or Written by 羽純 様 [2003.09.24] |
どちらが正しいのか。 その答えがあるのなら。 きっと。 どちらも正しくない。 戦うことに意味はあっても、「戦争」に意味はないから。 それでも自分の信念のために、 守りたいもののために、 差し伸べられてる手を 振り払うんだ。 ツンツン。 手の上に乗っているトリィを軽くつつく。 トリィはくすぐったそうに身を震わした。 その様子を見ていたキラは胸が痛むのを感じた。 「アスラン・・・」 (おまえも一緒に ―――― っ!) 脳裏に浮かぶ声。 (・・・キラッ!) 名前を呼んで、差し伸べてくれた手。 どれだけ、その手を取りたかったかわからない。 震える手に力を込めて、握り締めた。 爪が食い込む感覚はあっても、痛いとは思えなかった。 いつも夢見てたんだ。 次にアスランに出会うときは、きっと何年も離れてたなんて事実はないくらい笑いながら、 お互いの友人を紹介して、離れてた間のことをたくさん ―― 、それこそ眠るのも忘れて話して、 変わらない関係のまま。 そんな再会を、果たす夢を。 ツンツン。 トリィにつつかれて、不意にずきん。と痛みを感じた。 違和感を覚えて、手の平を返す。トリィは飛び立って部屋の中を旋回する。 食い込んだ爪が傷を作っていた。 「どうりで痛いはずだよ・・・」 苦い笑みを零す。 アスラン ――― 。 振り払った方と振り払われる方と。 どちらがより大きい痛みを与えられるんだろう。 ぼすんっ。 キラはベットに横になった。 手の平をかざす。 「僕たちはきっとどっちもバカなんだよ」 融通が利かなくて。 いちど決めたら譲れなくて。 似てないはずなのに似てるから。 強い絆を得ることが出来た ――― はずなのに。 『一緒にするなよ』 そんな拗ねるような声が聞こえた気がして、 だけど『そうかもな』と呆れたように苦笑する姿が浮かんで、 そっと目を閉じる。 せめて今は ――― この、痛みから逃れるために。 ●END●
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またまた羽純様から、頂いてしまったキラ創作です!
手を取りたいのに取れないキラの心情が凄く切ないです。
振り払う方も振り払われた方も、痛いものは痛いですもんね。
あぁ、切ない(T-T)
羽純ちゃん切ないけど素敵な創作、2コもありがとうでした!!