イラストの前後を勝手に想像した話 書いた人/ハシノ ↓ ↓ ↓ 身体を軽々と持ち上げられ、驚いて何も言えなくなった。まるで小さな子供のような扱いだ。 「ち、ちょっと……下ろしてください」 「さあ、どうしよっかな〜」 露伴が動揺している様子を至近距離で眺めながら、黒髪の青年は愉快そうに目を細めている。こんなふうに子供のような扱いをされることには慣れていない。普通ならただでは 済まさないところだが、相手が悪い。外見は同じ歳くらいでも、実は79歳のジョセフが何らかの理由で若返ってしまった結果こうなったのだ。 この事情については限られた人間しか知らない。承太郎と仗助、そして露伴。自分は強引にスタンドの力で彼の記憶を読んだのがきっかけで知った。 それ以来、何故か若返ったジョセフに気に入られたらしく、顔を合わせるたびにこうして絡まれている。 顔を見れば見るほど仗助にそっくりで腹が立つ、しかし正体はあの老人だと思うと敬語も崩せず攻撃もしにくい。 ところで今の状態のまま数分経っているが、ジョセフの逞しい腕は震えることもなく同じ体勢で露伴を持ち上げ続けている。大柄な承太郎とほぼ変わらない身長と体格、しかしその中身は全く違う。血の繋がりが疑わしくなるほどに。 「露伴君って本当に軽いねえ、ちゃんと食ってる?」 「たまに言われますけど、心配されないくらいには食べてますよ」 「誰に言われてんの? 仗助? それとも承太郎……」 「いいじゃないですか別に! あなたには関係ない!」 「君のことなら何でも知りたい年頃なのよーん」 79歳のくせに、と突っ込もうとした唇は突然のキスで塞がれた。信じられないほど手が早い。深いものではなく触れ合った程度だが、1秒も油断できない相手だと改めて思った。 戻る |