呟き日記 9月
四年後のオレへ
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9月! 世界ではラグビーのワールドカップが開催されているけど、 オレは相変わらず残暑の厳しいここ京都のグランドを走ってる。 将来ジャパンに選ばれて、ワールドカップで世界の選手とぶつかってみたい。 …オレのプレイはまだまだなんはわかってる。 でも次のワールドカップでは二十歳、きっと大学生。 四年後のオレに聞きたい。 二十歳のオレの実力は、どうですか。 オレはもっと強くなってますか。 先生を包みこめるぐらい、中身も大人になってますか。 ※ジャパン=ラグビー日本代表 |
遠足

稲嶺智晴
マイペースに歩くから、遠足ではよく集団から離れて迷子になった。
幼いオレの、予測のつかへん行動はよく先生を困らせけど、それがいまや遠足の引率をする「先生」や。
今年の遠足、有働らをどこに連れて行こかなぁ!
着物

有働雄哉
京都の議会では着物で登庁する日があるらしく、面白がりのうちの校長の
「教師も着物で授業する日をもうけよう!」
という一言で、中秋の名月に「教師着物デー」が行われることになった。
クラスの連中は
「絶対稲っち、背中に龍の絵が入ったハッピでくるで!」
「いや、作務衣かも!頭にタオル巻いたりして」
「女モンの浴衣なんか似合いそう〜着てほしいなぁ」
「オレは柔道着やと思う」
とか勝手に噂されてたんやけど、意外や意外。
教室に入ってきた先生はちゃんとした着物をビシッと着込んでいた。
教室騒然。オレもビックリ。

「なんやなんや、なんでそないに騒ぐねん。やっぱり似合ってへんかな」
生徒の騒ぎように先生も動揺する。
「や、はじめて歴史教師っぽいと思いました〜!」
「結構似合ってます〜」
それを聞いて先生はニコニコ満足気や。
「センセー、それ誰かに借りたんですか〜」
ブリーフ鈴木が質問した。
「これ自前やで。京男の当然のたしなみや!」
偉そうに腕組みしながら答える。
普段はピョン吉に雪駄(もしくは下駄)の先生が、着物一式を自分で買うわけがない。
もしかして、昔あの人に買ってもろたんやろか、と一人でムッとしてると
「実は親が呉服関係の仕事やからな、普段から着ろ着ろてうるさいねん」
ちょうど良かった、と言いながら名簿を開け、出席をとりはじめた。
・・・・なんや。そうなんか。良かった・・・・。
安心したオレは、次の瞬間にはあの着物を脱がすことを想像して勃起しはじめた。
(ちなみに高橋は剣道着やった)
お月見

有働雄哉
今日は仲秋の名月。
オレはいつも7時頃まで練習やし、寮の門限は9時。
二時間しかないけど、月見をしようと先生を無理やり誘った。
先生の手をひいて鴨川(伏見区やから結構下流)へ降りる。
ちょうどええ感じでススキ越しに満月!
やっぱりここはキスの一発でも!とつないだ手に力をこめたら
「甘いのは嫌いやし団子は食えんで、酒や、酒!酒はないんか」
雰囲気ぶち壊しで先生はぼやいた。
SHOES

稲嶺智晴
火曜日の3・4時間目は授業がない。
ちょうどその時間、うちのDクラスは体育で、オレはいつも資料室からグラウンドの有働を見てる。
有働は本当に運動神経がいいみたいで、どんな競技をしても誰よりも抜きんでてる。
多分どんなスポーツを選んでも、それなりのところ(プロ)には行けるんやないかな・・・。
正直、スポーツをする有働はすごくかっこ良くて、オレはいつも誇らしかった。
女にとにかくモテるけど、ひそかに男にもモテてるんやないかと心配になったりもするけど。
7月、プールの授業がはじまるというんで、よく見える図書館に移動・・・・。
オレ変態かなぁ・・・・。
集団の中にちょっと憂鬱な表情をした有働がいる。
太陽の下で見る有働の裸体はやっぱり誰よりも抜きんでてた。
「あの体に抱かれてるんやなぁ」
と想像して、慌てて脳裏から消し去ろうと本で頭を叩いてる間に、ヤツは溺れた・・・。
運動神経抜群の男。身長185センチの男。
当然足がとどくのに・・・・アップアップ溺れた・・・・。
オレが慌てて図書室を飛び出そうとした時には、すでに高橋先生が有働を助け上げてくれてたけど。
有働はゼイゼイと胸を大きく上下させて半泣き状態。
顔を水につけるだけで動揺して溺れるぐらい、有働が究極のカナヅチやとは知らんかった。
・・・か・・・可愛いなぁ・・・・・。
プールの時間がなくなった現在、有働はまたイキイキとグラウンドを走ってる。
伏MI稲荷大社(千本鳥居)

有働雄哉
毎朝夕、伏見稲荷大社を抜けて、稲荷山頂上までジョギングする。
このコースはうちの高校の運動部や近くの警察学校の生徒がよく利用する。
稲荷山に登るには、よくドラマなんかで登場する迷宮のような千本鳥居をくぐり抜けんとあかん。
朝靄の中や黄昏時、いつもその数に圧倒されて、すこし不気味に思う。
イッキに駆け抜けて、蝋燭の火に浮かび上がる狐を見ィひんようにさらに登っていくと
昭和初期っぽい風情の残る茶屋が数件あって、その先が頂上。
歩いて登ったら30分ぐらいの距離をひたすら駆け登る。
頂上ではさらに階段ダッシュ三本、腕立て、腹筋・・・・・。
稲荷山の頂上からは京都市の南部が一望できる。
登るまでは不気味で怖いけど、その風景がすごく好きやから、
先生と一緒に見たいと誘ったら
「んな朝早よぉから、登山できっか!健康オタク!」
とキレられた。
部屋の端にはオレがあげたダンベルに埃がかぶって転がってる・・・・。(8月日記参照)
Rugby Ball

稲嶺智晴
有働の声はハスキーで、話してると声が裏返ったり、
たまに語尾がかすれて聞こえにくいときがある。
元々ハスキーなんかと思ってたら、どうも違うらしい。
ちょうど変声期で声がガラガラな中一の夏、
試合でラグビーボールが思いっきり喉に当たったらしい。
一週間、声が出ぇへんかったぐらいすごい衝撃やったと。
やっと声が出たかと思ったら、今までの声を失ってたという。
有働には悪いけど、オレはそのラグビーボールに感謝した。
なんせ、アノときの声がすごくセクシーでたまらんから!
授業中

有働雄哉
夏休みが終わって、いよいよ新学期や。
勉強は好きやないけど、毎日確実に先生に会えるからすごく嬉しい。
でもホームルームでも授業中も先生はほとんどオレを見てくれへん。
涼しい顔で淡々と授業を進める。
悔しいから何度かノートに「好きや!」とか「今晩行く」とか書いて先生にチラチラ見せた。
その時は無視を決めてた先生も、後で顔どころか耳まで真っ赤にしながらカンカンに怒って
「黒板からノートに写す以外は、教科書だけを見て一切顔を上げるな!上げたら教科書10ページ読ます刑!」
とわけのわからん法律をつくった。
今日もオレはひたすら下を向きながら、よく通る先生の声を聞いている。