それから2週間後。
中嶋と美幸は彼女の愛車・トヨタスポーツ800で姥島温泉へと向かっていた。
恋人同士の2人が休暇を合わせて取るのは課内では暗黙の了解となっていたが、
さすがに連休ともなると余計な詮索を呼んで色々と面倒だ。
そこでまず美幸が沖縄での友人の結婚式に出席するとして思い切って5日間の
休暇をとり、その間に中嶋が3日間の休暇をもぐりこませることによって
カモフラージュした。
出発前日まで季節外れの長雨が降り続いて大いに気を揉んだのだが、
当日になって前日までの雨が嘘のように晴れわたって格好のドライブ日和となり、
美幸自らが愛車を駆り出して早朝から快適なドライブを続けてきた。
休憩のため寄った道の駅で、中嶋は美幸にコーヒーを渡しながら気遣った。

「随分走ったし疲れただろ。ここからは俺が運転するよ」

中嶋もめったに乗ることはないが一応4輪の免許は持っている。

「ううん、平気。大丈夫よ」
「本当か? 無理しなくていいんだぞ」
「ええ。無理なんかしてないわ。本当に平気よ」
「それならいいけど・・・・ じゃあ疲れたらいつでも言ってくれ、代わるから」
「うん。ありがとう」
「それにしても晴れてよかったな。昨日まではこっちでも相当な土砂降りだったらしい」
「そうみたいね」

美幸はコーヒーを飲み干すと立ち上がった。

「行きましょう、中嶋くん」

道の駅を出てしばらく走り、国道から県道へと乗り入れると、
交通量が極端に減って対向車をほとんど見かけなくなった。
周囲の風景も一変し、時折垣間見える紅葉が見事な峠の山道を
うねうねと進んでいく。

「やっぱりこのあたりまで来ると車も少なくなるな」
「ええ、そうね」

姥島温泉はまさに隠し湯という言葉がふさわしい閑静な一軒宿の温泉だが、
それは言い換えれば、とてつもなく辺鄙な田舎だとも言えた。
普通車がぎりぎり行き違いができる程度の細い山道をもう30分ほど
走っているがまだまだ先は長い。

「あと1時間くらいかな」

中嶋がダッシュボードから温泉ガイドと地図を取り出して確認したその時、
前方の路肩に停まっているライトバンが見えてきた。
3人の男が立ち上がって大きく手を広げ、美幸は車を止めて声をかけた。

「どうされたんですか?」

3人とも20代後半くらいだろうか。
1人は背が高く、頼子が見たら舞い上がりそうな今風のイケ面だ。
そして2人目は何か格闘技でもやっていそうながっしりとした体躯の巨漢。
最後の3人目はやや陰気そうな目をした小柄な男だった。
背の高い男が前に進み出ると、外国人のように大げさに肩をすくめて言った。

「いやあ運転をミスって側溝にタイヤを落しちゃいましてね、
そしたらエンジンも急にかからなくなってしまってこのざまですよ。
ジャッキもないし、助けを呼ぼうにもここは携帯の圏外みたいで
もう完全にお手上げだったんですよ」

確かにライトバンは助手席側の車輪を2本とも側溝に脱輪させて傾いていた。
彼らの足元には何本ものタバコに吸殻が落ちていたが、いずれもほんのわずかに
吸われただけで、足で踏みつけれてもみ消されている。
美幸と言葉を交わしている最中にも男はタバコに火をつけて2、3回ふかしただけで
すぐにもみ消した。穏やかな口調とは裏腹にかなり苛立っているようだ。
美幸が中嶋を振り返った。

「中嶋くん、トランクからジャッキを出してきて」
「おう」

ジャッキを使って脱輪した車を回復させると、さらに美幸が言った。

「ちょっとエンジンを見せてもらっていいですか?」
「えっ? ええっ、どうぞ」

ボンネットを開け、エンジンを一瞥すると、すぐにそれがだいぶ年季の入った
ものであることに加え、メンテナンスも十分に行き届いていないことが見て取れた。
さらにエンストの理由を調べてみると、それは案外簡単に分かった。
「えーと・・・・ あっ、これね。中嶋くん、グローブとニッパと・・・・
あと襤褸切れがあったらお願い。それとさっき道の駅で買ったミネラルウォーターが
あったわよね。あれも持ってきて」
それらを中嶋から受け取ると、美幸は腕まくりをして手際よく修理にかかり、
ものの10分も経たずに顔を上げた。

「プラグの接続が切れてました。たぶん脱輪した衝撃で切れたんだと思います。
それとラジエターから水漏れもしてました。とりあえず応急処置をして水を足して
おきましたのでエンジンを掛けてみてください」

男が窓の外からエンジンキーを捻るとエンジンがうなりを上げた。

「おおっ! 掛かったっ!」

歓声を上げる男達。だが美幸は冷静に言った。

「ただ応急処置なのでそんなに長くは持たないと思います。
それにエンジン自体もかなり傷んでいるようなので、
ちゃんと全体をオーバーホールした方がいいと思いますよ」
「ええ、そうします。本当に助かりました、ありがとうございます。
そうだ、何かお礼をしなくちゃいけませんね」
「いえ、いいんです、お礼なんか。大したことじゃありませんから」
「でもそれじゃあこっちの気がすみませんよ」
「いえ、本当に結構です。困ったときはお互い様ですから」

美幸は丁寧にお礼を辞退し、中嶋を振り返った。

「じゃあ中嶋くん、行きましょう。あと1時間くらいよね」


美幸と中嶋の乗るトヨタスポーツ800を見送り、男達はバンに乗り込んだ。
彼らは高校時代からの悪友で長身のイケ面が大須賀武人、体格のいいのが鞘堂薫、
そして小柄な男が諏訪祐樹といった。

「助かったな。全然車が通らないから一時はどうなるかと思ったけど」

大須賀が安堵したように大きく息をついた。

「まったくだ。せっかくの計画がおしゃかになるところだったもんな」

鞘堂が大柄な身体を窮屈そうに運転席に納め、さらに続けた。

「それにエンジンまで直してもらえるなんてラッキーだぜ。
こりゃあ今夜の仕事(やま)も絶対うまくいくな」

大須賀と諏訪が目を合わせて苦笑した。チャド――鞘堂の渾名――は常に楽天的だ。

「まあ、確かに仕事の後にトラブってたらとんでもなかったな。
とにかくいったん戻ってエンジンの整備だ。確か県道に入るところに
自動車整備工場があったからな。それにどうせその仕事は夜になってから
なんだからまだ時間は十分にある」

整備工場でエンジンのオーバーホールを待ちながらたむろする3人。
鞘堂がもう一度諏訪に確認した。

「で・・・・ 本当に金はあるんだろうな?」
「しつこいな。俺は2週間前までそこでバイトしてたんだ。
間違いない、あそこの金庫にはたっぷりと現金が詰まってる。
あのオヤジは手元に常に現ナマを置いておきたいんだよ」
「それでオマエはそれをくすねようとして首になったってわけだ」

大須賀がこばかにしたように言うと、諏訪が憤然と顔をしかめて吐き捨てた。

「そりゃ朝から晩まで散々こき使われてたった日給8000円だぜ、
やってられっかよ。それにあの野郎、ホント渋ちんだったから、
溜めるばっかりで使いやしねえ。だからちょっとぐらいはくすねても
バチはあたらねえと思ったんだよ」
「でもまあ、警察に突き出されないだけでもよかったじゃねえか」
「そりゃあ、あのオヤジは体面を気にするからな。ついこの前テレビ番組で
紹介されたばかりでそんな恥はかきたくなかったんだろうぜ」
「まあ、いいじゃねえか。せっかくなんだからその溜め込んだお金をごっそりと
いただいて俺達で派手に使ってやればいいさ。金なんていくら溜め込んだって
使わなきゃ意味がないってことをその渋ちんオヤジに教えてやらないとな」

だが、ここまできて諏訪が急に不安げな表情を見せた。

「なあ、武人、本当に大丈夫かな? 今回は強盗・・・・ 今までとの悪さとは
全然違うんだ。これまでは何かあってもいざとなればオマエの伯父さんが・・・・」

大須賀の表情が一変し、諏訪を睨みつけて怒鳴った。

「伯父のことは関係ねえっ! アイツのことは二度と言うなっ!」

その勢いに怯んだように諏訪は視線を逸らした。

「わ・・・・ 悪かったよ」
「わかりゃあいい。予定通り計画は実行だ。それにだいたいこの計画を最初に
言い出したのは諏訪、オマエじゃないか。随分と消費者金融に借金があるんだろ?
いくらだっけ?」
「200・・・・ 利子も含めれば250万近くかな」
「返せるアテがほかにあるのかよ」
「それは・・・・」

諏訪が言葉に詰まったその時、

「お客さん、終わりましたよ」

整備員が近づいてきた。

「さてと・・・・ じゃあいくとするか。諏訪もいいよな?」

大須賀が念を押し、諏訪も重い腰を上げ頷いた。

「あ、ああ」


今度は大須賀が運転して3人は目的地へと向かった。
さきほど脱輪した場所に差し掛かると鞘堂が急に思い出したように言った。

「そういやあ・・・・」
「うん? どうしたんだよチャド」
「いやあ、さっきの女のことなんだけどよ」
「女? ああ、さっきエンジンを直してくれた女か?」
「ああ・・・・ なかなかいかした女だったと思わなかったか?」

諏訪がすかさず話に乗ってきた。

「あっ、それは俺も思った。確かに美人だったよなあ・・・・
それもテレビなんかによく出てるノータリンのバカ美人じゃなくて、
何かこう・・・・ 知的な感じがしてよ。それに結構スタイルも
なかなかだったぜ。胸もそこそこあったし、ウエストなんかも
きゅっと引き締まっててよ」
「おいおい、随分とよく見てたんだな。諏訪はああいうタイプが
好みなのか?」
「べ、別にそういうわけじゃないけど・・・・ なあ、武人だって
そう思ったろう? どっちかっていうとああいうのはもろ武人好みの
タイプだもんな」

諏訪が運転席に身を乗り出すように訊いてくる。

「えっ? あ、ああ、そうだったかな」

大須賀はそれほど気のないような返事をしたが実際は違う。
確かに諏訪の言うようにああいう知的でノーブルな美人は須賀のタイプだった。
だがそれより彼の目を惹いたものがあった。
美幸がエンジンの修理をしている間、はからずもその背後に立つことになった
大須賀はそれとは分からぬように彼女の身体を舐めるように凝視することができた。
全体的に均整の取れたしなやかな身体つき。バストは大きすぎも小さすぎもせず、
服の上からでもその形のよさが見て取れる。ウエストのくびれは何とも艶かしく、
セミロングのタイトスカートからは惚れ惚れするような美脚が伸び、引き締まった
足首へと繋がっていた。
だが・・・・ 何より大須賀の目を惹いたのはその美しいピーチ形のヒップだ。
伸縮素材のスカート生地が丸々と実った真夏の果実のような双球に張り付いて、
その生々しい形状が映し出し、エンジンを覗き込む美幸が腰を動かすたびに
クイックイッと蠢く様は、まさしく我を忘れて振るいつきたくなるような
光景であり、淫らな妄想を掻き立てるに十分だった。

「(へえ・・・・ いい尻してるぜ。たまんねえな)」

あの邪魔なスカートや下着を剥ぎ取り、4つんばいにさせた美幸をバックから
繰り返し刺し貫くシーンが何度も脳裏をよぎり、思わず背後から抱きしめたくなる
衝動に駆られて、それを抑えるのに苦労した。
いや、もしあの場に連れの男がいなかったとしたら・・・・
まちがいなくその衝動に従っていただろう。

「だけどホントにいかした女だったよな。ああいう女と一度くらいやってみてえもんだ」
「無理だよ、無理、チャド。あんないい女が俺達のことなんか相手にしてくれるもんか。
だいいち男と一緒だったじゃないか。どうに見てもあの2人は恋人同士って感じだったぜ」
「そうだよなあ・・・・ でもそうするとあんな冴えない野郎があの上玉を好き放題に
してるってわけかよ。ちぇっ、納得いかねえな」
「そりゃあ・・・・ まあな」

2人のやりとりを聞きながら大須賀はふと思い出したことがあった。

「(待てよ、あの2人はどこへ行くつもりだったんだ?
それにあいつらの車の中に確か・・・・)」

大須賀が急に車を止め、ハンドルに手を掛けたままじっと真正面を見据えた。

「そうか、そういうことか」

鞘堂と諏訪が訝しむ。

「うん? どうしたんだよ武人。何がそういうことなんだ?」

大須賀が2人を振り返った。

「もしかしたらさっきの女にまた会えるかもしれないぜ」
「えっ? どうしてだよ」

大須賀の思い出したもの、それは美幸達の車の中にあった温泉ガイド。
それはまさしくこの車のダッシュボードの中に入っているものと同じ、
姥島温泉を特集したものだ。そして美幸の『あと1時間くらいよね』という言葉。
間違いない、2人の目的地は自分達と一緒だ。
大須賀の瞳に仄暗い妖しい光が宿る。
先ほどの淫らな妄想が再び脳裏に蘇り、ほくそえんだ。

「間違いない。あの女には絶対会える。そういう運命なんだよ」

顔を見合わせ、首をかしげる鞘堂と諏訪。

「『運命』って・・・・ 何を大げさな。武人、オマエ何言ってるんだよ」

それには答えず大須賀はアクセルを踏み込み再び車を発進させた。

「なーに、今に分かるさ、今にな」


────────────────────────

中嶋と美幸は3人と別れてからさらに1時間ほど走ってようやく目的地である
姥島温泉椿荘に到着した。
駐車場に車を停め、宿へと足を向けると、車の音を聞きつけて現れた
人のよさそうな初老の男に出迎えられた。

「ようこそいらっしゃいました、中嶋様でございますね。
私、ここのあるじの岡山と申します」

いかにも老舗の旅館らしい風格のあるがっしりとした木の門をくぐり
玄関の中へと入る。
するとそこ掲げられていた『歓迎 中嶋様御夫妻 ご一行』と達筆で
書かれた大きな木札を見て真っ赤になる2人。

「ふ・・・・ 夫妻って!・・・・ なあ」
「え、ええ、そうね・・・・・」

そこで今度は老齢の女性に迎えられた。岡山の母親で大女将なのだという。
宿帳への記入を求められ、まず中嶋が住所と姓名を書き、美幸にペンを渡した。

「(中嶋様御夫妻・・・・ か)」

美幸は一瞬ためらった後、住所と姓は書かずに中嶋剣の「剣」という文字の横に
ただ「美幸」とだけ書いたが、やはり思い直して、住所と姓を書き加えた。
ついで現れた仲居はその宿帳を確認すると、訝しげに顔を上げ、中嶋に訊いた。

「あの・・・・ 部屋はおひとつでよろしいんですよね?
ご夫婦と聞いておりましたので」
「えっ! あっ、はい、か・・・・ かまいません」

中嶋が慌てて答え、ちらと横目で美幸の反応を見たが、彼女は一瞬うつむいただけで
特に何も言わなかった。

「そうですか、それではこちらに」

仲居に案内されたのは紫雲の間と名づけられ、本館とは別の離れのような
造りになっている純和風の落ち着いた雰囲気の部屋だった。
さらに部屋の外にぷうんと木の香が漂う総ヒノキ造りの露天風呂が
ついているのを見て、美幸が思わずはしゃいだように声を上げた。

「わぁ! すごいっ! テレビで見たのと一緒よ、中嶋くん」
「大浴場にも露天風呂はございますが、部屋つきの露天風呂があるのは
この紫雲の間だけですのよ」

仲居がさりげなく自慢し、さらに続けた。

「まだ夕食にはしばらく時間がありますし、よろしかったら近くを散策されてきたら
いかがですか? 紅葉が見頃ですし、今ちょうどいい時間ですから」
「ちょうどいい時間ってどういう意味ですか?」

美幸が尋ねると仲居が笑って答えた。

「行ってみれば分かりますよ」

2人は勧められるまま、渡された地図を頼りに散策に出かけた。
そして仲居がお勧めとした場所にたどりつくと、眼前に現れたその光景に
目を見張った。

「きれい・・・・」

流れ行く川が山に作るV字谷が西の方角にあって、空を切り取ったような三角形に
ちょうど夕陽が沈みかけていた。そしてその淡く柔らかい光が山の見事な紅葉を
さらに紅く鮮やかに輝かせているその様はまさしく絶景としか言いようがなかった。

「すごい・・・・」「ああ・・・・」

並んでその絶景に立ち尽くす2人。中嶋は美幸の横顔をちらと見やった。

「(小早川・・・・ 本当にきれいだ・・・・)」

交通課署員達からの信頼が厚いだけでなく、刑事課の徳野や警視庁監察官室の
木下かおる子警部補からも一目置かれるほど有能かつ向上心に富んだ警察官。
それでいて署内の誰もが認める美人でスタイル抜群、さらに家事は万能、
家庭的な性格と、まさしく非の打ち所がないとびきりの才媛。
大丸に言われるまでもなく、美幸が自分にはもったいないくらいのすばらしい
女性であることは誰よりも中嶋自身が分かっている。
だからこれまで、自分も美幸にふさわしい男に少しでも近づけるように努力してきたし、
これからもそれは続けていくつもりだ。
もちろんまだまだ自分に足りないところは多いかもしれない。
それでも自分は美幸を深く愛している。その気持ちだけは誰にも
負けない自負があった。
これからの生涯、美幸と共にずっと歩んでいきたい。
いや、彼女無しの人生などもはや中嶋には考えられなかった。
絶対に、何があろうとこの愛しい女性(ひと)を幸せにしてみせる。
いや、美幸を幸せにできるのは自分だけだ。そう確信できたからこそ、
今この瞬間があるのだ。

夕陽が三角の頂点へと沈みかけ、ようやく我に返ったように美幸が中嶋を見上げた。

「本当にきれいだったわね、中嶋くん、来てよかったわ」
「あ、ああ、そうだな。本当にきれいだ。だ、だけど・・・・」
「えっ? だけど、何?」
「こ、小早川も・・・・ いや、小早川の方がずっと・・・・ きれいだ」

不器用で照れ屋の中嶋から発せられた思いもかけない言葉。
それは心蕩かすような甘い囁きでも、ぐっと胸を打つ感動的なセリフでもない。
どちらかといえば陳腐なありふれたセリフだったかもしれないが、彼がその言葉に
どれほどの想いや意志、そして自分への愛情を込めているかが美幸にはよく分かり、
その真摯な思いが彼女の胸をうった。

「ありがとう・・・・ 中嶋くん」

美幸はそれに態度で応えた。くいと小首を上げ、揺れる瞳で中嶋を見つめて囁いた。

「中嶋くん・・・・ キスして」

美幸の方から積極的にキスを求めたのは初めてだった。

「小早川・・・・ きみを愛してる」
「私も・・・・ あなたを愛してるわ、中嶋くん」

瞳を閉じた美幸の身体がぐっと引き寄せられ、2人のシルエットが重なる。
沈みかけた夕陽の淡い光に照らされながら、2人は熱い抱擁と甘いキスを交わしていた。




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