俺は、真田明彦だ。


 高校3年生。部活はボクシング部・・・と、特別課外活動部、だ。
 家族は・・・そうだな、最近増えた。
 俺と寝食を共にする寮生が、俺の家族といえるだろう。
 中学の時は、わずか3人だったのに、今は小学生がいたり、犬がいたり、
 ロボットがいるんだから・・・驚きだ( それもナンパしたことがある! )
 それでも、まぁ、割と仲良くやってきた仲間の間に、波紋が広がる。


 それが・・・彼女の出現だった。








「 お風呂?天田くんと、一緒に?? 」
「 はい・・・やっぱりマズイですか? 」








 反射的に、目が醒めた。




 硬いソファの上で寝ていたのが悪いのか、少しでも動こうとすると身体が軋む。
 女性特有の、彼女の柔らかい声。ボーイソプラノは、小学生の天田の声だ。
 俺は寝ているフリをして、そのまま二人の会話に耳を澄ました。


「 この怪我じゃ、背中まで手が回らないくて。洗わないわけにもいかないですし・・・ 」


 天田は、3日前のタルタロスで左腕に大きな傷を負った。
 美鶴の病院で2日入院していた間は、看護婦が世話してくれたのだという。


「 今夜はタルタロスにも行きませんし・・・時間、ありますよね? 」
「 いや、あの「 駄目ですか? 」」


 ・・・押しに弱い彼女の困った顔が目に浮かぶ。
 頷かざるを得ないだろう、と思っていると、天田がやった!と叫んだ。
 ふー、と諦めたような彼女の溜息が聞こえた。


「 でもさ、天田くん。ゆかりちゃんや風花もいるのに、どうして・・・ 」


 私なの?、と不思議そうに質問する。
 ・・・あ、ヤバイんじゃないのか。この展開は。
 天田の、一瞬だけ息を呑んで覚悟を決める気配が、した。


「 貴女が好きだから、です 」
「 ・・・えっ 」
「 好きだから、お願いしたんです 」





 彼女の纏う空気が、固まる・・・・・・音。





「 ・・・・・・駄目だ 」


 声を出す気なんて、カケラもなかったのに。
 ホールに響いた制止の声に、一番驚いたのは俺自身だった。
 二人の視線が、俺に集まる。
 横たわらせていた身体を無理矢理起こすと、骨と筋肉が悲鳴を上げた。
 それでも俺は、ソファから立ち上がると、二人の前に立ちはだかった。


「 あ・・・あき、ひこっ!?寝てたん、じゃ・・・! 」


 うわずった声で、彼女が頬を赤らめる。
 慌てた様子の彼女とは、対照的に。
 天田は、眉間のシワを隠そうともせずに嫌そうな顔で、こちらを見ていた。



 貴方には用事、ないんですけど。
 そう言いたげな・・・彼の、目の前で。















 俺は、固まる彼女の肩を 問答無用で引き寄せた














02:「これに触っていいのは



俺だけだ!」



( 小学生に妬くなんて、俺も、まだまだ子供だな )

嗚呼-argh






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  01 「いい加減気づけ!愛してるよ!」   02 「これに触っていいのは俺だけだ!」
03 「大変です!俺のハートが盗まれました!」