Dear my teacher/3 ずっと頭に被っていた茶髪のウィッグを外してやると、それまでは平然と誘ってきていた露伴が気まずそうに視線を逸らした。 いつものヘアバンドで上げていない、少し長めの前髪。女装をずっと見てきた後だとそれが妙に懐かしく感じる。 「どうした」 「あの……これじゃ、化粧だけ浮いてしまっておかしくないですか」 「いいじゃねえか、見ているのは俺だけだ」 「そんなこと、よく平気な顔して言えますね」 中途半端な感じで男に戻ってしまったのが嫌なのか、露伴は不満そうに睨んできた。 女装するならパットを入れろと裕也に脳内で突っ込まれていたその胸に触れ、ワンピースの上から乳首を探り当てる。平らな男の胸だが、この時点で息を乱し始めた露伴の反応からして楽しめそうだ。 薄い布地越しにそこへ唇を押し当てたり、挟むような動きで愛撫を加えているうちに、露伴は承太郎にしがみつきながら身体をよじった。じれったいのか、承太郎の太腿に跨った まま腰を揺らしている。 「俺が言うのも何だが、これのどこが復習なんだ」 「女装した状態であなたを誘って僕に欲情してくれたら、今日教えてもらった内容が身に付いたということですよ」 「男の誘い方までは教えてないぞ」 「じゃあ応用編ですね、今から」 そう言って薄く笑みを浮かべた露伴のほうから、唇を重ねてきた。角度を変えて何度も繰り返し、やがて顔が離れた後で露伴は承太郎の唇に触れて、指先で何かを拭い取る。 「僕の口紅の色、ついてしまったので」 露伴の気遣いは嬉しくなるどころか、逆に苛立たせた。ふたりだけの部屋で身体を密着させて唇を何度も重ねた、この状況の中でまだそんな余裕があるのか。 こちらを馬鹿にしているつもりは一切ないのは見れば分かるが、生まれてしまった苛立ちは簡単には消えなかった。 ソファに露伴を押し倒してワンピースを腰までめくり上げると、ストッキングと下着を強引に脱がす。唐突すぎる承太郎の行為に露伴はさすがに驚いた顔をしているが、 性器はすでに硬く勃ち上がっていた。下着が少し脱がしにくかったのは、そのせいだ。 化粧や服は女装をしていた時のままで、下半身のほうは先走りを浮かべながらしっかりと勃起している。おかしな光景だが、こちらも興奮してきた。 「いい眺めだな」 「その台詞、どこかのエロ親父みたいですね……」 早く食ってくれと言わんばかりに足を開いた体勢の露伴が、呆れた口調で呟く。 先ほどから充分すぎるほどの痴態を見せつけられて、もう限界だった。ズボンのジッパーを下ろし、承太郎も自らの性器を解放する。それを見た露伴の顔色が変わった。 「うわっ……でかい」 「それは、褒め言葉として受け取っておくぜ」 露伴に覆い被さり、今度は深いくちづけをする。もう唇を重ね合うだけでは物足りない。 「そのまま、続けながら聞いてください……っ、あ」 指と唾液を使って解した、露伴の後ろの穴に性器を沈めていると突然そう言われた。感じる部分に当たったのか、承太郎の下で露伴は声を上げながら喉を反らす。 まだ買ったばかりだというワンピースは、ふたりの汗や先走りで湿っていた。終わる頃には、隅々まで情事の匂いが染み込んでいるだろう。 「今日は本当に楽しかった。色々と勉強にもなったし、あなたを選んだのは正解でした」 「……それは光栄だな」 「だからこの町に戻っても離れたくない、もっと一緒に居たいって思ったんです」 濡れた目の露伴と、視線が合う。更に奥へと腰を進めながら、わけの分からない胸騒ぎがした。復習だの応用編だのと言って承太郎を挑発してきた時の余裕はどこにもなく、 くだらない思い込みで苛立った勢いで手を出してしまったことを、今更ながら悔やんだ。 「こんなこと言われても多分、あなたは迷惑でしかないけれど。もう隠せない……どうにかなりそうで」 根元まで挿入して、承太郎は動きを止めた。こうしていても狭い腸壁に性器を締め付けられ、気を抜くと達してしまいそうだ。 「承太郎さん……好きです」 性器をきつく咥え込みながら、露伴はとろけきった表情でそう告げてきた。 黒いストッキングに包まれた爪先が、恐ろしいほど器用に承太郎の性器を擦る。 両足を使って挟み込み、根元から亀頭のくびれた部分までを何度も往復していく。堪え切れずに呻くと、露伴は楽しそうに笑いながら爪先の動きを早めた。 「男の足で扱かれて、こんなに感じるなんて変態ですよね。自覚してます?」 露伴が動くたびに、彼が穿いているミニスカートの奥がちらちらと見える。肩や鎖骨を大胆に晒した女物の服を、開き直った様子で着ていた。 もう見ることはないだろうと思っていた、露伴の女装姿。あれから数日経って、約束の時間にこの家を訪れた承太郎を出迎えた露伴は、すでにこの格好をしていた。 あの茶髪のウィッグは着けていないが、ヘアバンドを外した状態でしっかりと化粧をしている。美味そうに濡れた桃色の唇が、やけに印象的だった。 「この格好であなたを気持ち良くさせるの、何だか癖になってしまいそうですよ」 「だったら、あんたも変態じゃねえか」 「そうですね……僕も、感じちゃってもう大変」 先走りで濡れていた爪先はやがて承太郎が達すると、どろりとした精液にまみれる。 ストッキングの少しざらついた感触が、快感に追い打ちをかけていた。 露伴の告白を、承太郎は拒めなかった。妻も娘も居る自分の立場を忘れたわけではないが、普段はわがままで変わり者の露伴が行為の最中に初めて見せた、 珍しく健気な部分にやられてしまった。後先も考えずに、この男を手放したくないと心底思ったのだ。 「今度は、僕のことも気持ち良くしてください」 ストレートな誘い文句に導かれるように承太郎は、身体を寄せてきた露伴のミニスカートの上から尻の割れ目を撫でた。 |