普通じゃない! 水曜の放課後、真雪の家を訪れた時にそれは起こった。 クローゼットの中から取り出された大きな巾着袋から姿を見せたのは、あまりにも衝撃的なものだった。差し出されて思わず受け取った途端に言葉に詰まった。 「もしかしてこれ、新しいマッサージ器具だったりして」 「あんたそれ本気で言ってる?」 「……いいえ」 端の上がった口元に対して目は全く笑っていない真雪の問いに、ゆららは手の中にあるものを改めて見つめる。自分の性別では付いていない性器の形に似た、ピンク色の物体。 下部の白いプラスティック部分に書かれているOFFとMAXという、明らかに強弱を調節するらしいダイヤル式の表示。そして意外に弾力のあるぷにぷにとした感触。 先ほどの発言は本気ではなく、真雪の出方を見るための冗談だった。しかしあの表情からして、よろしくないことを企んでいるのは間違いない。頭を抱えたい気分だったが、これを手にしたままだと滑稽すぎる。 「でもこんなの見せてどうする気ですか、私の年齢知ってますよね!?」 「へえー、あんたの歳じゃまだ早い道具だって分かってるんだ。何に使うものだって全然教えてないのにな」 「そんなの、この変な形を見れば……」 言いかけて途中でやめた。反論すればするほど墓穴を掘ってしまう。自分はまだ16歳の高校生だが、この道具の名前も使い方も知っている。実際に使った経験はなくても、インターネットや雑誌に触れていればこの手の情報は自然に入ってくる。 「これは次に出す予定の小説の資料として買ったものなんだけど、役目を終えて持て余してたところなの」 「役目って、真雪さん自分で使ってみたんですか」 「まさか! 重さや感触を確かめただけ」 焦るどころか得意気に語る様子から、真雪の言うとおり本当に未使用なのだろう。 ゆららに比べて何倍も気持ちが顔に出やすい性格なので、嘘をついてもすぐに見破れる。 何となく下部のダイヤルを動かしてみると、大きなモーター音と共に突然先端がうねり出す。驚いて、びくっと肩を震わせたゆららを見て真雪は意味深に目を細めた。 制服のスカートを捲り上げられ、立てた両膝を指示通りに開く。背中に押し付けられた、控えめな胸の膨らみがますます雰囲気をおかしくする。 「指とは違う感覚でしょう?」 「……っ、う」 背後の真雪が囁きながら、例の道具の先端をゆららの下半身に当てた。 布地越しでも、敏感な尖りやそれを囲む茂みの部分に感じたことのない振動を与えられると、次第に呼吸が乱れてくる。 先端の太いところが陰唇へと動き、そこを上下にゆっくり擦られると恥ずかしい声が出た。 真雪のもう片方の手がゆららの膣口辺りを探ると、そこはいつの間にか潤い始めて下着を濡らしていた。 「ああ、もうこんなにぬるぬるにして……いやらしい」 「だっ、て、きもちいい、からっ」 溢れたものがスカートにまで染みてしまったらどうしよう、と不安になるほど感じていた。濃紺の靴下に包まれた爪先がびくびくと震え、真雪との今までの行為で覚えた愛液の匂いが下半身から漂う。まだ脱いでいないのに。 まさか舌や指だけではなく、今までは縁のなかった道具でこんなに乱されるとは思わなかった。存在自体は知っていたが、マニアックな趣味の持ち主が使うものだと考えていたのだ。 ふいに道具が離れた後、膣奥から更にとろりと愛液が溢れた。とうとう普通ではない道に踏み込んでしまった罪悪感と、新しい刺激を欲しがる暗い欲望の狭間をさまよう。 太い先端だけではなく、微妙に反った形の幹部分を縦にして当てられるとたまらない。無意識に腰を揺らすと、密かに笑う真雪に耳や首筋を吸われた。 「っく、いく……いっちゃ、う!」 「そろそろ中に入れようと思ったのに」 「なかは、だめっ……」 「ふふ、残念」 再び尖りに押し当てられた瞬間、自分でも驚くほど甘い声を上げてゆららは達してしまった。ぐったりと力の抜けた身体を真雪に預けながら、もしこの道具を中に挿入されたら一体どうなるのかと想像する。 きっと、どうしようもないほど気が狂ってしまう。真雪の細い指しか受け入れた経験のない膣が、卑猥な道具の形に拡がって奥まで犯されるのだ。 |