はじめての快感





ベッドの中で仗助がぼくの背中に抱きついてきた途端に感じる、べたっと張り付くような不快な感覚。セックスの最中に肌が重なるのは嫌いじゃないが、蒸し暑い真夏の夜となれば話は別だ。
雨のせいで朝から湿度が高く、それに加えて激しい動きでぼくを突き上げていた仗助の身体は、終わる頃にはすっかり汗まみれだった。そんな状態で密着されてはたまらない、もちろん悪い意味で。

「離れろ、暑苦しい!」
「なんでだよー、さっきまではおれにしがみついて喘いでたじゃねえか」
「うるさい、出すもの出したらさっさと寝ろよ!」

そう言ってぼくは仗助の腕から逃れようとしたが、若さに任せた馬鹿力で抱き締められて上手くいかない。つい最近までは童貞で大したテクニックも無いくせに、腕力だけは一人前で腹が立つ。

「別におれ、出すのが目的であんたとやってるわけじゃないぜ? まあ、確かに気持ちいいけどよ」
「じゃあ何だ、ぼくとセックスできるならイケなくてもいいってことか」
「露伴とこうやって、ベッドでいちゃいちゃできるのが幸せ」

さっきから腰の辺りに、卑猥に脈打つ硬いものが当たっているのは気のせいだろうか。がちがちになったそれが押し付けられていると、そのうち犬のように発情した馬鹿仗助が後ろから挿入してくるかもしれない。

「やばい、また勃ってきた……なあ、露伴」
「嫌だ」

予想通りの展開に呆れて、ぼくは未だに仗助に背を向けたまま短く拒絶する。耳元に感じる荒い息が止まらず、仗助は本気でまたぼくを抱こうとしているのだと分かった。
強引にうつ伏せにさせられ、腰だけが高く上がる体勢になる。

「あんたの尻の穴がおれのちんこの形に合わせて拡がるのって、すげえエロいんだよな」

少し前まで仗助に犯されていた窄まりをじっくり見られている。とんでもない屈辱を味わっているはずが、ぼくの性器は興奮して反応し始めている。シーツを握り締めながら、仗助を喜ばせるような声が出ないように必死で堪えた。
しかし指で左右に拡げられた穴に生温かい舌が差し込まれた途端、まさかの出来事に動揺して声が出てしまった。深いところまで届く性器とは違い、ひたすら浅い部分でぬちゃぬちゃと音を立てながらかき回されて、身体が小刻みに震える。

「あ、あ……っ」
「ん? もしかして露伴ってこういうのも好きだったりして」
「ちがうっ、こんな……やめろ、よ」
「腰揺れてるぜ」

細く丸めた舌が抜き差しされ、ぼくは限界を感じて自身の性器に手を伸ばす。舌の動きに合わせて夢中で扱いていると、仗助なりに状況を悟ったのか舌先が同じ部分を執拗に攻めてくる。窄まりの表面に生々しく感じる熱い息。

「ちんこじゃなくてもいいのか? 欲しくねえの?」
「欲し……っ、でも舌も、すごい」

仗助が喋る度に当然だが舌が尻から抜かれるので、達する直前で寸止めされる。じれったいそれを繰り返すうちにぼくの性器から漏れる先走りも止まらず、薄い色のシーツに染みが出来ていた。

「そこっ、弱い……い、くっ」

泣きそうな声で呟いたぼくは、仗助の舌を中で締め付けて達した。こんなことで感じて絶頂を迎えるとは思わなかったので、皺だらけのシーツに頬を埋めながら衝撃を受けた。
だめだ我慢できねえ、と息を更に荒げながら仗助は、唾液で濡れたぼくの窄まりに硬い性器を一気に押し込んでくる。不意打ちだったので、みっともなく震えた声を上げてしまう。
敏感な内側を舌で貪られて、身も心も蕩けきったぼくは中にずぶずぶと深く沈んでいくものを拒めずに、動物の交尾のように背後から揺さぶられる行為の味に浸った。




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2012/8/21