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 ゆらゆら、ゆらゆら・・・
 
 不安定な視界に映ったのは・・・白い、天井。
 
 
 
 
 
 
 「 ・・・あ、れ 」
 
 
 私、一体・・・どう、しちゃったんだ・・・っけ・・・??
 見覚えがある。けれど、見慣れた自分の部屋の天井じゃない、ことはわかる。
 
 
 「 あ・・・あぁ、目ぇ覚めたのか? 」
 「 ・・・リ・・・バぁ、さ・・・ 」
 
 
 金茶のツンツン頭。忘れたくても、忘れられない人。
 彼の名前を口に出そうとして、上手く声が出ないのに気づく。
 何故だろう・・・とても、身体が・・・重い・・・。
 
 
 「 薬が効いているんだ。まだしばらく眠ってろ 」
 
 
 私の疑問に気づいたのか、彼は諭すように言った。
 
 
 ・・・そうか・・・任務、失敗して・・・。
 目の前で、イノセンスの灯(ひ)が消えるのを・・・黙って見ているしかなかった。
 そんな状況の中で、よく助かったものだ( 当然、私の灯も消されるものだと・・・ )
 
 
 「 み、んな・・・は? 」
 「 ・・・残念ながら、生存者はお前だけだ 」
 
 
 リーバーさんは、私の手をぎゅ、と握った。
 
 
 「 ・・・・・・そう 」
 
 
 無力な私だけ、おめおめと生き延びてしまった、という訳だ。
 私なんかより優秀な彼らが・・・どうして・・・。
 心に、風穴が開いたような、この空しい気持ち。
 
 
 「 生きてて・・・良かった 」
 
 
 不意に聞こえた彼の声に、私は重い首を動かした。
 見下ろす彼の瞳に・・・薄っすら、光るものが浮かんでいる。
 
 
 
 
 
 
 空虚だった胸が、きゅ、っと締め付けられた。
 
 
 
 
 
 
 「 ・・・リ・・・ 」
 「 不謹慎だとわかってる 」
 
 
 そう前書きして、私の額に張り付いた前髪を、そっと撫でた。
 少しだけ冷たいその手が、とても心地よくて、うっとりと瞳を閉じた。
 
 
 「 でも、お前が生きていると知って・・・俺は、嬉しかったから 」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ・・・彼を、抱き締めたかった
 
 
 
 
 こんな私のために、愛を注いでくれる彼を
 改めて・・・愛しく想ったから
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 「 ・・・リぃ・・・バ・・・ 」
 
 
 途端、凄まじい睡魔が群れをなして襲ってくる。
 目覚めと同じように、視界が揺れる。瞼が重くなってきた。
 辛うじて保っている意識も、程なく堕ちてしまいそう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ダ、メ・・・まだ、駄目・・・
 
 
 
 
 大切な言葉を・・・告げて、いないのに・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 「 とにかく、今は眠れ。それが回復の第一歩だ 」
 「 あ・・・のね・・・ 」
 「 ・・・ん??何だ 」
 
 
 私の必死な様子に、リーバーさんは背中を丸めて。
 かさかさな唇に・・・耳を、近づけた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 『 ありがとう 』 『 ただいま 』
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 喉の奥から搾り出した声に・・・
 
 
 リーバーさんは・・・ようやく、頬を緩めた
 
 
 
 
 
 
 
 
 
04:
「ちょと黙って
 
 
 目ぇ瞑れ」
 
 
 ( よく眠れるよう、君の瞼に魔法をかけるから )
 
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 拍手、有難うございました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 01 「幸せになるなら、お前とがいい」
  02 「悪いね、好きな子は虐めたくなる性分で」
 03 「うーんと……じゃあキス10回分で」
  04 「ちょっと黙って目ぇ瞑れ」
 05 「あー……愛されてるって感じ」
 
 
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