世界樹の七葉T エルフは古城で黄昏れる5

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世界樹の七葉T エルフは古城で黄昏れる6を読む





 エミリアとシオンが目覚めたとき、時間は正午をすでに越えていた。
 急いで身支度を整え、二人は街道にでる。
「起きるのが、遅くなっちゃったわねぇ」
 エミリアは顔を赤くして、そう言った。
 昨晩、乱れまくった姿をシオンに見られたのが、彼女は恥ずかしくてたまらないのである。
「そ、そうですね。ボクのせいかも……」
 シオンも頬を紅揚させた。
「手をつないでいいですか?」
 シオンは思い切って、エミリアにそう頼んだ。
「うん、いいわよ」
 二人は顔を赤くしたまま、互いに手をつなぐ。
「ごめんなさい。ボクばかり、夢中になっちゃって」
 シオンは俯き、エミリアに謝る。
「いいのよ。初めてで、あそこまで頑張ったんだから。シオン君、筋が良くてびっくりしちゃった」
 昼間から性交について話していると、エミリアは股間が濡れてきてしまいそうになる。
(シオン君たら、明け方まで十回近くも出しちゃって。わたしなんて、その倍はイかされたわ)
 あまりに情熱的なシオンの責めを思いだし、エミリアは頬を緩ませた。
 童貞の少年から躰を求められ、一晩中、交わり続ける――美熟女エルフとして、これほど官能的な夜はない。
(わたしがシオン君を”男の子”から”男”にしたのね)
 エミリアは牝の充足感に満ちていた。
 男性が処女を散らすことに快感を覚えるように、童貞を奪うことで興奮する性癖が彼女にはある。
(エミリアさん、すごくエッチな顔してる……)
 エミリアに見つめられてシオンはどうしていいか迷ったが、見つめ返すことにした。
 彼女のうなじの匂い、腋汗の味、秘部から滲みでてくる蜜液の粘っこさ。
 それらを全部知っているのに、ただ見つめられるだけで彼は赤面してしまう。
 セックスをすれば、こうしたことに慣れるはずとシオンは想像していたが違った。
 現実としては、ますます相手と顔を合わせるのが恥ずかしくなる。
(昨日のエミリアさん凄かった)
 シオンは背中に微かな痛みを感じ、身をよじって悶えるエミリアの喘ぎが脳内再生された。
 彼女は絶頂したとき、シオンの背中に爪を立てたのだ。
 そのときの、快感に蕩けきったエミリアの表情が忘れられない。
 唾液、鼻水、涙……そういった普段の彼女からは想像できないものを垂らし、「おっ! おほッ!!」と声とも呼吸ともつかない言葉を吐き出して昇りつめていた。
 そんな恍惚の顔と、こうして手を繋いで歩いている日常のエミリアの顔が、シオンの中で重なって見える。
(また、この女(ひと)をイかせまくりたい)
 シオンは股間を滾らせ、エミリアの手を強く握った。
「わたしの顔見て、エッチなこと考えたでしょう?」
「そういうエミリアさんだって、さっきからエッチな顔になってます」
 瞳を潤ませたエミリアは軽くしゃがみ、横のシオンに顔を近づけた。
「……ねぇ、向こうの木陰でベロチューしてあげよっか?」
「うん……して」
 二人は街道の横に生えている木の下で抱きしめ合った。
 エミリアは道に背を向けているため、互いの身長と体格差からシオンは見えなくなってしまう。
 遠目からだとエミリアだけが、木の下に立っているように見えた。
 しかし、彼女の背後に回された別の腕によって、誰かに抱きしめられているのだとわかる。
「ちゅ……ちゅう…んむっ……ちゅ…れろれろん……」
 エミリアは自分の舌をシオンの舌に絡ませていく。
 口腔がシオンの唾で溢れてしまい、彼女はそれをごくりごくりと嚥下した。
「あ、あふっ……ン…シオンくぅん……だいしゅひいぃ…えふっ…はふぅ……」
 二人は舌先だけを押し付けあって、相手の舌の柔らかさを確認しあった。
 エミリアとシオンの瞳は濡れ光り、躰を求め合う牡と牝の顔になってくる。
(み、見られちゃう……わたしとシオン君がディープキスしてるの見られちゃう!)
 エミリアは後ろに、ローブを着た男の視線を感じた。
 その男はちらちらと二人の様子を窺ってから、街道を歩いてその場から去る。
「剣術の稽古してください」
 シオンの手がエミリアの太腿を撫でた。
 手はミニスカートの中に入り、なにかを探るように動く。
 そして彼はある一点をショーツの上から指で擦った。
「シオン君……あああっ……昼間からこんなことしちゃ駄目じゃない……んぁ……」
 陰核を下着越しに押され、エミリアは甘い声をあげる。
(街道の近くで、こんな男の子に手マンコされちゃうなんて……♥)
 エミリアはショーツの内側に、シオンの指が入ってくるのを感じた。
 直接、秘部を嬲られ、彼女の腰が小刻みに動きだす。
「んっ……こんなところでぇ……本当に駄目っ…………お、怒るわよ!? ……あぅ…んふっ……!」
 前のめりになり、シオンに抱きついたエミリアは、怒った口調でそう言った。
 だが、彼の指の動きを止めようとはしない。
 それどころか指を動かしやすいように足を開き、はしたなく蟹股(がにまた)になりながら愛撫を愉しむ。
 エミリアは四肢を痙攣させ、少年のぎこちない指戯に息を乱した。
「はぁはぁ……うん……そ、そこ…もっと指でズボズボしてぇ…んぐっ……あっ…あふぅ!」
 シオンに自分が気持ちの良い部位を伝え、エミリアは割れ目を濡らす。
 すでにぐっしょりとした彼女のそこは、いつでも少年を咥えこめる準備が整っていた。
「オマンコ、舐めさせて……ちゅちゅううううううッ…ちゅぴ」
 シオンはエミリアのミニスカートの中に顔を入れ、蜜液の染み出している割れ目を舐めた。
 エミリアの両太腿の間から、屈んだシオンが街道側に丸見えになっている。
 こうなってしまうと他人の目には、性交の前戯に酔いしれる二人にしか映らない。
「……わ、わたしのマン汁、おいしい? ……あああっ……とろとろになったマン汁おいしい?」
 エミリアは、ミニスカートに頭を潜り込ませているシオンに熱っぽく聞いた。
「おいしいよ。エミリアさんの……グチョグチョになってる」
 シオンの言葉に、エミリアは正面に抱きついている木の幹に爪を立てた。
 昨日まで童貞だった少年を、こんな卑猥なことを言わせるまでに手懐けてしまった――エミリアの背筋に若い牡を誑しこんだ快感が走り抜ける。
(シオン君、ごめんね。わたしのせいで……)
 純情で、なにも知らなかったシオンは戻ってこない。
 これからの彼は女性をただの憧れではなく、性交渉の相手として見てしまうはずだ。
「………剣術は夜だけじゃ足りないわ。おもいきり、ぶち込んでみなさい……はぁはぁ……」
 エミリアは辛抱できず、シオンの硬く反った陰茎をねだった。
(いやらしい。十四歳の男の子に、真っ昼間からオチンチンを自分の膣内(なか)にぶち込めなんて言ってる。しかも、こんな人通りのあるところで……)
 自分の淫らさに呆れるエミリアだが、肉体は正直だった。
 股間の割れ目はくちゃくちゃと音がするほど潤み、少年を咥えこみたくて仕方がないといった様子である。
 シオンは半ズボンのボタンをはずし、すでに勃起した陰茎を外にだした。
「……腰、落として…もっと下。そこで待ってて。今、入れるから」
 シオンの声は緊張で微かに掠れている。
 他人に性交を見られるかもしれないのはスリリングだが、エミリアの感じてる姿を誰にも見せたくないという相反した感情がシオンにあった。
(それでもボクとエミリアさんが、愛しあっているのを他の人に見せつけたい!)
 その淫靡な思いは、若いシオンならではのものだ。
 エミリアが自分の陰茎で骨抜きにされるのを、他人に晒したい――それは彼の歪んだ愛情表現である。
(わたしは、シオン君の硬いオチンチンで狩られた獲物なんだわ)
 美熟女エルフはシオンが欲求しているものを、即座に理解していた。
 そして彼女も、シオンの獲物であるのを他人に見せつけたいのだった。
「……ん…反ったオチンチン…入ってくる……!!」
 エミリアが腰を下ろしていくと、シオンの亀頭に触れた。
 陰唇を押し開き、幾重にもなった肉襞をめくり上げるようにしてそれは膣内を擦る。
 彼女の秘部に陰茎が根本まで、ずぶりと差しこまれた。
(大きさはそうでもないけど……この子が凄いのは、そういうのとはぜんぜん別の部分……んっ……んふぅ♥)
 シオンは女性の急所を探す、天賦の才があった。
 それは初めての性交で、エミリアを喘ぎ泣きさせるほどだ。
 おそらく当人は、それが特異な才能だと知らない。
(このままだとシオン君は絶対ヤリチンになっちゃう……将来、わたし以外の何人もの女を、このオチンチンで虜にするんだわ)
 これからシオンと性交するであろう、自分以外の女にエミリアは嫉妬する。
 彼の背中を両腕でエミリアはぎゅっと抱きしめ、いまだけはこの少年を独り占めしたかった。
(ほ、ほら……はぁはぁ…もう……わたしの弱いところ……オチンポの先っちょで突き始めてぇ……!)
 シオンの亀頭は、エミリアの膣内にある急所をとらえていた。
 彼は巧妙に責め方を変えてくる。
 亀頭全体でその部分を圧迫するように突くかと思えば、雁首を引っ掛けるようにしてピンポイントで擦ったりもした。
 そこに動きの緩急が合わさり、シオンは美熟女エルフの躰を快楽でねじ伏せる。
「エミリアさん……ボクたちのセックスを見物してる人たちがいますよ……はぁはぁ……」
 シオンがエミリアの右腕と胴体の隙間から街道を眺めると、若い男女の旅人たちがこちらを眺めていた。
 彼女はすでにそのことを足音から察知しており、興奮して蜜液が太腿に滴っている。
「んふぅ……もっと目立つように腰の動き……ああぁっ…速くしちゃおうかしら……はぁはぁ」
 エミリアはミニスカートの裾が翻るほど、腰を使った上下運動の速度を上げた。
「エミリアさん……腕上げて。腋を舐めたい」
「はふぅ……あああっ…シオン君の……エッチぃ♥」
 エミリアは対面立位の姿勢でシオンと繋がったまま、右腕を持ち上げる。すると牝のフェロモンが、ムワッとした蒸気となって腋の下から匂い立つ。
 彼はそこに舌を伸ばしていく。
「ちゅ……ちゅぷ……はぁはぁ……エミリアさんのここ、すごい匂いしてる」
 腋毛の生えていない腋下の味と匂いを、エミリアは少年に確かめられた。
 彼の興奮した吐息が腋にあたり、それだけで達してしまいそうなほどエミリアの躰は敏感になっている。
「あああッ……シオンくぅん…もっと、もっとしてええええ♥」
 その声は旅人たちにも聞こえたらしく、「おい、マジかよ!?」という男の声や「あんなとこでセックスしてる」という恥ずかしげな女の声があがった。
 それに触発されたように、彼女の腰振りは速さを増す。
 わたしとシオンくんが立ちながらハメてるの見られてる――彼女は自分がシオン専用の肉便器だというのを誇示するように、大きな尻を激しく揺さぶった。
「シオンくんがぁ…はふっ……はぁはぁ……ヤりたくなったらぁ…ああああっ…どこでもヤらせてあげるぅ……遠慮しないで……あはぁ…言って! ……ああああああ〜ッ!!」
 エミリアは瞳を潤ませ、シオンの耳元で言った。
 膣内を穿る陰茎はその言葉に反応したらしく、さらに反り具合がきつくなる。
 熱い鉄串で膣内の急所に快楽の焼き印を押してくるような感覚に、彼女は愉悦の声をあげた。
「このオマンコ……本当にすごいや………んっ…だんだん、ボクのオチンチンに馴染んできてる」
 エミリアの蜜壺が陰茎に合わせ、形を変えてきているのをシオンは感じた。
 昨晩に抱いたときよりも肉襞の吸いつきが良くなり、締めつける力も倍は違う。
 彼を大量に射精させる構造に膣内が変化したのだ。
 エミリアの名器ぶりに応えるように、彼の陰茎は蜜壺の中で暴れまわる。
 しかも、ただ暴れるのではなく、牝の急所ばかりを連続で抉り続けた。
「ひ、ひいいいいいいいいいいぃっ!? それダメっ! そ、それダメよ……キちゃうから! いひいいいいいいっ! キちゃうからッ!!」
 エミリアの喘ぎが、途端に慌ただしくなった。
「……んぁ…そんな締めつけないでエミリアさん……はふ、はふぅ……で、出ちゃうっ、出ちゃうよぉ!!」
 エミリアとシオンは正面から抱きしめあったまま、同時に絶頂へと達した。
「イ、イぐッ! イぐぅううううううううううううううッ!!」
 エミリアは、快感で全身から力が抜ける。
 シオンにもたれながら、彼女は甘美な痺れが爪先から脳天まで貫いたのを感じた。
「エミリアさん……すきぃ…だいすきだよぉ……んふっ……ん、うぅっ!!」
 快感で下りてきたエミリアの子宮に、シオンはびゅくりと子種を注ぎこむ。
 射精は四度にわたって続き、彼女は躰の奥まで精液漬けにされたのをはっきりと感じた。
 目から涙をこぼしているエミリアに、彼はそっとなにかを耳打ちする。
「シオン君が……そう言うなら♥」
 エミリアはゆっくりと振り返り、街道の旅人たちに正面を向かせた。
 そしてミニスカートを持ち上げ、陰毛の生えた股間を彼らに露出する。
 ドロリとした白濁が膣口から滲み、粘っこい糸を引いて地面に落ちていく。
「あそこの人たちに……中出しされたの見られてるぅ……♥」
 エミリアは顔を真っ赤にして、シオンに種付けされた自分の秘部を見下ろした。
「……やだぁ、やっぱり恥ずかしい! 二度とこんなことしないんだからぁ!」
 エミリアは羞恥に耐えられなくなり、後ろにいたシオンに抱きついた。
「もう、大丈夫だよ。これで見えないから」
 満足気なシオンは、恥ずかしがっているエミリアにマントをかけてやるのだった。


 二人は街道から外れた草原を野営地に決めた。
「今日も疲れたわねぇ」
 エミリアは熾した焚き火にあたり、上半身をひねってストレッチする。
「明日はどこまで進むの?」
「イーゴ村に行くわ。こないだ行った廃村の住民が移住したところよ」
 エミリアはハムを何枚も分厚く切り、焚き火にかけた鉄鍋に放りこんだ。
「今日は昼間にエッチしちゃったから、お腹空いてるでしょ?」
 頬を赤く染め、エミリアは隣に座るシオンに言った。
「うん、セックスするとお腹が減るんだね」
 エミリアの太腿にシオンの手が置かれる。
「だめよ。そういうことは、ちゃんと晩御飯を食べてからにしなさい」
 シオンは「はーい」とこたえ、エミリアの胴体に抱きつく。
「今夜はスタミナ切れにならないように、たくさん食べてね」
 照れた表情のエミリアは、焼きあがったハムを木の枝に刺してシオンに渡した。
 彼女の言葉が夜の性交を誘っていることを理解して、少年は股間を滾らせる。
「エミリアさんこそ、ちゃんと食べて。今夜も朝までヤるんだから」
 シオンにそう言われ、エミリアは背筋がゾクリとした。
(わたしったら、シオン君と今すぐにでもセックスしたいと思ってる……)
 平静を装ってハムを食べるエミリアだが、スカートの中のショーツはぐっしょりと濡れはじめている。
 シオンに「今夜は朝までヤる」と言われただけで、肉体が自然に彼を受け入れる状態になってしまうのだ。
(今夜はどんな体位を試されるのかしら)
(彼の少女のような甘い声で言葉責めされたい)
(濃い精液をわたしの口に何回も注いでほしいわ)
 エミリアは牝の視線でシオンのことを上から下まで、舐めるように見つめた。
 口の周りのハムの脂を舌で舐め取り、彼女はまだ食事中のシオンに身を寄せる。
「もう、食べちゃったの?」
「お腹空いてたから。脂が乗って美味しいわよねぇ」
 エミリアは艶っぽく何度も唇を舐めまわし、シオンが食べ終わるのを待つ。
 一秒でも早く、彼と繋がりたい――彼女がハムをすぐに食べてしまった理由はそれであった。
「ごちそうさ……んっ…んぶぅ……!?」
 食事を終えたシオンの口をエミリアの唇が塞いだ。
「エミリアひゃん……!? んちゅ………ちゅずずっ」
 口内を蠢くエミリアの舌に応じるように、シオンも舌を絡めた。
「だって、昼間に他の人に見られながら、一回ヤっただけだったじゃない。あれからずっと我慢してたんだから!」
 シオンはミニスカートをめくり、エミリアの巨尻をペチッと叩いた。
「きゃっ!? ……シオン君たらぁ、悪戯ばかりしてぇ」
 最初は微笑んでいたエミリアだが、ペチペチッと何度も尻を叩かれているうちに瞳が潤んできた。
「あ、ひゃっ! ひゃぐっ! ……シオンくぅん!!」
 エミリアの吐息が熱っぽくなってくる。
 秘部の様子を確かめるため、シオンはミニスカートの中に手を入れた。
 そこからはくちょくちという、ねちっこい液体が指にまとわりつく音がする。
 ミニスカートから出てきたシオンの指には、透明の雫が付着していた。
「すごいでしょ。下着が透けるくらい濡れてるはずよ」
 エミリアは自分のスカートをめくって、蜜液の染みた純白ショーツを見せる。
 そこは彼女の言うとおり、陰毛と秘部が透けるほど濡れていた。
 シオンは純白ショーツを下ろし、直接、彼女の割れ目を観察する。
「ねぇ、ここってなんていうの?」
 エミリアの秘裂の上にある突起の名称を、シオンは知らなかった。
 だが、そこを弄ると彼女が悶えるのは知っている。
 シオンは今夜もその淫らな突起を擦ってみた。
「あっ……あはぁ…そ、そこは……クリトリスっていうの……ん……あはっ!」
 エミリアはその恥ずかしい名称を言わされ、蜜液が奥からさらに染みだしてくるのを感じる。
(シオン君、本当になにも知らないのね。それで、わたしをあそこまで乱れさせちゃうなんて)
 クリトリスを知らないかと思えば、美熟女エルフを淫乱にさせるほどの腰使いで責めてくる。
 性知識と性技の差がここまで開いている少年は、とても珍しいとエミリアは思った。
「クリトリスいいの? ねぇ、いい?」
 シオンは剥けた陰核を指で擦り、質問してきた。
 その子供らしい純真さが、エミリアの興奮を刺激する。
 性に疎い男の子に牝の弱点を弄ばれる――それは彼女の性癖のツボであった。
「クリトリスいいのぉ……! ほら、ここをこうやって擦るの……きゃひいッ!」
 シオンの手をつかみ、エミリアは自分のクリトリスを何度も擦らせた。
 昨晩はエミリアの躰を貪ることに必死だったシオンだが、今晩は余裕が出てきたせいか、いろいろなことを聞いてくる。
「エミリアさんもオナニーするの?」
「シオン君の馬鹿ぁ……そんなこと女性に……んふっ……聞いちゃ駄目よぉ♥」
「教えて。そうしないと、触ってあげない」
 シオンは陰核を擦っていた指を離した。
 割れ目からは、指で弄るのを求めるように蜜液がだらだらと滴っている。
「意地悪ぅ……週に三回くらい。これでいいでしょ?」
「エミリアさんが、オナニーするところを見たい」
 シオンは目を輝かせてそう言った。
(人間の男の子って、どこまでエッチなのかしら。信じられない!)
 そう思ったエミリアだが、秘部はさらに潤んでしまう。
「いいわ。だけど、シオン君もわたしのこと見ながらオナニーして」
「ボクも!?」
「女にだけ、恥をかかせちゃいけないでしょ」
 エミリアは照れてはいるが、それ以上に十四歳の少年の自慰に興味があった。
 特にシオンのような美少年が自分を見て、どんなふうに射精するのか愉しみで仕方がない。
(女の子みたいな見た目のシオン君でも、オナニーするのよね)
 エミリアは指をクリトリスにあてがい、シオンがオナニーの準備するのを待った。
「すごい……そんなに激しく扱いちゃうんだぁ…あああああっ……」
 シオンは、硬く反ったペニスを扱きだす。
 それに合わせ、エミリアもクリトリスを擦りだした。
「おっぱい、触っていい?」
「いいわよ……んふっ」
 エミリアの巨乳を揉み、シオンは陰茎を上下に擦っていく。
 二人はどちらともなく正面のまま近づき、互いのオナニーを眺めた。
(あんなに、オチンチンを膨らませて……もう、先走り汁がでてきてる)
 シオンは仮性包茎のため、亀頭の先端しか外に露出していなかった。
 その部分から、透明な先走り汁が滲みだしている。
 エミリアのオナニー姿は格好のオカズらしく、すぐに果ててしまいそうなほど彼の手淫は激しかった。
 彼女は股を全開にして、シオンにすべてを晒している。
「はぁはぁ……ほら、見て。シオン君のオナニを見て、こんなに濡れてきた…あっ……あはぁ…んふぅ」
 エミリアはクリトリスを親指と人差し指で摘んだり、五本の指を揃えて割れ目全体を手の平で擦ったりした。
 シオンの下腹まで反り返った陰茎が、びくびくと震えている。
 そのたびに鈴割れから先走り汁が溢れ、エミリアの手の動きもそれに合わせるように速くなっていく。
「わたしのマンズリ、見たかったんでしょう……もっとよく見なさい……うふふ♥」
 エミリアに淫らな視線で見つめられ、シオンは快感に耐え切れず、昂った欲望をぶちまけてしまいそうになる。
 そんな彼の手を、エミリアは押さえた。
「イっちゃいそうなのね……んふ……中で射精(だ)させてあげる」
 シオンを仰向けに寝かせ、エミリアはそこに跨った。
 彼女はペニスを濡れそぼった陰唇にあてがい、騎乗位で腰を深くおろす。
「んっ……ああああああっ…オチンポ……かたぁい♥」
 エミリアが根本まで陰茎を咥えこんだとき、シオンは苦しげに喘いだ。
「と……止められないっ…でちゃうよぉ!」
 エミリアの肉襞のぬめりで亀頭を搾られ、挿入しただけでシオンは果ててしまった。
 膣内の精液を味わうように、彼女は口から舌をだして動かす。
 シオンは、さらに精液を蜜壺の深奥に撃ちこむ。
「わたしのオナニーを見て、熱々の精液が出ちゃったわね。はぁん……まだドピュドピュしてるぅ…ハメただけなのに……ん、んふっ…こんなに出しちゃって」
 エミリアとシオンの繋がっている部分から、大量の白濁がこぼれてきた。
 まるで沸騰したミルクのように、湯気が立ちそうなほどの濃さと粘度だ。
「今夜の剣術は、こうやって組み伏せられちゃったときのことを教えてあげる……ほらぁ、飲んで……ン……んふ」
 エミリアは真下にいるシオンの口に唾液を数滴、落としていく。
 彼は快感の吐息とともに口を開け、エミリアの唾液を飲みこんだ。
「ほらほらぁ。剣術の稽古、よろしくおねがいしますでしょ?」
 エミリアは淫らに顔を歪ませ、シオンに”授業”の挨拶を強いる。
「よ、よろしく……おねがいします……はぁはぁ……」
 シオンの陰茎が、ビクビクと小刻みに震えた。
 さきほどよりも膨張したそれに、エミリアはにんまりと笑みを浮かべる。
(シオン君、こういうプレイ大好きみたいね)
 そう考えているエミリアも、蜜壺をぎゅうぎゅうと締めつけてしまう。
「これから夜の剣術授業のときは、エミリア先生って呼びなさい」
 エミリアは言いながら、蜜液が躰の奥から溢れてきてしまう。
 シオン君にとって、わたしは夜の剣術(性交)の女教師――彼女は、この状況の淫靡さに興奮を隠せない。
「んふっ……まず、撥ね上げてみて……」
 エミリアは息を荒くして、シオンに跨がりながら言う。
 力一杯、シオンは腰を持ち上げて下半身だけブリッジしたような格好になり、彼女はがくんと躰を後ろに反らせた。
「……あぎぃ!? ああああッ……か、かはっ!!」
 シオンに白い喉を見せるほど、エミリアは頭を後ろに倒している。
 そのためシオンには、真上にいる彼女の表情は見えない。
 しかし彼には、わかっていた。
 ――膣内の搾り上げるような強烈なうねりと、蜜液の量の多さ。
 エミリアは、さっきの一突きで達したのだ。
 彼は仰け反っているエミリアの腕をぐいっと前に引き、彼女の顔を正面の位置に戻す。
「あ、あがっ……見ひゃ、らめぇええええ……んぁぅ!」
 そこには少年のたった一突きで仕留められた、美熟女エルフの弛緩したイキ顔があった。
 目、鼻、口のそれぞれの穴から体液を流し、自分が牝であることに嬉し泣きしている……そんな表情だ。
 彼女に休む間を与えず、シオンは最初の一突きと同じ動作を何度も反復した。
 彼は爪先に全体重を乗せ、天を衝く勢いで下半身を撥ね上げる。
「んぁ……はぁはぁ…あぎっ!? あひいいいいいいッ!! 先生……はふぅ…ぞ、ぞんなごとざれだら…いひッ……きもひよふぎてぇ…ひっ!! しんじゃうっ! ……し、しんじゃうッ♥」
 少年のしなやかな全身は、まさしく暴れ馬のようだった。
 騎乗位で腰に乗ったエミリアを、狂ったように突きまくる。
 彼女は落ちないように両手をシオンと繋いでいるが、それさえも馬の手綱のようであった。
 突かれるたびに絶頂を迎えているらしく、彼女の割れ目からは小便のように蜜液が大量に溢れでている。
「エミリア先生って……はぁはぁ…素手で大勢の敵を倒せるのに……ンっ…一人しかいないボクには勝てないんだね……」
 シオンはエミリアを言葉で辱めながら、膣内の急所を連続で責めた。
 彼の言葉に応じるように、蜜液でたっぷり浸されたそこが、ぎゅうぎゅうと陰茎を喰いしめる。
「シオン君が……いっ……いひぃ…す、すごすぎるのよっ! こ、こんなに先生を……あああああっ……めちゃくちゃに……あぐぅ!! お、おおッ……犯しちゃって♥」
 エミリアは後頭部のポニーテールを揺らめかせ、突き上げる陰茎の快楽を貪った。
(人間の男の子ってやっぱり最高ね。こんな激しいセックス……たまらないわ♥)
 シオンは、陰茎が蜜液で溶かさてしまうような感覚を味わっていた。
 蜜壺に入れているだけで、エミリアの快感がつたわってくる。
 どこを突けばいいのか、どのくらいの速度で腰を振ればいいのかが、手に取るようにわかってしまう。
 衣装からこぼれ落ちたエミリアの爆乳は柔らかく弾み、先端からは白い母乳が垂れだしてきた。
 彼女を突き崩すまで、もう少しだと察したシオンは、ブリッジしたときの腰をさらに上へと撥ね上げる。
「あああああッ……! シオンくぅん……これいいのぉ♥ もっとぉ! もっとしてぇ! ひっ! ひいいいいいいいいい〜!!」
 エミリアの躰が浮き上がるほど、シオンは力強いバネのように腰を振った。
 彼女の膣内が螺旋状に締めつけ、陰茎を奥へと引っ張り込もうとする。
「エミリア先生ぇ……! 出すよ! 出すよっ! ……うっ!」
 シオンは腰を上げたと同時に射精した。
「あああっ……シオンくぅん……! ひぐうううううううううッ! シ、シオンくぅん!! ひゃあああああああああああッ!!」
 びくんびくんとエミリアは全身を震わせ、シオンと一緒に果てた。
 爆乳からは母乳が飛びだし、シオンの胴体や顔に生温かい雨を降らせる。
 彼がブリッジ状態から腰を落とすと、エミリアがもたれかかってきた。
「ひぁ、ひゃいこぉ……シオンくん……はぁはぁ……すてきぃ……ああああっ♥」
 快感で呂律がまわらないエミリアを抱きとめ、尿道に残った精液をすべて膣内に吐きだした。
「エミリア先生、次はこの体位でヤろうよ」
 シオンは”先生”という呼び方が気に入ったらしい。
 そう言われているエミリアも、夜の剣術女教師と生徒という淫猥な関係に顔が赤くなる。
「……こんな恥ずかしい体位でヤりたいの? うふふ、それじゃ先生が、ここから剣をどう動かすのか見ててあげる♥」
 エミリアは仰向けで膝を曲げ、股間を真上にした。
 いわゆる屈曲位の変形で、女性の太腿の間から結合部が見えてしまう体位である。
 普通の屈曲位と違うのは、彼女の腰の高さだ。
 シオンが中腰になって丁度いいほどの高い位置で、彼女は陰茎を受け入れる。
(昼間から、こんなにエッチな体位でヤろうって想像してたのね)
 肩と首は地面についているが背中は垂直になっているため、エミリアは上半身だけ逆立ちのような姿勢になっていた。
 シオンが真下に向かって、彼女の膣内を陰茎で貫く。
「オチンチンが入ってるの見えてるぅ……! はふっ……はぁあああああッ……お、男の子のガチガチに硬くなった、オチンチンっ!」
 エミリアは股の間から、少年の陰茎が突き刺さっているのを見た。
 秘部の位置が亀頭からズレないよう、彼女はシオンの腰に両足を絡める。 
「ん……も、もっと踏み込んで。剣術はぁ……思いきりが大事よぉ♥」
 シオンは前に踏み込むようにして、怒張をエミリアに突き立てた。
 先ほど出した精液がブピュッという音とともに割れ目から噴きこぼれ、白濁の滝となってエミリアの腹を流れていく。
「んぁああああああああぅ!! い、いいのよ……もっと踏み込んでぇ! はひっ……あああああああっ!!」
 エミリアはアクロバティックな体位に、歓喜の声をあげた。
(わたし、シオン君にいろんな体位でハメ比べられてる)
 エミリアもまた、体位によって変わる少年との繋がり具合を愉しむ。
 この変形屈曲位は反った亀頭が直線的に差しこまれる。
 そのため、ペニス全体が蜜壺の内側から下腹を押し上げてくるのだ。
「こ、ここでしょ……あああっ…ここにシオン君のが……はぁはぁはぁ……あああああああン…入ってる♥」
 エミリアは陰茎の入っている膣内の真上を手の平で押し、淫らに微笑む。
 両手で彼女の腰をつかんだシオンは、シャベルで土を掘るような屈伸運動をはじめた。
 根本まで収まった陰茎が、屈伸のたびに膣口のあたりまでずるりと引きぬかれる。
 何度も繰り返されるその動きに、「いっち、にぃ♥」と彼女は喘ぎ混じりに掛け声をかけた。
「ん……はぁああああん…も、もうキひゃいそう! はぐっ……ひっ、ひぐぅ!! いやらしい先生に…その剣で…は、はふぅ…トドメぇ……挿してぇ!」
 エミリアの言葉を聞き、シオンはしゃがみこんだ。
 伸びていた彼女の美脚の膝を曲げ、上から体重を乗せるような体位になる。
 変形屈曲位から普通の屈曲位になったのだが、シオンの腰振りの力強さはこの体位のほうが上だった。
 いままでの体位が彼女の恥ずかしさを煽るものだとしたら、この屈曲位は純粋に犯すためのものである。
「シ、シオンくぅん……ひゃ、ひゃひい…ご、ごんなぁ…二段技ぁ……ど、どひょでぇ……おほっ……おほぅ! お、おぼえひゃのよぅ……い、いひぃ、いひいいいいい!! うぐぁ! あっ……あぐぅううううッ!!」
 二つの体位による責めの差にエミリアは、体全体を捻りながら悶絶した。
 彼女の脚を肩口にかけ、彼は子宮口を陰茎で押し開くようにして突きまくる。
「あっ……あひぃいい…あっ! んぐぅうう……子宮がぁ…潰されちゃうぅううううううッ!!」
 十四歳の少年の陰茎の長さでは、最奥の子宮口までとどかない。
 だが、膣内を抉ることによって、彼女に子宮まで犯されているように錯覚せることはできた。
 彼女の背中は地面に押さえつけられて衝撃の逃げ場をなくしているため、シオンの腰振りは振動となって奥まで響いている。
 そのせいで陰茎と腰による振動がダイレクトに、彼女の子宮を揺さぶっているのだ。
(シオン君……この体位と腰振りは計算してやってるのかしらぁ? こんなことされたらどんな女でも絶対、堕ちちゃうわよぉ♥)
 エミリアは勢いを増したシオンの腰振りに快感を深め、そんなことを意識した。
「あっ……いやぁ…またキちゃう! はひっ……はひいいいっ…はぁはぁ……ああああああ…ッ…ふわああああああっ!!」
 エミリアは、全身を駆け抜ける快楽の電流に涙目になった。
 いまの彼女には、シオンの陰茎から精液を搾り、子を孕もうとする牝の本能しかない。
 シオンも彼女に、子種を注ぐことしか頭になかった。
 互いの腰振りが二人を絶頂へと向かわせる。
「あああああああああっ…ひっ、ひぐぅ…い、いぐううううううううううううッ!!」
「エミリアさんッ……んぁっ…出ちゃうッ……出るッ!」
 エミリアとシオンは躰を痙攣させながら、快楽の頂点に達した。
 うねるように蠢く膣内に、陰茎の鈴割れから熱い精液がぶちまけられる。
 生温かい白濁が結合部で泡立ち、プクプクという小さな音を立てた。
 射精の様子を太腿の間から見ていたエミリアは、いつも以上に頬を真っ赤に染める。
 シオン君に種付けされた――こうして目の前でそれを眺めていると、彼の子種汁を飲みこんだ子宮が喜んでいるのを彼女は実感した。
「エミリア先生、次の型(体位)を試していい?」
「……いいわよ。先生の躰でたくさん試しちゃいないさい♥」
 二人は汗まみれで繋がったまま、淫らな表情で囁きあった。



 ――イーゴ村に着いたのは、昼すぎだった。
 エミリアに手を引かれ、シオンは村の中を見てまわる。
 名産品は木工のようで、土産店の前には等身大の木彫りの熊などが飾られていた。
 二人が歩いていると、先の方に人だかりがある。
「エミリアさん、あれなんだろ?」
「……あまり良くないことのようね」
 エミリアは不吉な臭いを嗅いでいた。
 人だかりは村役場の前で、そこには黒布を被されたものが三つ地面に転がっている。
「村長の言ったとおり、青年団のみんなで森の中を探したんだが……もう手遅れだった」
 斧を担いだ若者は沈痛な面持ちで、隣にいる白髪の老人――イーゴ村の村長に言った。
「そうか。ご苦労だったな。この者たちの家族には、いま役場の使いが向かっている」
 シオンの近くの野次馬たちは、「可哀想に」や「こいつはひでぇ」と声を潜めて話していた。
(……もしかして)
 シオンが黒布の下の方を見ると、血まみれの靴がはみだしている。
 周りの会話から予想できたが、こうした現場に彼が出くわすのは初めてだった。
「行きましょう」
 エミリアに言われ、シオンはその場を離れた。
「さっきの人たち、廃道の森で魔物に殺されたようね」
「あそこって、ボクたちも通りました」
「この村の住民は林業で生計を立ててるから、廃道の森に木を伐採しにいくの。……一歩間違えばシオン君も、ああなっていたかもしれないわ」
 エミリアが廃道の入り口で、『下手すると死ぬわよ』と忠告していたのをシオンは思いだす。
 実際、彼自身もゴブリンと戦って死にかけた。
 もしもエミリアがいなかったらと想像しただけでシオンは身震いしたが、幸運にも彼は死者ではなく生者であり、空腹という事態に直面している。
「……お腹が減りました」
「さっき、死体を見たのに大丈夫なの?」
「旅の初日からエミリアさんが、気術で野盗の体を破裂させたり、斬ったりしてたじゃないですか。それにくらべたら、死体が残ってるだけマシなのかもしれません」
 これが旅の前なら死体を見ただけで、食事が喉を通らなかったはず――シオンにはその自覚がある。
 だが、野盗に襲われたり、ゴブリンとの死闘をくぐり抜けた彼の中で、なにかが変わりはじめていた。
(うふふ。シオン君たら、こんなに図太くなって)
 エミリアには、彼の目覚ましい精神的な成長がわかる。
 旅の中で”少年”が”男”になるのを見守るのが、自分の役目なのかもしれない――彼女は日ごとにその考えを深めていた。
「この通りに、お店があるから入りましょう」
 二人が入ったのは酒場らしき店で、壁に面した棚には様々な種類の酒が並んでいる。
「酒は夜からだ。昼はメニューの中から選んでくれ」
 初老で赤い顎鬚がやたらと長い店主は、メニューの書かれた厚紙をカウンター席に座った二人に渡した。
 どうやら夜は酒場、昼は食堂という形で、彼はこの店を経営しているらしい。
 しばらくメニューを眺めた二人は、鹿肉のトマトドリアを注文する。
「こんな辺鄙な村にエルフとは珍しいもんだ。そこの子と旅でもしてんのか?」
 店主はそう言い、手際よく鹿肉を包丁で切り、フライパンで焼きはじめた。
「ええ、そんなとこよ。オジサン、この店は長いの?」
「はっ。オジサンか。笑わせやがる。あんたみたいなエルフから見れば、俺なんて小僧みたいなもんだろうに……まぁ、ここに店出して三十年の青二才さ」
 店主が鹿肉に赤ワインをかけると、フライパンの中で炎が豪快に上がる。
「あんたら、恋人同士だろ」
 店主の言葉に、二人は驚きを隠せなかった。
「こういう商売やってると、店に入ってきたときの雰囲気でわかんだよ。そこの子、最初はその見てくれのせいで女かと思ったが、そっちのエルフを見たときの目が男だった」
 エミリアとシオンは、無言で顔を赤くするばかりだ。
「あいよ、鹿肉のトマトドリア」
 店主はそう言って、カウンターの隅にある椅子に腰掛け、昼寝を始めてしまった。
 シオンはだされた鹿肉のトマトドリアを食べてみる。
(……トマトの酸味がちょうどよくて、すごくおいしい!)
 エミリアも同じ感想らしく、皿の中の減りが早い。
 十五分後、二人の皿の上が綺麗になくなった。
「ごちそうさまー!」
 シオンはそう言ってカウンターに金を置くと、顎鬚の店主は目を閉じたまま右手を上げた。
「恋人同士って言われちゃったわ♥」
 エミリアは頬に右手をあて、照れながら言う。
「ねぇ……こっちにきて」
 シオンは人通りのない場所にエミリアを引っ張りこんだ。
「どうしたのシオン君?」
「エミリア先生、剣術の稽古して」
 シオンに耳元で言われ、エミリアは赤面する。
 特に”先生”という呼び方が、彼女にはたまらなく恥ずかしかった。
 それは二人の間で、性交の隠語になっていたからだ。
「だめよ。昨日の夜だって、たくさんしちゃって。夜まで待ちなさい」
「夜になったら、たくさんヤらせてくれる?」
 甘えたようなシオンの声に、エミリアは躰の芯が熱くなってくるのを感じた。
「ええ。夜にヤらせてあげるから、今日は昼の授業なしよ」
「ちょ、ちょっと待って!」
 エミリアが歩きだそうとすると、シオンは前屈みになった。
 どうやら、いきり立った陰茎が半スボンに擦れたらしい。
(シオン君たら、元気すぎるわねぇ。わたしも、抱きたいって言われて濡れてきちゃってるけど……)
 彼に性交を誘われて断ったエミリアだが、汗ではない別の液体がショーツに染みをつくっていた。
 二人は宿屋を見つけ、簡単な手続きを済ませてから部屋を借りる。
「歩くことに、だいぶ慣れたみたいね」
 部屋の椅子に座ったエミリアは、ベッドの縁に腰掛けるシオンに言う。
「うん。朝から晩まで、歩いても足は前より痛くならないよ」
 少年の順応力に、エミリアは嬉しそうに目を細めた。



 ――エミリアとシオンが、荷物整理や食料の買い出しをしているうち、夕暮れになる。
 宿屋で早い夕飯を食べ終え、二人は部屋に戻って帰りのルートを確認した。
「えっと、いまはイーゴ村だから……今日を含めて三泊で王都に着けるわ」
 エミリアの話では翌日は野営、翌々日はデオンの街で宿泊ということになるらしい。
 地図を見ながら、シオンはこの旅が終わりに近づいていることを再確認した。
(あと三日で、この旅は終わるんだ……)
 シオンはエミリアの美しい横顔を見つめる。
 その視線に気づいた彼女は、「どうしたの?」とシオンに聞いた。
「なんでもないです……お風呂の準備してくる」
 風呂の湯を入れに、シオンは浴室に行ってしまう。
(もうすぐ、王都に着くのね)
 エミリアは窓ガラスに映った自分の顔を、物憂げに眺めた。



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