その姿は、まるで母親のナカの胎児のようだと
 俺らしくもない発想だった
 ( そのくらい変わった寝方だと思ったってコトだ )


 靴の先で、彼女の頭を小突く。
 「んんー・・・」と眉をひそめて、瞼の奥に光が宿った。


「 おい、起きろ 」
「 ・・・・・・れ、神田・・・?? 」


 まだくっつきそうな目元を擦りながら、のっそりと身体を起こした。
 ふああー・・・と伸びた時に、団服の隙間から、
 ちらりと白肌に包まれた腹部が見える ( 少しは恥らってく、れ! )
 反射的に、頬が熱に侵される。


「 あー・・・神田の頬が赤い (何で??) 」
「 なっ!ああああ赤くねぇよ!!何も見てないぞ!! 」
「 ・・・見、て・・・?? 」
「 ・・・・・・っ ( 墓穴っ!! ) 」


 小鳥のさえずり。浄化された空気の匂い。
 教団の裏手にある、緑茂る森の奥。
 ・・・誰も寄り付かないこの聖域でよく昼寝している
 と、彼女に洩らしたのが、そもそもの間違いだった。


「 と・・・とにかく、お前は出て行け。これから俺が昼寝するんだ 」


 『六幻』を小脇に抱え、彼女の隣に腰を下ろす。


 午後1時30分。
 昼食も終えて、ひと息吐いたこの時間に
 太陽の光をいっぱい吸い込んだ、ふかふかの緑の絨毯に寝そべる。
 ・・・想像しただけで、ヨダレ・・・眠気が襲ってきそうだ!


「 はいはーい、もうひと眠りしたらねー・・・・・・ 」
「 ・・・おい・・・っ 」


 彼女はもう一度、大きな欠伸をしたかと思うと
 こくり・・・と首を揺らした。
 覗きこむと・・・既に夢の中にいる様子だ。


「 ・・・・・・ちっ 」


 こんなことになるなら、教えるんじゃなかった・・・と後悔した、その時。
 左の肩が、ぐっと重くなる。彼女の小さな頭だった。


 振り払おうとした瞬間に、また垣間見えた白肌。
 ( 今度は胸の谷間だっ、た )






 ・・・・・・ま、少しだけ、なら・・・・・・











 トマトも顔負けの赤さに包まれて、


 俺は心底、今、彼女が眠っていてくれて良かったと思った







04: うねる木々の向こう


平日で5つのお題








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  01 青空白い月の下   02 灯火に浮かぶ   03 水面下の会話   04 うねる木々の向こう   05 金色の眩暈