は・・・と零した吐息を宙に吐き出して、彼女の身体に折り重なる。






 重さをかけないようにしているものの、上手くコントロールできいているかどうか・・・。
 それくらい心地良い疲労感が、俺の身体を侵食している。触れた肌が、互いの汗で濡れている。




「 ・・・こ・・・じゅ・・・、 」




 快感がまだ抜けきらない彼女は、小刻みに震えていた。
 荒い息を、必死で整えようとしている( そのまま溺れていてもいいだろうに・・・ )
 抱き寄せようと手を伸ばすが、肩に触れた途端、びくり!と大きく震えた。
 構わずに胸に閉じ込める。しばらく硬直していたが、時間の経過と共に、金縛りは解れていった。


「 ・・・落ち着いたか? 」
「 は、はい・・・すみません、でした 」
「 何で謝るんだ?俺の方が礼を言わねえといけないくらい、気持ち良か・・・ 」
「 いいいいいや、言わないで!はずっ、恥ずかしいです、からっ!! 」


 ぶんぶんと頭を振りながら、俺の口元を両手で塞ごうとする。
 こんな暗闇の中では確認できないが、きっと彼女は真っ赤になっているんだろうな・・・。
 そう考えると、何とも愛しくなってきて。ぷっと吹き出して、彼女を抱き締める。
 彼女から漂う汗の匂いは、甘い香りがする。ずっと嗅いでいたい気もするが・・・そうも言ってられねえ。
 抱き締めていた腕を緩めて、顔を覗き込むと、彼女も俺を見つめるように顔を上げていた。


「 ・・・風呂、入ってくるか? 」


 情事の後の風呂は、結婚してからの習慣だ。
 以前はそのまま寝てしまうことのほうが多かったのだが、心地良い疲労感がもたらす眠りは深く、
 寝坊しそうになることが多いのだ。一分でも長く寝るためには、夜のうちに入っておいた方が得策だ。
 こくん、と頷いて・・・億劫そうにベッドから起き上がって、欠伸をひとつ。
 ( 本当は、もう眠くて眠くて、仕方ないって表情をしてやがるのが・・・また可愛かった )
 湧き上がる笑みを隠すように、俺は素早く身体を起こすと、そのまま彼女の身体を持ち上げた。


「 ひゃ、あ・・・ッ!? 」
「 今夜は一緒に入るとするか。たまには、いいだろう? 」
「 な、っ・・・何を言ってるんですか!?ははは裸ですよ!? 」
「 お前こそ、何を今更言ってるんだ。今さっきまで裸で・・・ 」
「 きゃーきゃーきゃー!何も聞こえませんーっ!! 」


 身体を隠すように当てていた手で、今度は耳を塞ぐ。
 ・・・おいおい、もう身体は隠さなくていいのか?と尋ねると、はっとして、身体を丸める。
 露になった耳に唇を近づけると、彼女はどこをガードしたらいいのかわからず、
 半分パニックになっているようで、うーうー・・・と唸り出して、俺の腕の中で暴れた。










「 お前の『 全部 』、俺にだけは・・・見せてくれる、だろ? 」










 低い声で呟けば、彼女の全身から一気に力が抜けた。
 大人しくなった彼女に微笑めば、小十郎さん、ずるいです・・・と潤んだ瞳で彼女が降参する。






 ・・・ああ、上等だ。ずるい大人で、結構
 お前の『 心 』をこの手に掴んでいられるためなら、俺はどんなことだってするさ


 いいことも・・・・・・悪いことも、な


 耳まで真っ赤になった彼女を抱き締めると、じわりと手に汗がなじむ。
 ああ、恥ずかしさに、また汗をかいたんだな・・・本当に、飽きないヤツだ、お前は。










 彼女の匂いにうっとりしながら、額にキスを送る。


 そして、辿りついたバスルームの扉に・・・手をかけた。








エンドレス・ラヴストーリー



10.Midnight( 片倉小十郎 )



( さて、どこから洗ってほしいんだ?髪から足の指の先まで、どこでも・・・ )
( けけけけ結構です!自分で洗えますから、って・・・ちょ、小十郎さんっ!!! )
泪と砂糖水

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01.Morning( 真田幸村 )02.Daytime( 伊達政宗 )03.Afternoon( 前田慶次 )
04.Evening( 猿飛佐助 )05.Night( 竹中半兵衛 )



10.Midnight( ? )