・・・おお、起きられたか!おはよう、でござるッッ!!






何、そなたが遅い訳ではない。
まだ上田城内は静か、炊き場に集まる予定の女子衆もまだ起きてはおらぬ。
某が・・・早く、起きてしまったのでござる。皆より少し早めに、な。


い、いや!それは断じて違う!そなたのせいではござらぬッ!!
そ・・・某、が・・・その・・・そなたが隣に、いるせいで、一睡も出来なか・・・。
あああッ、ご、誤解でござる!そんな泣きそうな顔をしないで欲しい。


・・・い、一度しか言わぬ。






そ、そなたの寝顔に見惚れ、て、一睡することさえ惜しかった、のでござる。






今日より、某、真田幸村は一武人として戦地に赴く。
昨夜も少し零したが・・・『 今夜 』からは、そなたは傍に居らぬ。
自分の妻を戦になど連れて行けぬことは、百も承知。
佐助に怒られ、お館様にげんこつを喰らうだけでは済まぬかも知れぬ。
・・・というより、そなたには・・・血に濡れた某の姿など、見て欲しくないというのが本音だ。


『 人殺し 』と嫌われたく、ない。
某は、自分が思うておるより・・・ずっと深く、そなたに惚れているのだと改めて気づかされる。


・・・はは、そう、か。
血に濡れても、す、好いてくれるというそなたの言葉・・・何よりも、嬉しい。
かたじけない。いつもその真っ直ぐな想いに、某は救われているのでござる。






あ・・・そう、だな。少し屋敷の気配が満ちてきているようだ。
皆、起きだしたのでござろうな。そなたも用意があるのだろう、某はもう少し朝の鍛錬を・・・。


あっ、お、お待ちくだされっ!!


・・・・・・す、すまぬ。突然呼び止めて。
あの、そ、その、これから女子衆と朝餉と弁当の支度をするのでござろう?
それで・・・某、どうしたらそなたの握り飯を引き当てられるか、寝ないで考えたのだが・・・。






た、単刀直入に申す!!


そなたの握ったものは、すべて『 某用 』として特別に届けて欲しいのでござるッ!!






某以外の男に食べられてしまうのも、こう言っては何だが、癪なのでござる。
いや皆大切な同志であることは変わりないのだが、そなたの握り飯は誰にも渡したくないのだ。
・・・えっ、ひ、卑怯でござろうか!?ううむ、けれどこうするより他に手は・・・。


ふっ、あははっ、そうだな・・・そなたの言う通り、だ。














某は、そなたが『 関わる 』ことに関しては、いつも以上に一直線になってしまうのでござるよ。














添寝朝話



( それを嫉妬と呼ぶらしいが、そなたを愛するが故でござるよ )

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10.?( secret )