小鳥のさえずりに目を覚ます・・・なんて、贅沢なんだろうって、最近思うんだ。
揺れていた視界の焦点が少しずつ合って、開けた世界はとても白かった。
窓から明るく差し込む光が、綺麗に洗われた真っ白なベッドを照らしている。
見上げた太陽は、とうに頭上高く昇っていた・・・思わず、目を細める。
・・・随分と、眠ってしまったみたいだ。
社会人になっても、学生時代と変わらず規則正しい生活を送っていたが、
週末になれば、時々こうやってゆっくり身体を休めたい朝も迎えるようになった。
原因は・・・・・・
「 ん・・・ぅ 」
腕の中の彼女は、小さな寝息を立てていた。
声もかけても起きないであろう、深い眠りについているのは、経験でわかっている。
何も身に着けていないの肌の上を、零れ落ちた光が滑っていく。
まるで、一枚の絵画を見ているように・・・美しかった。
安心しきった彼女の表情を見て( とても、愛しくなって )
ぎゅっと抱き締めると・・・の眉間に、皺が寄った。
「 ・・・・・・ 」
「 おはよう、 」
「 ・・・さ・・・なだ、クン・・・? 」
コイツ、まだ夢の中にいるつもりだな。
とろんとした瞳は酷く濁っていて、ちょっとでも気を緩めると夢の中へ逆戻りしそうな。
俺は、彼女の顎を持ち上げて、ついばむように口付けた。
ちゅっ、ちゅ・・・としばらく、なすがままになっていたの頬が、徐々に上気していく。
「 ね・・・ちょっ、・・・あ、アキ・・・明彦っ! 」
「 ようやく起きたか 」
「 朝っぱらから、なっ、何すンのよ!? 」
「 俺のことを『 真田くん 』なんて呼ぶからさ。自覚が足りないんじゃないかと思って、な 」
「 ・・・自覚? 」
「 同級生でも、恋人でもなく・・・俺の『 妻 』として、の自覚 」
「 ・・・!ちょ、ちょっと寝ぼけただけよ!! 」
「 どうかな 」
意地悪く微笑んで、彼女への朝の挨拶を再開する。
の身体に、上半身だけ体重を預けて、キス。唇、頬、耳たぶや首筋、鎖骨を通って。
「 んんっ! 」
彼女の身体が、震える。
乳房に顔をうずめて、突起に舌を絡めた。
その瞬間に、今まで眠っていたとは思えないほど、実に敏感に腰が浮く。
最初は抵抗していた腕も、次第に離れてシーツを硬く握り締めていた。
「 は・・・、ァ・・・ 」
吐息の変化に、俺は顔を上げた。
見ればの顔は、もう真っ赤に染まっていて。
陽に照らされた身体も、風呂上りのように薄桃色になっている。
「 気持ちいいか 」
「 や・・・聞かないでって、いつも言って・・・あ、ァんっ! 」
「 もう一度聞くぞ。気持ちいいんだろ 」
「 ・・・・・・ん 」
しばらく躊躇してから、首を上下に振ったのを見届けて。
俺は被っていたタオルケットを、ゆっくりと剥いだ。
硬く閉じられた脚と脚の隙間に指を伸ばす。そしてそれは、難なく貫いた。
「 ああぁっ! 」
が素直になるのは、身体がうずている時。
『 羞恥 』も『 理性 』も超えて、俺に『 抱いてほしい 』と思っている。
・・・付き合っている当時からしたら、随分な進歩、だ。
時間を重ねるごとに、ヒトとしての関係だけでなく、セックスも変わっていくんだな。
俺の唇と掌が、の身体で触れていないところがないように。
どこを触れば、が歓ぶか知っているのだって・・・全部、重ねた年月で学んだこと。
( それはきっと、君も同じ )
何度か抜き差ししてやると、の緊張が程よく解けていく。
よく湿っているのを確認するように、俺は人差し指についた愛液を光にかざした。
「 凄いな・・・腿を伝って、シーツまで垂れているぞ 」
「 あ、明彦・・・っ 」
「 ・・・ああ、挿れるぞ 」
彼女の腰を引き寄せて、そのまま片手で両脚を持ち上げた。
「 んっ・・・ああァあんっ!! 」
挿れた瞬間、ぞわり、と背筋に快感が駆け巡る。
その快感に流されまいと動き始めて、淫らな水音との嬌声が部屋を満たした。
繋がっているのは、ほんの身体の一部なのに・・・何故かな。
「 ・・・愛してる・・・っ 」
全身を熱で、愛で、いっぱいにして。
誰にも渡さない。永遠に、彼女を満たすのは俺であって欲しい、と。
まるで・・・のココロに、束縛の楔を打ち込んでいるような気分になる。
( そしてそんな『 支配欲 』に、男は酔うんだろうな )
「 あ、ン・・・ふぁ、あき、ひ、こっ・・・んんぁっ・・・ 」
「 俺も、一緒にイクぞ 」
細めた瞳に、零さんばかりの涙を湛えて。
絶頂を迎えそうなに、最後の楔を強く打ち込んだ。
ひゃっ・・と小さく悲鳴を上げて、俺の背中をぎゅっと抱え込んで、身体を丸めた。
「 ふあ、ダっ、ダ・・・メっ!んぁ、っ!!ああっ、あぁぁんああんぁっ・・・!! 」
「 ・・・ク、ぅ・・・っ! 」
彼女の快感に引っ張られるようにして、俺も思わずの身体を抱き締める。
どくり、と心臓の呼応に反応するかのように、繋がった其処から、白いものが零れた。
荒い息を吐きながら、俺はそのままに倒れこむ。
二人とも、上がった息を整えるのに時間が必要で・・・しばらく、口もきけなかった。
「 私も・・・明彦を、愛してる 」
「 ・・・・・・え 」
「 最中に、言ってくれたでしょ?だから・・・ 」
息も絶え絶えに、そっと俺の背中を抱き締める。
『 力 』なんかなくても、そんな一言が・・・俺を『 幸せ 』にするんだ。
( 繋がったのは『 身体 』なのに、まるで、『 ココロ 』と『 ココロ 』が触れ合ったような )
「 ・・・? 」
「 ・・・・・・・・・ 」
俺の背中に乗せていた腕がぱたりとシーツに落ちたのを見て、声をかける。
汗を額に張りつかせたまま、はまた眠りに落ちていた。
声をかけても気がつかないくらい・・・ということは、これまたしばらく起きない、な。
「 ( ・・・まあ、いいか ) 」
俺は起こさないように、そっとタオルケットで身体を包む
宝物のように、大切に包まれた彼女を抱き締めながら・・・俺も、瞳を閉じた・・・
mon mari
〜 私の旦那様 〜
( せっかくの、休日だしな。二人でめいっぱい羽根を休めるとするか・・・ )
mon mari = フランス語で『 私の旦那様 』の意味です。
真田先輩は、社会人になっても規則正しく生活してそうだけど、週末はいっぱいセックスするよ!が真のテーマ(最低)