだよな?
 それって、つまり、つまり・・・

 フ・・・フェ・・・


「イヤ?」

「・・・イヤって言うか、あのその・・・オレ・・・ッ」


 たぶん、そんなのされたら直ぐに出してしまう。
 今だって先走りがすごい。

 流花、よく触ってくれるなぁって・・・思ってるくらいなのに。



 でも、でも・・・・・・




「・・・ッッッ、・・・、・・・ゼヒッッ、オネガイシマス・・・・・・ッッ!!」



 所詮、オトコなんて欲望に忠実な生きものなのさ。




 流花はオネガイと同時にペロッと舐めて。
 子猫みたいに、ミルク飲むみたいに・・・ペロペロ舐めて。

 アイスみたいに・・・オレのをアイスキャンディみたいに・・・ぺろぺろして・・・ッ


 ・・・流花、なんてイヤラシイ・・・ッ!!!



 オレはその光景が刺激的過ぎて気を失うかと思った。

 そして、そのつたない舌の動きが余計にオレを煽り、快感が興奮となって、いつ爆発してもおかしくない状況は更に加速して、背筋がぞわぞわして何かがせり上がってくる速度が異常に速いのを感じる。


「・・・・・・あむっ、・・・フェッひゃん、・・・ひもちイ?」

「あっ、あっ、・・・だめ、るか。・・・オレ、イっちゃう、イっちゃうよッ、出ちゃう、咥えたらだめっ」


 あろう事か流花はパクリとソレを頬張って。
 オレは首を横に振って、生まれて初めての途轍もない攻撃に何とか堪えようと必死だ。

 だけど、普通に裸を想像するだけで興奮してしまうオレが、こんな大変な事態に陥ってガマン出来るかと言われたら、そんなの絶対無理なわけで・・・。


「はっ、はっ、・・・だめ、るかるか、だめ、だめだってッ」

「・・・はふっ、・・・へも、フェッひゃ・・・ひふも、わたひに・・・」

「それとこれとは・・・ッ、あ、あ、あ、っ、やっ、あぁっ、だめだって、離して離して、っ、・・・も、もう出る、っ、・・・・・・ああっ!!」

「・・・・・・ッッ、ひゃっ!!」


「・・・・・・〜〜〜〜〜ッッッ!!!!」








 ・・・・・・・・ちょー、・・・・・・・・・早いのなんのって・・・ッッ





 いや・・・堪えるなんてそもそも無理だったんだけど。
 それにしても、恥ずかしいくらいあっという間にイッてしまったオレ・・・・・・

 一応・・・出る寸前で流花の口をオレから離したんだけど。
 でも、口から出す瞬間にちょっと歯が掠って・・・その刺激が機動ボタンを押したみたいになって・・・・・・




「・・・・・・なんか・・・・・・いっぱいかかった・・・」

「わーーーーっ、ごめんごめんッ!!!」


 流花の顔に思い切りかけてしまったのだ。

 オレは大あわてでティッシュを取って流花の顔を拭く。
 とんでもないことをしてしまった、流花の顔にかけてしまった。

 何て事だ、何て事だ、流花の顔にオレのがぁあーーッ!!



「顔洗うか? ごめん、ごめん、間に合わなかった・・・ッ」


「・・・・・・う・・・ん。・・・・・」


 流花はビックリしてるみたいで、ちょっと呆然としてる。

 そりゃそうだよな。
 オレからこんなのがこんなにも出るなんて、顔にかけられるなんて、思ってもないことだよなっ


「・・・・・ビックリしたけど・・・・・・でも・・・、・・・」

「・・・う、うん」


「テッちゃんが・・・かわいかった・・・から、ヘーキかも・・・」

「は?」


 オレは流花の思考回路が理解出来ず、首を傾げるばかり。

 かわいいってナンダ?

 出したのがかわいいのか?
 オレのムスコがかわいいのか?
 それとも、他に流花の心をくすぐるミラクルポイントがあったのか?


「・・・・・・あの・・・流花・・・・・・、怒ってない?」

「ウン。・・・・・・テッちゃん」

「・・・うん?」


 流花は恥ずかしそうに頬を染めて。

 オレの首に抱きついて、小さな声で囁いた。


「・・・・・・も、・・・シテ・・・・・・おねがい・・・」


「・・・・・・ッッ」


 その瞬間、オレの興奮度は再び沸点に到達し、流花を押し倒して顔中にキスをした。
 首も胸も、おへそもその周辺も全部全部。

 それで、流花の下半身にも手を伸ばして・・・


「・・・・・・え・・・ッ」


 オレはその時初めて、ソコが凄いことになってるのを知ったのだった。



「・・・・・・流花・・・なんで?」

「・・・・・・」


 質問には答えず、流花はオレに抱きつく。
 顔が真っ赤だったのは絶対に気のせいじゃないと思う。


「・・・・・・だから、・・・シテって・・・言ったの・・・」

「・・・流花・・・・・・ッ」



 こんな事ってこんな事って、

 ・・・ホントにあるんだ。


 触らなくても、こんな風になる事ってあるんだ。


 オレの舐めて・・・こうなったのかな・・・

 何で流花はこんなに・・・可愛いことだらけなんだろう。


 オレは真っ赤になった流花の頬にキスをして、逸る気持ちを抑えつつ、ちょっとだけ身体を離した。
 いつも流花がしてくれるみたいに今日は自分でゴムを着けて、すぐにもう一度流花を抱きしめる。



「流花、・・・もう、挿れるから・・・」

「・・・ん、・・・、あっ、・・・あっ」


 小さく頷いたのをきっかけに、少しずつ・・・オレは流花に呑み込まれる。
 きゅうきゅうに締め付けて、オレを奥へと導くんだ。


 いつも熱いナカが、今日はもっと熱い気がして、いつもキツイのに、今日はもっとキツイ気がして。


「流花・・・すごい・・・・・」

「あっ、・・・あ、テッちゃ・・・っ」


 奥まで到達すると、堪らずオレの腰は動き出す。
 一度イッてるにも関わらず、せり上がってくる快感はとんでもなくて。

 思いの丈をぶつけるように激しく熱く流花のナカを掻き回した。


「あっ、あぅ、あんっ、あんっ、・・・テッちゃん、なんか・・・すごいの、すごいのっ」

「はっ、はぁっ、流花、流花・・・っ、、・・・気持ちイイ? ちゃんと、感じてる?」

「気持ち・・・イイッ、・・・イイよぅ・・・、テッちゃん」


 流花は何度も小さく頷いて、泣きながらオレの名前をたくさん呼んだ。


 そうだ、オレは何てひどいことを言ったんだ。

 こんなのが演技のわけない。
 流花がそんな事、出来るはずがないじゃないか。


 こんな顔、ホントに気持ち良くなきゃ出来るはずがない・・・ッ


 オレは何度も腰を振り、ただ腰を振るだけじゃなく、かき混ぜるように回したり角度を変えてみたりしながら、流花の反応を注意深く観察する。
 そのうち一際大きく反応する場所を見つけて重点的に擦ってやると、流花は一層大きな声をあげた。


「あーっ、あっ、あぁあっ、あーっ、テッちゃん、テッちゃん」


 やっぱりソコは流花には堪らない場所みたいで、流花の腰も自然とゆらゆら揺れてる。


 すごい、キツくて・・・
 あっという間に・・・全部持ってかれそうだ。


 オレは腰からせり上がるものをギリギリの所で押さえつけながら、何度も何度も身体ごと揺すって、流花の胸も首筋も赤い痕がつくくらい吸い付いて、数え切れないほどのキスをした。


 そうしているうちに、流花のナカがビクビクとふるえてきて・・・

 声も、表情も、とにかく流花の全部で、その瞬間が近い事を教えてくれてるみたいだった。


「あんっ、・・・あっ、・・・あ、あ、テッちゃん、も、だめ、だめなのっ」

「流花、・・・オレも、・・・もうイク・・・ッ、・・・っ」

「・・・あっ、あ、っあっ、あぁっ」

「はっ、はっ、流花、流花・・・流花・・・、い、・・・一緒にイこう・・・っ」

「・・・んっ、ウン、・・・ッテッちゃん、テッちゃん、・・・あ、ああ、あ、・・・ッ、あーーーッッ!!」

「・・・───ッ・・・んっ、あっ、・・・流花・・・、はっ、あ、・・・ッっく・・・───ッッ」




 最高に気持ちいい流花の身体を抱きしめて。

 流花も懸命にオレに抱きついて。


 激しく熱い絶頂に、オレ達は二人同時に呑み込まれる。




 こんな凄いことが世の中にあるって事を、少し前のオレは知らなかった。
 流花を好きだと気づいたばかりの、恐ろしく鈍いオレには想像も出来ないことだった。


 だから、出来ることならこっそり戻って教えてやりたい気分だ。



『これからお前は、もっと流花を好きになってキリキリするぞ』って。







「はぁっ、・・・・・・流花、・・・好きだ・・・、はぁっ、はぁっ、」


「・・・あっ、あ・・・はぁ・・・、・・・テッちゃん・・・・・・」


 オレは流花の口に何度もキスをして、尽きない想いに胸を焦がす。


 抱きしめるのもキスも、それ以上も全部オレだけに決まってると言った流花。
 この全てを独り占めしてイイなんて、こんなスゴイ事って無い。



「・・・・・・テッちゃん、・・・・」


「・・・・・・うん?」



「・・・私のぜんぶ、テッちゃんで満タンになっちゃった」




 流花が可愛くて可愛くて。

 オレはきつく流花を抱きしめる。



 たぶん、オレの方が満タンに違いないと思いながら・・・









最終話へつづく

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