『……………』




俺は………確かに………




下駄箱を開けた………ハズ




『やッ!?ややッ!?』


伊織が極度の反応を示す。

『さっすがぁ………リーダー!!!
押さえるところは押さえてますなぁ!!!』

………俺は、カワイコちゃんからひとつw
もらえればいいんだけどね!!!




………俺だって………


ひとつあれば充分………だ!!!




予鈴ぎりぎりの登校時間………


他の生徒の視線を浴びながら、俺は床にばらまいた包装されたものを、カバンに押し込んでいった。









『余裕もってくればよかったね………』


担任の鳥海先生のホームルームが終わり
(『私の学生の時はね、『先輩v』って、後輩がチョコをくれる時代だったのよ!!!』)、岳羽が近づいてくる。




『………もてるんだね』


俺のカバンの隙間からはみ出ている包装紙を見て………呟く。


『………』




………なんて答えりゃいいんだ………




これは全て義理だ!!!




イヤ………これは単なる………






『おッ!!!ゆかりんのぶちギレ侍!!!』


『じゅんぺぇ?ッ!!!』






教室に………派手な平手打ちが響き渡った………









昼休憩………




『………朝から下駄箱で騒動を起こしたらしいな』




………なぜ………三年生まで広がる?




生徒会会長の桐条先輩は、進学先も決まっているからか、受験生らしからぬ穏やかな雰囲気を醸し出している。


ハイレグアーマーが………


誰よりも似合う先輩………


一回ぐらい、そのピンヒールで踏まれて『出直して来いッ!!!』と言われてもいいと思う。




『………誰から聞かれたのですか?会長?』

頭の妄想を振り切り、俺は尋ねる。

『あぁ………明彦からだ』




………あの………




牛丼オタクめ!!!









『エマージェンシー!!!』


………な………なんだよ、どうした?グルメキング?


『ち………ちみ………』

相変わらず、汗が大量に発生してるぞ?

『大量にチョコ………もらっただろ?』

『あ……あぁ………』

………こいつにも………見られていたのか………

『いいなぁ!!!ずるいじゃないかッ!!!ちみッ!!!』

『………食べたいのか?』

『い……いや………』

答えると慌てるグルメキング。

『ほれ薬!!!入っていたら困るから!!!
ボクはまだ、いっぱい食べたいものがあるんだ!!!』









放課後………




一年生の伏見千尋が相変わらず、俺の教室の出入口前で俯いて立っている。


『どうかした?』

『えッ………いえ………』

彼女は………すぐにトマトのように顔を赤くして………かわいい。




キスしたら………


気絶しちゃうんじゃないだろうか?




『………あの………私………』

もじもじしている身体の後ろから、小さな包装されたモノを出してくる。

『………俺……に?』

こくん………と頷く伏見。

『………でも………』

………いっぱいもらっていらっしゃいますから、迷惑ですよね?




小さな包装されたモノは………俺の手のなかに入ることはなかった。









『宮本くん、いる?』


やっぱりこの子も………チョコ配り………か


色々相談にのったのに………


部員用の義理チョコは用意してないようだ。


彼女の性格から………手作りな気はする。


別にチョコをたくさん欲しいわけじゃない。


実際………出所不明のチョコを大量にカバンに保護している。


ここで………開けるわけにもいかない。




とりあえず、学校を出る………か………









誰にも見つからないところ………と考えて来たのは長鳴神社。


ま………お稲荷さんに見られても………たかが知れてるし………


『おに―ちゃん!来てくれたんだね!』




………その声は………


小学生、たこ焼たかりやの舞子!!!


広げたチョコを慌てて隠す。


『おに―ちゃん………もてもてッ!!!
………だから……最近………私と………』


寂しげな顔をされ………俺は………




『おに―ちゃんッ!!!次は何で遊ぶ?
おに―ちゃんが決めて!』


『………じゃ………シーソー………』


『いいよ!!!』






………激………尻が痛いんだけど………









………すっかり暗くなって寄宿舎に戻った………




『はい………風花と私から………』

岳羽からチョコが手渡された。

『あ………ありがとう』

ちょっとご機嫌斜めな彼女………




共同出資でも………

ようやくまともにチョコをプレゼントされた気がした。




『ホームラン!!!』

二階の廊下を通ると………伊織の絶叫も聞こえることだし………

伊織は伊織なりにいい日を迎えられたようだ。




自室で………ようやく、朝の下駄箱から飛び出てきた包装されたモノをひとつひとつ開けてみる。


『………これは………』




“ジェム入りボンボン”


“宝石チョコ”


“ジェム入りボンボン”


“チョコ掛けダイエットフード(注:あまりの臭さに食欲が減退する食べ物)”


“宝石チョコ”


“ジェム入りボンボン”


“チョコ掛けダイエットフード(注:あまりの臭さに食欲が減退する食べ物)”


“ミステリーフードチョコ味(副作用はよくある)”


“ジェム入りボンボン”




………どこの店で




………売っているんだ………









『イゴール様………あのような形でプレゼントして………よろしかったでしょうか?』

『………不服か?エリザベス?』

『いいえ』

エリザベスは微笑む。

『私もたまには人間界のいべんとに参加してみたいと考えておりましたから………』

『喜んでおったろう?』

『えぇ………』




………1日中………




黒くて光るもののように………




こそこそしておりましたわ




さぞ………勇気があがったかと………






今回もねじがP3Pのお話をくれるというのでもらってきましたw
いつもありがとー!勇気が上がったのはエリザベスですか、そうですかwww
今度は私のテオも出してくれると嬉しいです(←)・・・って、今気づいたんですが明彦も真田ですね!?w
ううーん、やっぱり灯もオフで改名して真田を名乗ればいいのか、とかそんな妄想ばかりしています(末期)
ねじー、ありがとうー!!