部下を助けに行ったネルを追いかけて、
カルサア修練場で、彼女と合流して。
漆黒副団長の(隠してはいるが)つるっぱげ(決定)のシェルビーを、
鉄パイプの一撃で撲殺して。
それから姿を見せたのは・・・
鬼ごっこ IN カルサア修練場内★
カルサア修練場にて、ネルの部下であるタイネープとファリンを助けに向かったフェイトたちは、
漆黒の副団長・シェルビーを撃破して、一息ついたところだった。
しかし「一息吐いた」と言っても、漆黒の本拠地なのである。
その場には、未だピリピリとした緊迫感に溢れていた。
そう。
突然どこからともなくかけられた、何者かの声によって。
フェイト、ネル、クリフの三名が、その声の出所を探ろうと、周囲を見回した。
「ここだ、阿呆。」
なぜか上の方から聞こえた声に、なぜか警戒心を持たずにフェイトは振り向く。
すでに、ネルとクリフもその声の出所を向いていた。
そこには、暗灰紫色でへそだしのピッタリとしたタンクトップに、同色の腰巻を身につけた男の姿。
左腕には鉤爪のついた手甲、右腕には腰巻と同色の二の腕半ばまであるグローブ。
足には上記と同色のニーソックス。
はっきり言って、露出狂と間違われてもおかしくない格好である。
某アイドルが歌っていた曲の歌詞にもあった、「生足ヘソ出しマー●●ド」。
そんなノリの衣装なのだ。
しかし、そんな恥ずかしい衣装を臆することなく身にまとう男は、
それこそクリフなんか(←コレ重要)目じゃないほどに「綺麗」な男だった。
顔のパーツはこれでもかって言うほどに整っているし、
長身で細身の身体は華奢のように見えて、実はしっかりと筋肉がついているのが分かった。
これほどまで整った美貌をもつのだから、さぞかしもてるのだろうと思いがちだが、
彼の・・・そう、例えるならば切れ味の鋭い刃のような雰囲気が、
自分以外の一切を否定しているような・・・そんな感覚を与えていた。
ネルとクリフがより一層緊張する気配がフェイトに伝わってきたが、
その中で、フェイトはのんびりと考えに浸る。
(・・・カッコイイおにーさん、そんな高いところに居ると、強風に煽られて腰巻捲れちゃうよ〜;)
なぜか、風に煽られてパタパタと揺れる腰巻が気になってしょうがないらしかった。
それから、どんどんフェイトの思考がヤバいものへと変化し始める。
(・・・ムリヤリ協力させられて、成り行き上シーハーツに就いてるけど・・・
こっからアーリグリフに就くっていうのもアリかなぁ?)
ヤバい。
フェイトの思考がヤバい。
しかし、それは内面だけで顔には微塵にも出ていない所為で、
ネルもクリフも、目の前の男・・・アルベルも気付いていなかった。
なにしろ、緊迫した表情でネルとアルベルの話を聞いているように見えるのだ。
実際は、右の耳から入ってそのまま左の耳から抜けているため、
話の内容など、全く聞いていないのに。
ネルとアルベルの会話を邪魔しない代わりに、フェイトは誰にも邪魔されずに思考に浸る。
(ああ、でもここで裏切るとネルさんに殺されそうだなぁ〜;
だからって、問答無用で返り討ちにするのもなぁ〜 クリフなら全く問題ないけど〜・・・)
などと、フェイトの中ではどうやってアーリグリフに就くかと、真っ黒な思考が繰り広げられる。
さり気に、クリフの扱いが酷いのは、彼に対して色々と不満があるからだろう。
・・・そう言うことにしておこう。
そうこう考えているうちに、ネルとアルベルの間で話がどんどん進んでいる。
フェイトが正気に戻ったきっかけは、ネルの言葉だった。
「・・・見逃してくれるってのかい?」
「オレは弱いものいじめはしない主義なんでな。」
と、言い放つアルベルだが、もしこの時フェイトのLvを知っていたならば・・・
襲い掛かってきていたのだろうか?
何しろフェイトのLvは、鉄パイプでシェルビーを一撃で仕留めるほどまでに上がっていたのだから。
そんなことに気付きもしないアルベルは、そのまま身を翻して姿を消そうとする。
それを、我に返ったフェイトが慌てて呼び止めた。
「・・・部下の尻拭いは上司の務めなんじゃないのか?」
フェイトはあえて冷淡かつ腹黒くアルベルに言うが、彼はそれをサラリと流す。
「知るか、阿呆。 さっさと行け。」
さして興味もなさそうに、しっしと手を振るアルベル。
その仕草に、ムカッとしつつも期待を見事に砕かれたフェイトいた。
フェイトは、あわよくばアルベルに捕まって、アーリグリフに組しようと考えていたのだ。
結果は、ご覧の通りであったが。
「せっかく見逃してもらったんだ。 さっさと帰るよ。」
フェイトの言動にほんの少しだけ驚いたらしいネルが、フェイトらに話しかける。
「ほら、行くぞ。 何やってんだよ。」
ネルに話しかけられて、クリフも修練場内に向かって歩き出す。
フェイトも渋々歩き出すが場内に入る前に、アルベルの方を向いて大声で叫ぶ。
報復のつもりで。
「・・・アルベルのバ〜〜〜〜〜カ!!! 露出狂〜〜〜〜〜!!」
と。
勿論、気の短いアルベルがそれに黙っているはずもなく、
フェイトとアルベルの追いかけっこinカルサア修練場は開催されたのだった。
もっとも、すばしっこいフェイトがアルベルに捕まるわけはなく、
フェイトに対する苛立ちを、修練場内のエネミーや貴族に当てまくったアルベルが居たのは・・・
言うまでもないことだろうか?
追記。
アリアスの屋敷にたどり着いてから、ネルたちの目がない場所で、
クリフがフェイトの鉄パイプでボコられたのは・・・恐らく言うまでもないことである。
・・・フェイトの憂さ晴らしには、クリフが最適なのだろう。
*END*
*あとがき*
駒村さんとの合作小説第一弾!
セリフの殆どを考えたのが駒村さんで、描写などが月島です。
いやぁ、話の方向性が決まっていて、セリフも決定済みなので楽だったな〜
こんなショボイ描写で申し訳ないですが;
ちなみに、最後のフェイトの暴言は月島が考えて付け足しました。
アーリグリフに連れてってくれないアルベルに、業を煮やしたフェイトの報復・・・;
それなのに、そのあとの鬼ごっこに捕まっちゃうと報復の意味がないので、
にこやかに、息も乱さずアルベルの追跡を振り切ったフェイトなのでした〜・・・;
04.9.1. 作 月島 深影