omoi Written by 羽純 様 [2003.09.11] |
「・・・ラクス、」 名前を呼ばれて、ラクスは嬉しそうに笑った。 ふわり、と。 その微笑みがキラの心に燻った何かを溶かしていくようだった。 だから自然と彼女の前では笑顔が浮かんだ。 無理に笑ってた、あの時とは違って。 それでもまるで笑い合うことが罪だというように、ずきん。と胸が痛む。 フレイのことが脳裏に浮かぶ。 「・・・僕は誰のことも助けられないんだ」 ――― 守ってやれない。 小さく呟く声には、悔しさと、哀しみと ―― 苦しさが混ざり合っていて。 それを押し潰すように握り締めているキラの手が小刻みに震えてる。 ラクスはその手を、そっと優しく両手で包み込んだ。 「ヒトの手はとても小さいですわ」 ラクスが触れている手から、ぬくもりが伝わってくるような気がした。 「小さな手では全てのものを助けることは出来ません」 まるで、心の中に落ちてくるように、ラクスの言葉がひとつひとつ染み込んでくる。 不思議な想いでキラはまっすぐに見つめてくるラクスの瞳を見つめ返す。 「でも、ほら。こうしてぬくもりは伝わるでしょう?」 悪戯っぽく。それでも優しい光を瞳に宿して、ラクスが言う。 「キラ。助けたい、と。守りたいという想いを忘れないで下さい。諦めないで下さい。 きっとその強くて優しいぬくもりは伝わって、いつか ―― 全てのものの光になりますわ」 キラは泣きそうになった。 けれど、その想いとは裏腹に自然に笑みが零れていた。 「そうだね」 頷くと、ラクスも微笑んだ。 包み込まれていた手をはずして、逆にその手をそっと取って引き寄せる。 腕の中に抱き締めた。 「僕は貴女を守りたいと思ってるよ」 耳元で囁くと、不意にクスッと笑う意外な反応が返った。 驚いて少しだけ身を離すと、ラクスがまた悪戯っぽく瞳を煌かせる。 「私は守られるだけでは嫌ですわ。私だってキラや ―― アスランのことも、 皆さんのことも守りたいと思っていますから」 その言葉に、キラはラクスの強さの理由を見たような気がした。 (本当に光なんだ。) キラの中に差し込んだ。強くて優しいぬくもり。 もういちど、腕の中で微笑む姿を、溢れてくる愛しさを感じながらキラはそっと抱き締めた。 ●END●
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羽純様から、何だか頂いてしまったキララク創作です!
いやーラクスが素敵! 強くて優しい彼女凄い好きなんで(><)
後、ツボだったのがキラのセリフの『僕は誰のことも〜』
これ凄いツボでした! ホントにキラ言いそうな感じだし。ってか切ない!
モロ壺です!(何それ?)
こんなに素敵な創作が頂けるなんて、ホントうはうはすぎっすー
羽純ちゃん素敵な創作ありがとうでした!!
(アスキラ至上だけど、キララクキラは許容範囲内vのカイでしたー/笑)