3月 SENSEITO MONOCHROME

2006/3/1

高橋


よく東京の大学からラグビー部の監督が直々に有働に会いに来る。
ラグビーの名門大学ばっかり、何人もや。
毎年決勝戦では必ずテレビに映るような有名な監督が
有働が練習してるところを何も言わずにジッと見てたり
有働を呼んで直接話す監督さんもいる。
まだ一年の有働に
「二年後、是非うちに」
とスカウトしてるんや。

有働は「はぁ・・・・」「へぇ・・・・」といつも生返事で
ヤツがどうしたいのかオレもわからんかったから、
一度将来について聞いてみたことがある。

「日本でなく海外で活躍したいんです」
といきなり大きいことを言い出した。
「でも、大学はできるだけ地元が良くて・・・・」
とモゴモゴ。
しかも京都の強豪校ではなく二流の学校をあげた。
「あそこはグラウンドが広いし、名前がない分一からはじめられていいんです」
まるで自分が二流ラグビー部を大学日本一に
もっていくような言い方をする。

夢はでっかく持ちながら、東京の名門校を蹴って、
地元の二流ラグビー部を日本一へ・・・。

ああ、でもヤツならそれもありかもな、と思った。
2006/3/2

稲嶺


有働が射精する時、ホースに水を思い切り
流すような震動を体内で感じる。

その時いつも
「ああ、男の性器って所詮ホース(筒・管)といっしょやな」
と、どうでもいいことを考えてる。
2006/3/7

有働


学校がすこし遠かったから、いつも日替わりで
姉ちゃんらが迎えに来てくれてた。

オレが急に熱を出したときや、いじめられて泣いてるときは
「大丈夫、お姉ちゃんがいるから大丈夫やで」
と遠い距離をおぶって歩いてくれた。

姉ちゃんの背中はあたたかくていい匂いがして
オレはいつも安心してそのまま寝た気がする。
きっと重かったやろうなぁ。
2006/3/11

稲嶺


彼はまだ、全体に子供の雰囲気が強いけど
あの成長ぶりからして高校卒業するあたりでは
脱皮してキリッとした大人顔になると思う。

それは楽しみであり、恐れていることでもある。

大人になってほしいのか、そのままでいてほしいのか
オレの中で常に葛藤してる。
2006/3/12

稲嶺


教授は無駄なことをほとんど言わへん無口な人やったから
単純なオレには6年付き合っても、イマイチよぉわからんかった。
どんな過去を持っていて、何が好きで、嫌いで・・・・。

ただ、オレのやることや言うことが、たま〜にツボに入って
爆笑させることはあった。
なんでそんなに可笑しいのかオレにはわからんかったけど
普段が無表情なだけに、たまに見せるその表情に
オレは得した気分になってムショーに嬉しかった。
2006/3/14

高橋


今日も稲嶺先生は可憐やけど、よくよく考えてみたら、
大学時代から6年間も男性?と付き合ってたんやから、
もしかしてセックスはオレよりも上手かもしれへん。

あんな幼い顔してベットでは意外に淫乱・・・・
とか考えたら、授業中またはばかり(トイレ)に走るハメになる。
2006/3/15

高橋


いやいや!
稲嶺先生に限ってそんなことは絶対ない!
けがれのない赤ちゃんみたいな肌して
淫乱なんてことはありえへんやろ!

6年付き合ったって言っても、純文学のような清い関係やったんや。
そうに決まってる!

ごめんなさい稲嶺先生!
すいません稲嶺先生!!


2006/3/16


稲嶺


教授が風邪で休講になったと哲学をとってる賢一から聞いた。
と同時にオレからはかけへん一方通行の携帯に
「マンションにいるから授業が終わったら来て」
と、いつもより張りのない声で教授から電話がかかる。
授業どころやないから、その足でマンションに向かったら
教授は本当にベットに寝てて、すこしだるそうやった。
「大丈夫・・・ですか・・・・」
「ああ、さっき主治医が来て注射をうたれたから大丈夫だ」
教授はすこし苦笑する。もしかして注射苦手かな・・・。
「トモ、授業は?」
「あ・・・・えとその、こっちも急遽休講になって・・・・」
丸わかりの嘘をついたら教授はすこし困った顔をした。
「か、看病させてください・・・!」
心配で勉強どころやないんです!と叫んだら
教授はため息をついて、それから微笑んだ。
「じゃあ、今日はトモに甘えよう。服脱いで」
布団を開けて手招きした。
「え・・・・!」
「あたためて」
よぉわからんけどワタワタと服を脱いで布団に入る。
教授はオレを思いっきり抱きしめて
「トモは猫みたいだな。あたたかくてやわらかい」
と笑った。

それから口移しで食事をしたり、首筋の汗を拭いたり
シャツを取り替えたり、抱き合って一緒に寝たりして
一日を過ごした。

風邪で辛いはずやのに、教授はずっと幸せそうやった。
2006/3/21

有働


日曜日に先生と会っても、午前中はたいてい競馬新聞に夢中で
全然相手にしてくれへん。
「なんでそんなに必死で競馬すんの?」
と聞いたら
「そこに馬が走ってるから」
と競馬新聞から目を離さずに先生は呟いた。

「・・・・・・・・・・」

ほなオレがモリモリ鍛えるのも
そこにダンベルやベンチプレスがあるからか・・・・。
2006/3/27

有働


「何も持たずに生きるってカッコイイなぁ」

本堂の縁に腰掛けて、
石と苔しかない庭を見つめながら
先生は言うた。
2006/3/28

稲嶺


有働はキスもセックスも乱暴で下手くそやけど
16歳という年齢を考えたら同級生よりは
断然経験もあるし、ませてる方なんかもしれへん。

オレなんか大学まで誰とも付き合ったことなかったし、
ファーストキスかて18やったしなぁ・・・・。

そう考えたら、有働は早熟や。
2006/3/29

駄目男いなっち


「あ、ちょうどいい時に来た。
 
 腹減った!昼飯つくって」
2006/3/31

稲嶺


あ・・・・有働がまた裏庭で昼寝してる・・・・・。
靴や靴下が嫌いでどこでも裸足になる野生児や。

まわりを見渡した。
誰もおらへん。
有働は熟睡。

・・・・・キスしちゃおっかな!

4月 SENSEITO MONOCHROME