その日は、快晴。
 任務を終えたオレの心も晴々しく、少しだけ誇らしげにホームの門をくぐる。


「 おかえり、ラビ 」


 そう言ってにっこりと笑ったコムイへの報告を終え、科学班室を後にした。
 ・・・向かう先は、唯一つ。
 廊下ですれ違ったリナリーが、”違う違う”と首を振る。


「 彼女なら、いつもの、お気に入りの場所よ 」


 あー、そっか!
 こんなに気持ち良い天気の日を、彼女が見逃すハズがないんさ!!
 オレは、右足に挿したイノセンスを取り出す。
 唱えるは、魔法の呪文。


「 伸、伸、伸っ!! 」


 伸びろ伸びろ、彼女の元まで。
 静かに、しかし迅速に大空へと駆け上る。
 雲を突き抜けそうな勢いで、目的地までひとっ跳び♪






 その時。
 眼前に、ひとひらの白い花びら。
 吹きぬけた風が運んできた、予感。


 ああ、彼女に逢える瞬間が近づいているのだと、胸が震えた。






 オレは、花園の一歩手前でイノセンスをしまい、地上に降り立つ。
 空からはわからなかったけれど、意外にも背の高い花々に囲まれて。
 小さな影が、もぞもぞと動く。飛んできたオレに、全く気づいてない様子だ。


 ・・・どうやって、その最高の瞬間を迎えようか。


 こっそり近づいて、後ろからハグ!するか?( 8割の確立でカウンター攻撃 )
 もしくは、身を隠してバア!って驚かせてやろうか?( 9割の確立でボディに一発 )
 それとも、大きくジャンプして、そのまま押し倒・・・( イノセンス開放は必須! )






 素直に。
 オレは、彼女の背中に呼びかけた。
 その背中が動きを止めて、ゆっくり、ゆっくりと振り返る。
 信じられないものを見つめるようにオレの姿を、しっかりと澄んだ瞳に捕らえて・・・。








 夏の太陽にも負けない、熱い熱い再会の瞬間。








「 ラビっ!! 」








 彼女の満面の微笑みが


 白い花びらの中に・・・・・・舞った





02: 青い空の下の、



君の笑顔



鳥籠:青春5題








拍手、有難うございました。








  01 きみがすきだと叫びたい   02 青い空の下の、君の笑顔   03 どうしようもない、だけど
  04 手を繋いで何処までも   05 いつまでもこの時間が続けばいいのに