ベッドに腰掛けた承太郎の足の間に膝をつき、股間のジッパーを下げた時はさすがに嫌な顔をされた。 しかしそれだけで、文句は言われなかった。承太郎は今、携帯電話の向こうにいる妻との会話中で、怪しまれるような発言をするわけにはいかないのだから。 こちらは以前から望んでいたことがようやく実現しようとしているのだ。咎められても素直に引き下がるつもりはなかった。 まだ反応していない性器を露わにすると、下からゆっくりと舐め上げながら視線を承太郎のほうへと移す。かすかに息を乱し、眉を寄せる表情には何とも言えない色気がある。 そんなものを見せられては、更にいじめたくなってしまう。興奮が止まらない。 視線の向きはそのままで、尿道の小さな穴を舌先で抉ると面白いほど性器が硬くなった。それでも承太郎は冷静な口調で妻に語りかけている。会話の内容からして深刻な流れ だと分かるが、あえてここは空気を読まないのが自分にとっての正解だ。 性器を支えていた手を、今度は両方の内腿に添えた。そして喉に突き刺さる勢いで根元まで咥え込み、たっぷりと唾液を絡めて顔を上下に動かす。 電話の向こうにも聞こえそうな、濡れた音を立てながら。途端に承太郎が少しだけ早口になった。動揺したらしい。 なりふり構わず舐めて吸って、会話が終わらないうちに射精させたい。直前に漏らす呻き声を、電話の相手に聞かせてやるために。 先走りがズボンを汚す前にそれを吸い上げた時、突然両手で頭を掴まれた。再び視線を上げると、承太郎は携帯電話を肩と耳の間に挟みながら会話を続けていた。 そして乱暴な手つきで露伴の頭を股間に押しつけては、すぐに亀頭ぎりぎりのところまで離していく。これを何度も繰り返す。耳元ではイヤリングが激しく揺れている。 先ほどまでは自分のペースでやっていた行為が、今では相手に主導権を握られている。こんなふうに扱われても、感じるのは屈辱ではなく快感だった。 身体の中心が甘く痺れて、思わず腰が揺れた。男の玩具になった貴重な経験、記憶に刻みつけて後に生かすことにする。 愛している、という言葉が頭上から聞こえた。もちろんそれは露伴にではなく、妻に向けられたものだと分かる。直後、粘ついた苦い精液が喉に叩きつけられた。いつもより 放出の勢いが凄くて、この状況に興奮したのは自分だけではなかったのだと思う。 唾液も使って飲み干していると、承太郎が電話を切る気配がした。 「ふふ、最低ですね……奥さんに愛を囁きながら、実は男の口に射精してるなんて」 「最低なのは、あんたのほうだろう」 「何とでも言ってください。面白い経験させてもらったし満足……でもないか」 露伴は苦笑しながら、自分のズボンと下着を足元までずらす。承太郎のものを咥えているうちに勃起していた性器を、見せつけるように弄んだ。視線を感じてぞくぞくする。 「ぼくも感じちゃって、大変なんです。前も後ろも、いじってほしいなあ」 「……本気で、いかれてやがる」 「せめて日本にいる間だけでも、付き合ってくださいよ。離れてしまえば終わりなんですから」 吐き捨てるような、そんな言葉が出てきた。割り切っていたはずなのに、どこか苦しい。 back 2011/10/23 |