「 先輩、先輩先輩せ、ん、ぱぁぁぁーいっ!! 」






 卒業生と在校生で溢れた校門前で、俺は声の限り、叫ぶ。
 みんな振り返って俺のこと見てっけど、そんなん関係ねー。
 目的の彼女は、ようやく振り返ると、口をあ、の形に開ける。


「 ・・・利央 」
「 利央、じゃないスよーっ!
  式が終わったら待ってて下さいねって言ったじゃないスかぁ!! 」
「 うあ、そう、だったね。ゴメンゴメン 」


 えへへと笑う姿を見て、俺は一気に・・・・・・脱力。
 ・・・ったく、緊張感のかけらもないんだから。
 ( こんなんじゃ、俺も怒るに怒れないじゃんっ!? )
 肩を落とした俺に、先輩が話題を変えるように話しかけた。


「 利央ってば凄いね。これだけの人込みん中で、よく見つけたねぇ 」
「 それは先輩、だから・・・っ!! 」
「 うんうん♪ありがとうね、利央 」


 と、俺の頭をくしゃりと撫でる・・・くそっ、またコレか!?
 先輩は、俺のコト全然男として見てくれないけどさぁ!!
 ・・・俺はとっくに、ずっと昔から先輩に惚れてて、
 他の女性(ヒト)なんか視界に入らないくらい大好きなんだぞっ!!


「 ・・・・・・先輩っ! 」
「 は、はい!( 何、急に!? ) 」
「 確認しますけど、この先、桐青の高等部っすよね!? 」
「 う・・・うん、利央も持ち上がりで入るんでしょ?成績が足りてれば 」
「 ・・・うっ!! 」


 ちくしょ・・・っ、一瞬怯んだけれど、そんなんじゃ負けないぞ!!
 ( 釘刺すなんて、卑怯スよ!先輩!! )








「 頑張るから・・・俺、頑張って先輩のこと追っ掛けるからなっ!! 」








 ・・・うん、待ってるよ、利央のコト。
 そう言いかけた口に、自分の唇を押し付ける。


 先輩の身体が、固まる気配がした。ついでに周囲の空気も。




















 一際大きな嬌声を乗せて
 



 重なった俺と先輩を、春一番が包みこんだ




















01: 蕾が花開く時


( このキスが、恋の始まりになりますように )

ing.



拍手、有難うございました。



01「 蕾が花開く時 」02「 この場所から始まった 」
03「 桜散る頃 」04「 10年後のこの日にまた逢おう 」