「 好きだ 」


 鳩が豆鉄砲を食らう、という言葉があるけれど。
 今の彼女は、そんな顔をしている。
 ぽか・・・んと、阿呆みたいに口を開けて、目の前の俺を見つめていた。
 ( いや、普段から阿呆とは思ってはいたが、ここまでとは・・・ )


 次第に。
 か、か、と身体の熱が頭の天辺まで上昇する。
 堪え切れなくて、俺は思わず顔を背けた。








 ・・・ば・・・馬鹿か、お前はっ!!
 ななななな何で告白したおおお俺の方が、照れなきゃいけないんだっ!?
 ふふ、ふ普通、こういう時は、ここ告白された方が頬を赤らめたりして、
 ”きゃ、恥ずかしい☆”的な反応をするんじゃないのか・・・っっ!?








「 神田・・・今、なん、て? 」
「 な・・・っっ!! 」








 言わせる気か!?もう一度言わせるのか、おい!?
 追い詰められた俺の想いに、更に追い討ちをかけるつもりなのかっ!?








 恨みを込めてを睨むと、怯えたように肩をすくめる。
 そんな彼女を見て・・・少しだけ冷静になったのか。
 俺は( わざとらしく )大きな溜息を吐いた。


「 うぅっ・・・酷い、神田ったら 」


 いじけたようには呟いて、上目遣いで俺を射抜く( うっ )


「 ね、今さ、私のこと『好き』って・・・言った? 」
「 ・・・・・・・・・ 」


 熱が、血流に乗ってもう一周身体を駆け巡る( それは物凄い速さで )
 再び血が上った頭の重さに耐え切れず、そのままコクリと頷いた。


 すると。
 俺の熱が飛び火したかのように、徐々に染まっていくの顔。
 熟れたトマト色になった頬を両手で押さえて、唸り始めた。


「 ・・・うううっっ!!! 」


 は、眉間に力を入れて、きゅ、と瞳を瞑った。
 荒い息遣い。ポロポロと零れだした涙。
 苦しそうな彼女の様子に、さすがの俺も狼狽する。


「 お、おい 」
「 あああ、あの、あの・・ねっ!! 」


 駆け寄った俺の団服の裾を掴んで。
 眉八の字、泣きべそ顔のが・・・・・・・・・






 俺を見上げて・・・・・微笑った












「 私も、神田が好き 」
























( ・・・思わず頬が緩んだのは、予想外 )




Material:"Nicol"
Title:"BLAZING STAR !!"