・・・・・・・・・・・・・・・ぉい、おーい、朝だぞー。






ははっ、おはようさん！目が、覚めたかい？？


見ておくれよ、この見事な晴天を。
昨日あれだけ星が瞬いていたからな、案の定だ。これなら・・・今日は頑張れそうだ。
いつもより北へ、多めに足を伸ばそうか。いや、お前の言う通り、焦る旅ではないんだけど、さ。


うーん、実は、な・・・へへっ、昨日寝る間際に想像しちまったんだな、これが。


俺は、知っての通り、根無し草のようなヤツだ。
本来だったら、利のように前田の家名を守って生きていくのが至極当然。
けれど、俺はその輪から外れちまった。
気がつけば日本中を回って、いつか腰を落ち着けられる『　理想郷　』なんてのを探しちまってる。
今の生き方に不満なんてない。むしろ在るのは、幸せばかりだ。
もちろん、俺が幸せは・・・お前が居てくれるからだ。
夢吉とお前と、これからの旅先でも共に楽しく過ごしていけたらどんなに幸せだろう。


・・・昨晩さ、お前をこうして腕の中に抱いて、めちゃくちゃ幸せだーって実感して。
これが永久に続いたらどうなるかなって、すごく簡単にだけど未来予想図を描いてみたんだ。
そしたらさ・・・自然と、こんな俺でも悟ったことがある。






いつか・・・どこか『　終着点　』を探して、根無し草を卒業しなきゃなって。






・・・え、朝から暗い話になってる？？そうかな、俺はそうは思わないぜ。
お前と一緒になると決めた日から、心の隅っこにだけど置いてきた覚悟だ。
そうじゃなきゃ・・・お前を娶りたいなんて責任ある発言、出来ないだろ？


それとも、旅が出来なきゃ『　俺　』は終わりかい？


うん、そんなことないだろ？俺ぁ、いつだって『　俺　』だよ。
誰と、どこに居ても、どんなときでも、俺は『　風来坊・前田慶次　』以外の誰でもない。
そして・・・どんな『　俺　』も、お前を一等大切に護っていきたいって思ってるんだぜ、へへ。














北へ行こうぜ。


各地を回った結果、この根っこを下ろしてもいいかなと思った土地がある。
その景色を・・・お前にも見せてやりたい。気に入ったら、そこを『　終着点　』にしよう。






どんな未来予想図だったとしても、俺は・・・お前の隣にいれば、そこが俺の『　理想郷　』だから。

添寝朝話



（　探していた『　理想郷　』とやらを、やっと見つけた気がするんだ、俺　）