閉鎖世界のテーブルマナー ねちっこく執拗なキスで唇や舌を吸われた後、流し込まれた唾液を懸命に全て飲み干していく。露伴の喉が上下したのを見た中年男が、にやにやと笑う。 ベッドの下に落ちている露伴の下着を拾い上げた老人は、それを隅々まで凝視する。そして股間部分の匂いを嗅ぎながら、皺だらけの手で自慰を始めた。 「露伴くんはまだ高校生か、セックスどころかキスもまともにしたことないんだろう?」 「そりゃあ紅茶も正しく飲めない子供だからな、おじさん達が教えてあげるよ。大人になるために必要なマナーを」 先ほどまでは人の良さそうな態度で接してきたふたりが、今では欲望むき出しで露伴を貪る。彼らはこの村に別荘を持つ富豪で、長期休暇を利用して遠方から訪れた露伴を迎え入れてくれた。 大きな別荘の階下で出された紅茶を飲みながら、漫画家になったばかりの高校生だと告げた途端、男達の目つきが卑しいものに変わった。 腹の出た醜い裸体を晒した中年男が、生臭い匂いを漂わせた性器を露伴の唇に押し当てる。吐き気が込み上げてきて、本当は一秒でも早くここから逃げ出したかった。 しかしこれから良い漫画を描いていくには、普通ではできない経験を積むことが欠かせない。険しい山道をひとりで越えてここまで来たからには、この村の情報を少しでも多く持ち帰りたかった。 「ん、っ……ふ」 言われた通りに根元から先端まで、じっくりと性器に舌を這わせる。動くたびに軋みを上げるベッドの上、中年男の足元に膝をついて口淫を続けていると、背後から密着してきた老人の手が露伴の股間に伸びてきた。 もっと足を開きなさい、と荒い息と共に囁かれてじわじわと太腿を開いていく。 「ああ、やっぱり若い子の肌はたまらん。少しばかり肉付きは薄いが敏感で、ここもすっかり反応してるじゃないか」 老人の手の中で扱かれた露伴の性器は、この異様な雰囲気にやられたせいもあり半勃ちになっている。中年男の赤黒い肉棒が露伴の口内いっぱいに膨らみ、息をするのも上手くいかない。 きつく吸い付きながら顔を引いていくと、血管の浮いた竿が唾液に濡れてがちがちに硬くなっていた。とろりとした先走りが溢れ、露伴の顎や胸元を汚す。服は下着まで脱がされたが、どちらかの趣味なのか白い靴下だけは残されていた。 中年男の希望で、今度は根元の袋部分を舌先でくすぐるように愛撫する。気持ち良かったのか、頭上から絞り出すような呻き声が聞こえた。その間も背後の老人は一旦ベッドから降りたかと思えば、再び戻ってくると液状の冷たい何かを露伴の尻の穴に馴染ませ始めた。 指先で軽く引っかくような動きで穴を解し、少しずつ中へと侵入してくる。とてつもない違和感にびくっと身体を震わせてしまう。 老人が使った液体は多分、滑りを良くするためのローションのようなものだ。 「さあ、露伴くんの穴がどんな感じか確かめさせてもらうよ」 ぬちゃぬちゃという粘ついた音と共に、狭い腸を往復していく老人の指の動きは恐ろしいほど巧みで、弱い部分を探るために露伴の反応を窺っているのが分かる。途中で指を曲げられた瞬間、抑えたかった声が露伴の口から漏れた。 「お、エッチな声が出ちゃったね……さあまたおじさんのムスコをしゃぶしゃぶしてくれよ」 喘いだ露伴の口は再び中年男の肉棒で塞がれ、更に熱く太くなったそれが喉の奥まで突いてくる。後ろも前も好き放題苛められ、それでも無意識に揺らしてしまう腰を止められない。 「この村ではマナーはとても重要だと、さっき話したはずだ。この村の情報をもっと知りたければ……分かるね?」 老人は露伴の尻を指で左右に開き、窄まりに硬いものを押し当てる。これを挿入されてしまえば後戻りはできないが、その見返りは何時間もかけて山道を越えてきた苦労が消し飛ぶほど魅力的だ。 「ぼくの身体……口も後ろの穴も、全部自由に使ってください」 マナーと称して仕込まれたおねだりの言葉を、俯きながら告げる。いつか誰もが認める素晴らしい作品を描いて、大勢の人間に読んでもらいたい。この屈辱も何もかも、そのためのステップだ。 理性もプライドも崩れてとろけた、そんな中で露伴は背後の老人に両膝の裏を抱え上げられる。あ、と声を上げた直後に老人の性器に腰を落とされた。ずぶりと一気に飲み込んだ衝撃で、亀頭が奥深いところまで抉る。 「っぐ、い、きなり……こんな」 膝裏を抱えられた体勢のため、正面の中年男には全てが丸見えだ。老人の猛った性器を根元まで咥え込んだ、淫らな様子が。 皮膚のたるんだ老人に密着されていると、むせかえるような加齢臭を感じて涙がにじむ。 「本当は浣腸器を使って中をきれいに洗ってから入れるんだが、露伴くんの若い匂いにやられて待ち切れなくてな。いやいや、さすが現役高校生……きゅうっと締まって離れんよ」 「まっ、て、そんなに動かされたら、ぼく」 「その可愛いアナルからいつも、ぶっといのをひり出してるんじゃないの? 同じ穴に入れられたところで今更恥ずかしがることはないよ」 そう言いながら中年男は勃起したままの性器を強引に露伴の口に割り込ませ、両手で頭を掴んで激しく前後させる。下からも強弱をつけて突き上げられ、狂いそうだ。 排泄と挿入では根本的に違う。使い方を間違うだけで自分が限界まで堕ちてしまったような、暗い絶望感を覚える。 「漫画の本が出たらおじさんがたくさん買ってあげるよ、これからも君の美味しそうな身体を使わせてくれるならね。今度は学校の制服姿でさあ……」 おぞましい発言の後、中年男は露伴の口内で達した。苦く生温かい飛沫が広がり、吐き気をこらえながら唾液と一緒に精液を飲み込む。涙で前が見えない。 「ほれ、こっちはまだ終わってないぞ」 中年男の性器が唇から離れ、一息つく間もなく老人に腸壁を犯される。身体をシーツにうつ伏せにされ、背中に覆い被さってきた老人が腰を打ちつけてくる動きに合わせて、露伴は短く喘ぐ。 「明日はもっと大勢で楽しみたいですね、せっかくこんな可愛い子が来たんだから」 「なあ露伴くん、わしらだけでなく他の社長や重役達とお近づきになりたくないか? ただの高校生じゃ味わえない世界を見せてあげよう」 「ふ、あ……っ」 「漫画家として成功したいんだろう? 少々変わった性癖の者もいるが、色々な方面に顔が利くから創作の手助けになると思うぞ」 甘い言葉が、終わりの見えない性の地獄にフィルターをかけてしまう。もしかすると騙されているかもしれないが、初めて味わう強すぎる快感で冷静に判断ができずにいた。 「あ、もうっ、いく……ああ」 「目上の者より先にイクのは許さん。マナー違反の罰だ、このまま中出ししてやろう」 そんなマナーは教わっていない上に、まだ達してもいない。どうせ最初から中に出す気満々だったくせに、この老人はとんだ曲者だ。やがて腸の奥に精液を注がれ、露伴はその感覚に身震いしながらシーツの上に射精した。 外界から遮断され、世界的な大富豪ばかりが集まる山奥の村。男として未熟なこの身体を奥まで汚されても、まだ見ぬ世界への好奇心は未だに胸の奥で疼いている。 |