俺の名前は、高瀬準太。


 埼玉にある桐青高校野球部ピッチャー。
 花形って思われるけど、実際に試合を進めてんのは、捕手の和さんだ。
 その和さんと同じクラスで、同じ野球部で、
 悔しいけれど・・・和さんの右腕を務める、人がいる。








「 よう、準太。アイツ、いる? 」








 それが、慎吾さんだ。








「 いません 」
「 つれねーなぁ。この前もそう言って、いたじゃんかよ 」
「 部活でイヤでも逢うじゃないっすか 」
「 用事があるから、わざわざクラスまで足を運んでんの 」


 俺に話しかけながら、彼の瞳はきょろきょろと動いている。
 クラスメイトたちは、次の移動教室へ向かおうとざわめいている。
 それが、探索の手を鈍らせているが、彼女の存在はクラスの中でも特別だ。


「 あ、慎吾さん 」


 神様は俺を見放したのか、彼女のほうから声をかけてきた。
 途端、慎吾さんは身を乗り出す。俺はすかさず、2人の間に割って入った。


「 どうしたんですか、こんなところまで 」
「 お前に逢いに来たの。なぁ、いい加減付き合わねぇ?俺ら・・・ 」
「 し・ん・ご・さ・んっ!! 」
「 なーんだよ準太、うるせーな 」
「 ・・・移動教室なんス。早くコイツを開放して下さい! 」
「 あとで俺が責任を持って、教室まで送ってやるって 」


 ・・・オオカミに好きな奴を託す男が、どこにいるっ!?
 あっはっは、と笑い飛ばした慎吾さんを、真っ向から睨みつけた。
 俺の険悪な雰囲気に気付いたのか、彼女が後ろから俺の制服を引っ張ってきた。


「 じゅ・・・準太、どうしたの? 」
「 お前、も、いい加減にしろよ!! 」


 彼女の首根っこを掴むと、俺はだーっと廊下を駆け抜けた。
 後ろから慎吾さんの声が聞こえたけれど、そんなの関係ねぇ!!
 俺に引きずられてても、彼女は相変わらずキョトン、としている。
 はぁー・・・こいつ、ホント、わかってねー。

















 頼むから、自分の魅力に気付いてくれよ!!
 そんで慎吾さんの、ミエミエの罠なんかに引っかからないでくれよ!!










 俺の苦労と努力と願いと涙と愛を( 結構多いな! )




 その小さな両手で受け止めてくれたら・・・嬉しいんだけど、な










01:「いい加減気づけ!



愛してるよ!」



( お前のちょっと鈍いところも、可愛いけどさ )

嗚呼-argh






拍手、有難うございました。






01 「いい加減気づけ!愛してるよ!」 02 「これに触っていいのは俺だけだ!」
03 「大変です!俺のハートが盗まれました!」