何もなかった顔で 完全に勃起した太い性器を自分の尻の穴に押し当てながら、仗助は怒りと恐怖が混じり合った気持ちで唇を噛んだ。 こんなものが本当に入るのだろうか。信じられない。今からしようとしている行為でもし何かあっても、この身体をスタンドの力で治すことはできないのだ。 改めてそう思い、固めたはずの決意が崩れそうになる。 制服のズボンと下着を脱いだだけの情けない姿を晒している上に、自分ですら直に触れたことのない部分で男の性器を飲みこもうとしていた。 「その調子で頑張ってねえ、仗助くーん」 仗助の下で仰向けになってこちらを愉快そうに眺めている男が、冷やかすようにそう言った。あまりにも屈辱的だったので強く睨むと、急に腰を掴まれて硬直する。 「あらら、反抗的な目! まあ、本当に嫌なら仕方ないねえ……仗助の代わりに露伴君で遊ぶから」 「やめろっ、そんなこと絶対に許さねえ!」 「じゃあこのまま続けてよ、さっき教えた通りにさ」 男は目を細めて、口元に薄く笑みを浮かべた。仗助そっくりの、その顔で。強い面影があってもおかしくはない。相手は血の繋がった父親なのだから。 本来の父親であるジョセフは79歳の老人だが、今は仗助以上に逞しい身体をした青年の姿でここに存在している。夢を見ているわけではなく、これは現実だ。 どんなに調べても原因はさっぱり分からない、不思議な現象。ジョセフは気まぐれに何度も若返った姿で現れては、仗助や露伴を翻弄して楽しんでいた。 そして今日、ジョセフはとんでもないことを要求してきたのだ。 今後、必要以上に露伴に触れられたくなければ、仗助が身代わりになれと。何かの悪い冗談だと思っていたが、どうやら本気だと分かった途端に全身から血の気が引いた。 16年間離れて暮らしていたとはいえ、同じ血が流れている息子相手にこんなことを。 いくら仗助がジョセフの不倫で出来た子供だからといって、この扱いは酷過ぎる。どう考えても許されるはずがない。 しかも幼い頃からずっと心の支えにしている憧れの人物を真似た、学ランにリーゼントという格好のままで、2度と後戻りできない異常な道に踏み込もうとしている。 全てはあの、たったひとりの愛しい男を守るために。 露伴とはまだ、唇を重ねて抱き合う以上の行為はしていない。少しずつ仲を深めていった末に流れに任せて身体を重ねたいと思って いたからだ。露伴には少女漫画のような脳みそだと言われたが、どうしても譲れない夢だった。 「俺が指で解したから、いい感じで入るはずなんだけどねえ。足りなかったかな?」 その声で我に返る。仗助があと少し腰を落とせば、ジョセフと繋がっていく。79年分の記憶を持ったまま青年の姿になった、実の父親の欲望をこの身体で受け入れる。 取り返しがつかなくなる前に逃げ出したかったが、そうすればジョセフは同じことを露伴に求めるに違いない。軽い調子で肩を抱いているのを見ただけで腹立たしかった のに、今度こそスタンドの力で半殺しにしてしまいそうだ。 ジョセフの言った通り、仗助の腸壁は先ほどまで指を使って隅々まで探られた。ある部分を刺激された途端、今まで感じたことのない目が眩むような感覚を味わった。 そこからすでに、自分は道を踏み外していたのかもしれない。背を逸らして声を上げた姿の一部始終を、全て見られた。晒していた性器が敏感に反応してしまった瞬間も。 よく考えてみれば、いつか自分が露伴にしようとしている行為どころか、今の関係すらも世間的には有り得ないことではないのか。 「もし迫っても、露伴君は俺を拒まないかもね」 「……どういうことだ」 「だって俺は仗助とそっくりの顔だから」 その言葉が何を意味しているのか、数秒考えてようやく分かった。ジョセフ相手に、仗助に迫られているような気分になった露伴がその気になるかもしれないと言いたい わけだ。ジョセフに組み敷かれて弄ばれる露伴を想像して、頭の中に燃えるような怒りが生まれた。 「ふざけんな! あいつはそんな単純な奴じゃねえよ!」 「どうかな……この前、肩抱いた時も嫌がらなかったしさ」 「あれは、あんたの冗談だって分かってたからだろ!」 「えーなに? 露伴君って、冗談なら誰にでも身体を触らせるの? いけない子!」 まるで露伴を侮辱するような言葉だった。半殺しだけでは生ぬるい、もう若返って姿を見せることができなくなるほど痛めつけてやりたい。 本来のジョセフは若返っている時の記憶を持っていないので、普段は問い詰めたり怒りをぶつけることもできないのだ。本当に腹立たしい。 とにかくこの地獄のような状況から早く抜け出したい。そのためには全て終わらせなくてはいけなかった。 少しずつ、ゆっくりと腰を落としていく。解された穴は無意識にひくつきながら、太い亀頭を飲みこんでいった。腸壁が性器の形に拡げられ、裂けてしまいそうな激しい 痛みが仗助を襲った。今まで経験したことのない屈辱と苦痛に、身体だけではなく精神まで犯される。 いつか露伴にも同じ気持ちを味あわせることになるのだろうか。綺麗事では済まない行為だとは分かっていたが、まさかここまで辛いものだとは思わなかった。 息を震わせながら、ジョセフと視線を合わせるのが嫌で目を閉じた。 すると視界が閉ざされた分、与えられる感覚に恐ろしいほど敏感になっていった。ずぶずぶと沈みこんでいく性器が、今にも奥深くまで届きそうだ。 「何これ、ぬるぬるしてるぜ」 そんな言葉と共に、ジョセフの指が仗助の亀頭に触れた。目を開けて見えた自分の反り返っている性器は、いつの間にか先走りを浮かべていた。雫となってこぼれ落ち、 ジョセフの手を濡らしていく。 痛いだけのこんな行為に感じてしまっていると知って、絶望的な気分になる。 「別にいいじゃん、これから仗助も露伴君に同じことをしようとしてたんだろ」 「そ、れは……」 「先に相手の気持ちが分かって、良かったんじゃないの」 ジョセフは指先で、亀頭の割れ目をぐりぐりと抉る。仗助は堪え切れずに声を上げ、気を抜いたせいでとうとうジョセフの性器を根元まで飲みこんでしまった。 「今の声いいねえ、興奮してきちゃった」 「嫌だ、触るな……もう、おかしくな、る」 「仗助がおかしくなったところ、見せてよ」 再び腰を掴まれて、強引に揺さぶられた。ごりごりと腸壁を擦られて、出したくもなかった喘ぎが開いた唇から漏れた。相手が父親だという事実も消し飛んでしまうほど、 おかしな感覚に支配される。それが快楽なのだと自覚したのは、慣れない刺激で限界を迎えた仗助の性器から精液が飛び散った瞬間だった。 「尻だけでイッちゃうなんて、もしかしてそっちの素質あり?」 仗助は青ざめて震えながら、その言葉を聞いていた。俺はまだ終わってないよ、と言われて再び揺さぶられ、奥まで突き上げられる。シャツの下で固くなっている乳首が 布地に何度も擦れて息が乱れてしまう。 まるで人形のようにされるがままになり、時間が経つにつれて屈辱は快感に変わっていく。 やがて身体の奥に熱いものが何度もぶつかり、広がっていった。中で出されてしまった。 終わった後も動くことすらできず、口の片端から溢れていた唾液を拭う気力もない。 今度露伴と会った時は、一体どんな顔で接すれば良いのだろう。何もなかったかのように普通に会話できる自信がなかった。 「ははっ、仗助可愛いな……こういう時、露伴君ならどういう顔するのかねえ」 そう言ったジョセフの小さな笑い声が、薄れた理性の隅で生々しく響いていた。 |