光が音に変わって、私をそっと目覚めさせる。


 その、とても柔らかい音に・・・・・・閉じていた瞳を、開いた。






 一番最初に目に入ったのは、淡いクリーム色のシーツ。
 それから、ピンク色のネイル。
 滑らかな爪の上に、朝の光が降り注いでいて、宝石みたいに光ってた。
 きれい・・・と独り言のように呟いて。
 音色の発信源を探そうと、ゆっくり身体を起こす。
 見慣れた部屋、ではなかった。


 ・・・ああ、そうだ。
 ここは、この春から新しい住まいになる、彼の小さなお城だ。


 真っ白な壁。端に、いくつも積まれたダンボール。新しい樹の、匂い。
 音は、窓の下に直に置いてある、小さなコンポから流れていた。
 隣には無造作に広げられた、CDケース。


「 あ、・・・起きたか? 」


 静かな部屋にしては大きな、扉の開く音がして。


「 準太 」


 覗いた顔に私が呼びかけると、彼はに、っと微笑んだ。
 頬が蒸気しているのは、今まで、シャワーを浴びていたのだろう。
 バスタオルを腰に巻いて、冷蔵庫からコーラの缶を取り出して、口に含む。
 私にも頂戴、と言うと、新しいものを出そうとしたので、飲みかけでいい、と言った。


「 ・・・結構、いいモンだな 」
「 CD? 」
「 うん。こういうジャンルを、今まで自分で手に取ることとか、なかったからさ 」


 濡れた髪を拭きながら、準太は笑う。落ちた雫が、シーツに染みを作った。
 指でその染みをなぞって、昨日のデートを思い出す。
 両手をネイルで彩って、いつもよりお洒落して。
 私のオススメの、クラシックCDを買って、それから・・・・・・


「 ね 」
「 ん? 」


 髪を拭く手を止めて、彼が振り返った。
 大きな瞳に、裸の私が映っている・・・一糸纏わない、剥き出しな、ココロと一緒に。


「 離れていても、私のこと・・・忘れないでね 」


 声が少しだけ、震えた。
 準太は、一瞬、きょとんとしていたが、すぐに満面の笑顔を見せる。
 素早く私の頬に、ちゅ、と口付けして、忘れねーよ、と囁いた。


「 こそ・・・離れても、俺のこと、忘れんなよ! 」


 俺だって寂しいんだぞ!と、拗ねたような準太が可愛くて、私は堪らず吹き出した。
 準太は、笑い出した私を驚くように見ていたが、やがて背中を向けて本格的に拗ねだした。








 ・・・うん、ダイジョーブ




 この気持ちがあれば、続いていけるよね、私たち
 距離があっても・・・想いだけは、愛だけは、すぐ傍にあると、信じられるから


 ( だから、一緒に居る一瞬、一瞬を、大事にしていこう )
















 お前は結構、無自覚な部分があるから、俺のほうこそ気苦労が絶えねーよ、と


 愚痴を零しだした彼の背中に・・・・・・抱きついた!!
















覚めない





( 新しい世界が広がっても、本質的なものは何も変わらない )






Title:"good bye my love"



あ、秋なのに、春の作品でゴメンナサイw